勘違いされそうな服は着るな真選組と鬼兵隊の事件に首を突っ込んでから数日が経った。
別に突っ込む気なんざなかったんだけど……
「はあ……肩痛ぇし、やっぱり面倒臭ぇな……」
社長椅子に座って曇っている夜空を見ながら独り言を呟いた。
「ウチのモンが肩傷付けちまって悪かったなァ」
独り言に返事があって驚き、声の方を向くと高杉がいた。
コイツ、完全に気配消してやがったな……
「そーだよ、医療費払いやがれ」
「まさかテメェがあそこに入ってくるとはなァ。計算外だったよ」
「俺だって別に好きで参加したんじゃねぇよ」
そう言った後椅子を回して高杉に背を向ける。
「何しに来たんだよ。そろそろ寝るから帰ってくんない?」
シッシッと手を振ると、その手を掴まれ、椅子ごと高杉の方へ向かされる。
更に空いた方の手で顔を掴まれ、無理矢理目を合わせられた。
「テメェ、どういうつもりだ?」
あの祭りの日と同じ目を向けられる。
普通の人間じゃこれだけで恐怖に駆られるが、戦場で何度もそれを見てきた俺には通じない。
椅子に座ったまま見上げて目を合わせてやった。
「あの狗達の肩を持つ気か?」
「そんなつもりはねぇよ」
「テメェと戦ったウチのモンが、テメェが狗の隊服を着てたって言ってたぜ」
そういやそうだったし、そのままあのヘッドホン野郎と戦ったね。
ん?……もしかしてこいつ、
「……お前、俺があっちに寝返ったと思って嫉妬してんの?」
そう言って高杉の様子を伺った。
すると高杉は舌打ちをし、俺の顔を掴んでいた手を放す。
「テメェが狗の方についたら色々面倒なんだよ」
それを聞いた俺は興味なさげにふーんと相槌を入れた。
「俺は、別にアイツらに寝返ったわけじゃねぇよ。街歩いてたらたまたま巻き込まれちまっただけだし、そのまま進んでたらたまたまお前の隊に遭遇しちまっただけだよ」
そう言って椅子をくるりと回して高杉に背を向ける。
「……相変わらずの巻き込まれ体質だな」
「うるせー」
それから沈黙が訪れる。
ったく、確認事項が済んだなら帰れっての。
「……今はテメェ一人か?」
「んー? あぁ、同居人なら今日は別の家に泊まりに行ってる」
そう返事をした直後の浮遊感。
「おい、何すんだよ! おろせ馬鹿!」
抵抗してみるもびくともしない。
しかも高杉は俺を抱きながら勝手知ったる俺の家ばりに足で襖を開けては見えた布団に俺を放り投げた。
「いってぇな! 俺怪我人なんだけど」
「怪我も含めて介抱してやらァ」
「それいらないから帰ってく…んっ……」
その後の言葉は口を塞がれて続けられなかった。
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「はー……怪我の治り遅くなったよねこれ」
「……」
「オイコラ、煙管吸って無視すんじゃねーよ」
「銀時、次あの隊服着たら本当に斬るからな」
そう言って部屋を去り、家を出て行く高杉。
「……やっぱ嫉妬してたんじゃねーか」
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真選組の隊服を着た銀時に対して怒る高杉の話。
というネタでした。
ムカついたと思うんだよなあ…