Recent Search

    SSS

    @tiScn

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    SSS

    DOODLE直輝と那音、10年前のことを小説なんて高尚なものではなくて、妄想を文字で詳細に説明したもの。
    左甲斐直輝(兄、スタイリスト)
    左甲斐那音(弟、家出してろくでもない組織で働いている)
    左甲斐兄弟が喧嘩した話 2002年夏。14歳の那音は、東京へ向かう各停電車に揺られていた。ボックス席の対面の座席に、行儀など知ったことかと脚を載せ、険しい表情で窓の外を睨んでいた。窓の外に見えるのは夏の太陽とそれを受けて鮮やかに煌めく深緑。時々、何かに反射した光が那音の目に刺さる。それでも少年は窓の外を睨んでいた。生来意地っ張りなこの子どもは、備え付けのカーテンを下ろすことすら「負け」だと認識しているようで、ソレが活躍する機会は無さそうだ。ただただ窓の外をキッと睨み続ける。

     那音は不機嫌だった。数時間前に、母親から夏休みの課題はやったのかと問いかけたことがきっかけであった。夏休み終盤に差し掛かるこの時期、どこの家庭でもよく見られるその問いかけ、課題を済ませてしまえと促す言葉、それらが思春期、反抗期真っ盛りの那音にとって気に入らなかった。末の息子が乱暴に返事をすれば、母親も呆れた様に乱暴に返す。他の兄弟も面白がって参加してくる。その全てに那音はイラついていた。その後、大喧嘩に発展し、衝動的に家を出て、今に至る。思い返してみれば本当に下らない。しかしそこで引き下がれないのがこの少年なのだから救えない。
    7313

    SSS

    DOODLEセージとソフィア
    カラフルな旗が風に揺れ、空には誰かが手放してしまった風船が舞う。嘲笑うような花火の破裂音。誰もそんなものは気にも留めない。だって今日は年に一度の感謝祭!(タイトル)
    だって今日は年に一度の感謝祭!深い考え事の最中は周囲に目を向けられなくなる。僕の悪い癖だ。だがしかし、本日は非常に幸運。一通り思考が落ち着いた時、僕が存在していたのは、華やかな祭事の真っ只中であった。

    色とりどりの衣装を身に纏った踊り子が、美しい笑顔を街に振りまき、露店には選りすぐりの菓子や果物、軽食が並ぶ。道の端には酒を飲み陽気に騒ぐ者、何やら難しい顔をして話しこむ者、屈託無くはしゃぐ乙女達。

    ふと、一番近くの露店を覗く。恰幅の良い主人が

    「見ない顔だね、旅の人かい?おいしいよ!食べてきな!ほれ、味見して味見して!」

    とまくし立てながら揚げたばかりの商品を眼前に突き出す。手袋を外し、いただきますと一言。一口サイズのそれをぱくりと口に入れる。歯ごたえのあるサクサクの衣に、ふわふわとした魚介類の具の絶妙なバランス。程よい塩気の甘みにじわりと唾液が口に溢れる。脳内の情報が、これがクロケージャという料理だと告げた。一部の地方に伝わる、伝統的な祭事用の食べ物。
    1776

    SSS

    DOODLE崇しづ
    #リプ来たCP及びコンビでSSを書く
    【崇しづ】 すごい雷の夜まばゆいフラッシュの直後に、まるで、世界が割れてしまったかのような音が轟く。枕を抱きしめ、毛布をマントのように体に巻き付けてドアノブに手をかけていたしづきは、そのままベッドに駆け戻った。ぼすんと勢いよくベッドに滑り込み、掛布団にくるまる。ごろごろごろ…と不吉な音が這いずってこちらにやってくる。しづきはそれが遠くへ行くのを待つと、きゅっと口を結んで、もう一度、ドアに速足で駆け寄った。 そろっとドアを開けると、薄暗く、何処までも続くような長い廊下。見慣れた景色のはずだったが、今夜は装飾品の影から、何かが飛び出してくるような、そんな不気味な気配がするように感じた。 勇気を出して、一歩、冷たい廊下に踏み出す。スリッパをはいているにもかかわらず、ひんやりとした空気が足にまとわりつく。と同時にまた空が光った。そして逃げる間もなく恐ろしい轟音。一瞬、しづきはその身をさらに小さくした。ベッドに戻ろうか、でも…。そんなことがちらりと頭をよぎるが、もうずっとこんなことをしているのにも我慢が出来なくなっている。全てを振り払って走ることにした。ぎゅっと手を握って、走って、走って、走って。ようやく、目的地のドアの前につく。ノックもそこそこに、しづきは最低限ドアを開けて、部屋に滑り込む。中に入るとこちらを見ているのは、部屋着ではあるものの、何冊かの本と何らかの素材を机に広げている、東堂崇継。東堂は、入ってきたのがしづきだとわかると、その眉間の皺を少しだけ緩ませて、「どうした?眠れないのかい?」と困ったような声をかけた。 しづきは、安全基地に入った安心感から、ぎゅっと握っていたシーツを手放し、ずるずると落ちていくソレははらりと床に置いていかれた。白いシーツから抜け出す様に、しづきは崇継の腕の中に勢いよく滑り込む。 「雷の音で起きてしまったのかい?」 「うん…」 小さな手が、触り心地の良いガウンをぎゅっとつかむのを崇継は感じた。 「パパも、寝れない?」 不安げな瞳が崇継の顔を見上げる。 「…あぁ、大きな音がして眠れないなぁ」 「…!僕、一緒に寝てあげる!」 しづきの不安げな顔がぱっと明るくなる。ガウンをつかむ手も力を増しているようだった。 「あぁ、そうしようか。しづきが一緒なら、雷も怖くないね」 崇継の大きく角ばった手がしづきをなでた。その手にすり寄るように、しづきの頭がぎゅっと寄ってくる。本当は
    1085

    SSS

    DOODLEたまひよ
    #リプ来たCP及びコンビでSSを書く
    【たまひよ】今日はずいぶんと風が強い。天気予報は雨が降るとも言っていた。  野々宮は、空に重々しく横たわる雲に目をやると、早々に洗濯物を部屋の中にひっこめた。自分と彼の、2人分の洗濯物を処理するのにも、ずいぶん慣れてきた。薄手のもの乾いているが、厚いものはもう少し時間がかかりそうだ。乾いているものだけを床に置き、湿っているものは乾燥機のある部屋に干す。またベランダに通じる部屋に戻って、乾いたものを畳み始める。  今日は、久しぶりに一人での休日だ。今畳んでいる下着の持ち主は、現在仕事中。上司に引き留められて、何かの研究の手伝いをしているらしい。  本当は、二人でのんびり過ごそうと思っていたが、仕事に盗られたのであればしかたない。洗濯物を必要以上に丁寧に畳み、タンスにしまう。それで、今日やらなければいけないことは終わってしまった。  また薄暗くなっていく外を見ながら、彼は傘を持っているだろうか、とか、お昼は何を食べたのだろうか、とか、彼のことばかりを考える自分にきずき、苦笑いしてしまう。昔はこの家で一人、幻覚におびえて生きていたような気がする。その頃とは打って変わって、穏やかな生活になったのも、彼のおかげだ。彼が自分の全てをいい方向に変えてしまったようだった。それゆえに、この先のことを考えると、以前より一層、今の空模様のような気持が胸に広がるのであった。  ぼーっと窓越しに空をながめていると、ぽたり、ぽたりと雨粒が落ちてくる。それはすぐに土砂降りの雨に変わった。あぁ、この雨はどれくらい続くのだろうか。彼が駅に着くころまで続いてくれれば、迎えに行く口実になるのに。  そんなことが頭に過ったとき、スマホから軽快な音が響き、画面が点灯する。スマホを手に取り、通知を見ると、彼の名前の下に『今終わったので帰ります』の文字。それを確認すると同時に、通知内容は『画像が送信されました』となる。スマホのロックを外し、アプリを開くと、車に乗ったかわいらしい犬のキャラクターのスタンプが送信されていた。『了解です。こっちは雨が降ってるけど、傘は持ってる?』とトグル入力でぽちぽちと返信を打ち込む。そして、犬のキャラクター一覧から、傘を模したものを選択した瞬間、『傘持ってないです。降る前に帰ろうと思ってたのに~』の通知。傘のスタンプは、その下に表示された。『わかった。迎えに行くね。食材の買い出しも行こうと思っ
    1170