ちょっとこっちに来い「鬼兵隊が帰還したぞー!」
そんな声が聞こえて半分寝ていた瞼が上がる。
あー、て事は高杉帰ってきたのか。挨拶がてらちょっかい出しに行ってもいいかって思ったけど、ヅラに報告とかあるだろうし、総督様はしばらく忙しいだろ。そう思って再び寝る事にして瞼を下げたものの、なんか大きめの足音がどんどん近づいてくる。俺の部屋の前で止まったと思った瞬間、スパン!と音を立てて戸が開いた。
「うおっ! えっ、何?」
「ちょっとこっちに来い」
「はあ?」
「いいから来い」
「やだね。俺は寝るつもりだったんですぅ」
そう言ってやると、無言でズンズン部屋に入ってくる高杉。
「おいおい、マジで入ってくるヤツあるか?」
なんだかよくわからないけど高杉の圧に負けて後ずさる。俺の背に壁がついた後、高杉は俺を軽く抱きしめて胸の辺りに顔を近づけてくる。
「高杉君、ほんとどうしたんだってば」
声かけても無言で怖いんですけど。えーっと、俺何かしたっけ……
思い当たる節ならありすぎるけど、日常茶飯事みたいなもんだし、ンな事でイチイチ突っかかってくるヤツでもないし……でもそれ以上何かしてくるわけでもなさそうだし、好きなようにさせとくかと思って羽織を着た高杉の肩に手を置いた。
そのままで数分経った後、ようやく高杉が退いた。
「満足したの?」
「あァ。年中甘い匂いの馬鹿を嗅いだら陣に戻ってきた実感がわいてきた」
「さり気なく嫌味言ってんじゃねーよ」
頬に青筋を浮かべながらそう言うも、高杉はそれに反応しないまま立ち上がって部屋を去ろうとする。
「あれ、行っちゃうの?」
拍子抜けした表情でそう言った直後、口が滑って焦る俺と嫌味ったらしい顔をして俺を見る高杉……
「へェ、そんなに俺にいて欲しいとはなァ」
「んなワケねーだろ馬鹿!」
「俺ァ、テメェが必要だがな。それと着替えてくるだけだ。大人しくして待ってな」
もう何を言っても墓穴を掘るだけになりそうだから黙る事にしたけど、去り際に見せたニヤ〜って顔がムカついたから後であいつの両頬をつねってやろうと決めた。
*****
帰還してすぐに銀時を吸いに行く高杉。
大事な言葉:こっちに来い・テメェが必要