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    chunpepyun

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    chunpepyun

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    星野リリィ先生の可愛がってくださいパロ。愛玩動物のうさぎのソラと勝手にソラを押し付けられた若。

    ‪仕事に疲弊し帰宅。一息つこうとしたその矢先、エントランスからの呼び出し音。‬
    モニターに映し出されたのは形式上、上司である男。
    青年は若くして親族が経営を握る企業の常務をしている。訪れたのは専務であるシグバールという男であった。青年はどうも専務が気に入らない、というか苦手である。‪掴み所がなく、飄々としており上の立場である事を利用し事あるごとに茶々を入れてくる。やっと安息を得られると思ったのになぜ自宅に。青年は眉間に皺を寄せる。しかし曲がりなりにも上司。オートロックを開けてエントランスを通す。‬
    数分後、今度は玄関のインターホンが鳴る。

    ‪「ゼアノート、しばらくぶりだな」‬
    「先程会社で会ったばかりだろうが」

    ドアを開けるなり少し前に会社にて別れたばかりの上司はニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて立っていた。上司と言えど、入社前より付き合いのある男だ。他の社員の目も無い今気など使う必要は皆無である。

    ‪「まぁそうカリカリするな。ちょっと渡したいものがあるってハナシ」‬

    そう言ってシグバールが自身の背後よりゼアノートの前に突き出したのは小さな、目隠しをされた子供だった。そして頭から生えるのは耳。うさぎの耳である。

    「………」

    頭痛がする。
    ‪仕事を終えて帰宅後、上司が家を訪ねて来たと思ったら目隠しをされたうさ耳の子供を連れてきた。あまりの事にゼアノートは自分は悪い夢でも見ているのだろうかと言葉を失った。‬
    「仕事を頑張るお前に俺からのプレゼントだ」
    シグバールは子供の目隠しを外した。現れたのは二つの青。驚きと少しの怯え。
    ‪「…ぁ、…あ、あの! そ、ソラです!!よろしくおねがいします!!」‬
    やや低めの声で子供は慌てて名を名乗る。少年だろうか。
    いや、よろしくお願いしますとは何だ。
    「待て。待て、何だこれは」
    「お前もも〜少し癒しがあった方が良いかと思って巷で人気のペットちゃんを買ってきたんだよ」
    ‪「ペット…?人だろうが」‬
    「人型の愛玩ペット。流行ってるんだぞ〜??人間と区別つけるためにお飾りだが動物の耳がついてる」
    「…いや、冗談じゃない。必要無い。持って帰れ」
    思わず怒鳴りそうになるのを必死に抑えながらゼアノートはシグバールにため息交じりでソラという名のペットを突き返す。
    ‪「え、いらない。一応家事のオプションついてるしお前の事パートナー登録しちまったんだけど」‬
    「何だそのパートナー登録」
    「お前以外が飼い主になれない登録。だから里子に出せないんだよ」
    「何でそんな事勝手にお前は…!」
    胸ぐらを掴んで窓から放り投げてしまいそうだ。
    ‪「どんな設定だろうと要らないものは要らない。どうにかしろ」‬
    顳顬に浮かんでくる青筋を必死に抑えながらゼアノートは再度ペットをシグバールに押し返した。
    「わかったわかった。明日業者に引き取らせる。登録住所お前の家だから一晩だけ置いて明日業者に引き渡せ。明日休みだろ?」
    ‪何故せっかくの休みをこんな事に費やさなければいけない。ゼアノートの怒りは最高潮に達していた。‬
    「因みにさっき言ったようにパートナー登録済みのペットは里子出せないからこのまま殺処分な」
    ‪何とも物騒な話である。だがしかし唐突にペットという名目ではあるが人型の生き物を連れてきていきなり住まわせるなど到底無理で無責任にも程がある。‬
    「わかった。シグバール、もう二度とこんな事するな」
    「怖いねぇ〜ちょっと楽しいサプライズしただけだろ?」
    ‪「俺は何一つ楽しくない。役員になったら覚えていろ」‬
    「その時が来るのを楽しみにしてるさ。じゃ俺は明日仕事あるから帰るわ」
    仕事らしい仕事をしているところなど見た事ないのに何を言っているんだこいつは。
    ‪「じゃあな、ソラだったか? 短い人生だったろうがまぁ残り数時間こいつに可愛がってもらえよ」‬
    シグバールはソラの頭をひと撫でする。ソラは目を伏せてシグバールに小さく頭を下げた。
    「それじゃまた会社で」
    散々引っ掻き回すだけ引っ掻き回してシグバールはゼアノートの部屋を後にした。
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    chunpepyun

    MOURNING87ID光死亡IF(支部に上げてるやつ)の続き
    めちゃくちゃ短い
    使い魔の遺骸を引き取りに来たアゼとヘル
    ヘル光のつもり
    プロットレベルよ

    「やぁ、先日ぶりだね、ヘルメス」

     強く真っ直ぐに、焼き尽くしそうな瞳だといつも思う。

    「忙しい所すまない、アゼム」
    「いや、いいんだ。早速だが私の使い魔の元へ案内してくれるだろうか」

     ヒュペルボレア造物院内で見つかった使い魔の遺体。その使い魔はアゼムの使い魔を名乗っていたが為に他の魔法生物達と同じ様に土塊に還す事もできず本人を呼ぶ事となった。

    「そう、この子が、」

     小さな獣人型の女の子。その肉はもう固くなり色はない。

    「ありがとう。この子は私の方で引き取らせてもらう」
    「…本当に、すまない、誰も記憶がない為に詳細はわからないのだが、おそらくあの日の事故でその子は」

     エルピスの職員達が口々に語ってくれた使い魔。よく手伝い、聡明で、不思議な生き物。きっとあの日も共にいた。メーティオンとも、ヘルメスとも親しかった。それなのにその記憶は焼け爛れて、真っ白い光の中で、何も、何も思い出す事はできない。ただ心に残るのは痛みと後悔や苦しさだけで、その生き物を見る事すら苦しくなる程で。
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