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    suz_kisa

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    suz_kisa

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    クラノス(になる予定)
    先日の赤じゃ!氷を操れる…ぽいので、その片鱗を少し。まだうちはまともに会ってないことになってるので!
    次は少し動き…を出したい
    なんか、黒猫がスト…カ…みたいになってる…
    (ちなみに情報提供者は、三キさんです。)

    #クラノス
    kranos

    クラさんの日常④次の猫カフェバイトの帰り、ほんの少しだけ緊張しつつも公園に寄れば
    いつもの様に公園の前にちょこんと座っている黒猫を見つけた。
    内心ホッとしつつ、近づき、いつもの様にベンチで可愛さを堪能した。

    そんな日々が続いたある日。
    この日も猫カフェのバイトだったが、店の都合でいつもより早く帰る事になった。
    先日の事もあるし、おそらくまだあの黒猫は公園にいないだろう。
    一度家に帰り、いつもの時間に散歩がてら公園に行こう。
    そう思い、まっすぐアパートへと戻った。
    アパートが見えてくると、見慣れた黒い物が視界に入る。
    塀の上に、いつものひらひらしたスカーフの様な首輪をつけている黒猫が乗っていた。
    静かに近づき、
    「偶然だね」
    そう声をかけると、その場でびくりと体を震わせ、こちらを見上げて硬直する。
    驚かせてしまったか…。と、黒猫が視線を彷徨わせている。
    なんだか気まずそうに見えるのは私だけだろうか?
    「今日はいつもより早くバイトが終わってしまってね。後で公園に散歩に行こうと思っていたのだよ」
    伝わるかどうか分からないが、そう告げればぎこちなく動き始める。
    「この時間帯はここら辺を散歩してるのかい?」
    撫でながらそう聞くも、反応はない。
    それはそうだな。
    ちょいちょいと撫でるも、アパートの前にいつまでもいるわけにはいかない。
    「君は散歩の続きをするかい?いつもの時間にあの公園に散歩に行こうとは思っているけど」
    黒猫はちらりとこちらを見るも、ふいっと視線を逸らす。
    「もしくは、私の部屋に遊びに来るかい?ここなのだが」
    そう行ってアパートを指差すと、塀から飛び降りると足にまとわりついてくる。
    部屋に来る。というでいいのかな?
    歩き出せば大人しくついてくる。
    初めて出来た猫の友達を招く事に、少し心が弾んだ。

    「さあ、どうぞ」
    ドアを開けたままそう言えば、きょろきょろと周りを見渡しつつ部屋へと入る。
    が、玄関から中に入ろうとしない。
    「どうかしたのかい?」
    首を傾げていると、片足を上げ、鳴き声を上げる。
    何か言いたい事があるのだろうか…
    首をひねり考えていると、今度は足を床にこすりつける様な動作をする。
    「あ!足を拭きたいのか!」
    なんて躾の行き届いた猫だろう。
    急いでタオルを濡らして玄関へ戻ると、そっと抱き上げて両手両足を綺麗に拭く。
    なんだか、また固まっている様な気がしたが、きっと私のやり方が慣れていないからだろう。
    そう思い、出来るだけ丁寧に優しく拭き上げる。
    「終わったよ。中へどうぞ」
    床に下ろせば、またきょろきょろしながら室内へと入って行った。
    部屋の中に猫がいる事に少し感動していると、
    室内を冒険している黒猫が、さらにきょろきょろしている。
    きっと住んでいる所は広いのだろうから、狭い空間に慣れていないのかもしれない。

    部屋の中をうろうろしている黒猫を見つつ、とりあえず冷蔵庫から人工血液を出す。
    キャップを外し、机の上に置き、パックに口をつける。
    すると、いつの間にかに近づいてきていた黒猫が机の上にいた。
    置いたキャップの匂いを嗅いでいる。
    「あ…それは…」
    止めようとするまもなく、ぺろりと舐めた。
    「舐めてはダメだよ。これは…」
    黒猫は見てわかる程に、美味しくない。という表情をしていた。
    急いで口直しに、水を皿に入れて出せば、一瞬躊躇したが、懸命に飲んでいた。



    更に数日後、公園にて。
    恒例となった黒猫との逢瀬は
    理解しているかどうかは分からないが、話しかける事に躊躇はなくなった。
    先日、部屋に遊びに来てくれて以降、水と容器を持参する様になっていた。
    この前、口直しとはいえ、今までで唯一口にしてくれたのだ、また飲んでくれないだろうか?

    水は飲んではくれなかったが、いつものベンチに座り、いつもの様に撫でさせてくれ、いつもの様に絶妙なタイミングで相槌を打ってくれていた。
    「そろそろ…私を吸血鬼にした吸血鬼と会える様に頼もうかと思ってるんだ」
    あまり人に言えない事も、何故かこの黒猫にはついつい話してしまう。
    反応はなく、大人しく丸まったままでいる。
    「まあ…ちょっと、相談した事が出来てね」
    ぴくりと動いた気がした。
    「ちょっと前に、吸血鬼としての能力が顕現してね。その事を話したいんだ」
    周りから聞いた話だと、ノースディンは魅了と氷を操る能力を持っているらしい。
    だから、私にも『あの』能力が顕現したのだろうな…
    そんな事を思いつつ、丸まったまま動かない黒猫の背を撫でる。
    すると、大人しく撫でられていた黒猫がバッと立ち上がる。
    「どうかしたのかい?」
    じっと暗闇を見つめている。
    つられる様にそちらに視線を向けると、黒猫は踵を返し闇の中へと紛れて行ってしまった。
    「あ…」
    いつもの様に帰るのではなく、逃げる様に立ち去ってしまった黒猫を視線で追うも、その姿はすでにない。
    と、先ほど黒猫が見ていた方向から足音が聞こえて来た。
    少しだけ警戒しそちらに視線を向けると、見知った吸血鬼がこちらへ歩いてきた。
    「おや?クラージィさんではないですか?」
    「ドラルク君」
    いつも世話になっている吸血鬼の登場に、肩の力が抜ける。
    「今日もいい夜ですな。どうされたのですか?こんな所で」
    「バイト帰りで、ここで知り合った猫と遊んでいたのだよ。先ほど帰ってしまったけどね」
    苦笑を浮かべ、そう告げると
    「猫…ですか」
    「あぁ。可愛らしい黒猫なんだ」
    「黒猫ねぇ」
    何かを考え込む様に、顎に手を当てている。
    「君は散歩かい?」
    「はい。ジョンと一緒に」
    『ヌヌヌー』
    彼の使い魔がこちらに挨拶してくれる。
    「それにしても良い所でお会いしました」
    いつもの明るい笑顔を向けて来る。
    「どうかしたのかい?」
    「連絡をしようと思っていた所なのですよ」
    「何か用事でも?」
    首をかしげると、
    「心の準備は整いましたか?」
    笑顔を崩さず言われたその言葉に、ペットボトルを握る手に無意識に力が入る。
    「え?」
    返した言葉と同時に、ペットボトルが音を立て、少し凹む。
    「そろそろお会いになりますか?『ノースディン』と」
    つい先ほど、黒猫に告げたばかりの事…
    ぬるくなった筈の水が、急速に温度が下がり、手のひらの温度を奪っていくのが分かった。
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