夢くらい他寮の生徒と喧嘩した。
その日出された課題は地獄だった。
魔法史のレポート10枚提出
よりにもよって魔法史…
『ぐぁぁぁ終わらないいい!!』
一人で嘆いている時 ガチャ と誰かが部屋に入ってきた。
ふわりと漂ってくる匂いで誰なのかすぐに分かった。
『ラギーどうしたの僕に会いたくなったの僕もだよ!会いたかったよ!!!』
「はいはい、会いたかった会いたかった。所でイズナ君。又喧嘩したって聞いたんスけど?」
『やべ』
凄くいい笑顔で聞いて来るラギー…めちゃ怒ってるぅぅぅ…
この間もうしませんって言ったばっかだから…
『でもぉ…』
「でも、もへったくれもないっス!この間もうしないって約束したでしょもう忘れたんスか!?」
『だってだって!アイツがサバナクローは獣臭いただのサファリパークだって!!』
「は?」
『僕こんなにいい匂いなのに』
「それでキレたんスか…」
はぁ… とすごく大きなため息をつくラギー
だって腹立つじゃん!なーにがサファリパークだよ!食ってやろうか
臭いのは否定しないけどさ
「あのねぇイズナ君。そんな事でいちいち怒ってたら毎日怒ることになるっスよ」
『毎日怒ってるもん』
「『怒ってるもん』じゃないんス!…そんな可愛い顔してもダメ」
『ええー!』
「ええーじゃないとにかく今後は気をつけるんスよ!じゃないと俺がレオナさんに怒られるんだから」
確かに僕のせいでラギーが怒られるのは不本意だ…
『うん…なるべく気をつける…せめて頻度は減らす…』
「そうしてくれると助かるっス」
そう言いながらラギーは僕の頭を撫でた
『ふふ…』
ラギーはスラムに居る子供達のお兄さん的存在だから、きっと子供にもこんな風に撫でているんだろう。
撫で方が上手いのか…僕が単純なだけなのか…
「イズナ君…?」
『んぅ…?』
「眠いんスか?」
『ぅん…』
ふわふわとラギーの暖かい手で撫でられて、ずっと頭を使ってたから眠気が一気に押し寄せてきた
「レポートも…あーあと少しっスね、まぁこんくらいなら明日死ぬ気でやりゃ終わるか……イズナくーんちょっと失礼するっスよ」
ラギーの手によってほぼ夢の中に居た僕の身体がふわりと浮き上がる。
回ってない頭でも理解できた
ラギーに抱っこされてる
『んふふふ…ありがとー』
「全く…特別っスよ」
寝落ちすると、てこでも動かない事を知ってるラギーは完全に寝る前に布団に運んでくれた
今日のラギーは機嫌が良いなぁ…
『ねー…きょ、いっしょにね…ふとん…』
ほとんど寝ている頭で発した言葉は「言葉」になっているかも怪しかった。
それでもラギーはしっかりと理解してくれた
「今日だけっスよ、イズナ君の布団そのまま一緒に入るから別にいらないっスよ。ほら、つめてつめて」
もぞもぞと僕の隣に潜り込んでくる
ふふふ…今日はいい日だなぁ…
大好きなラギーの胸に顔を埋めると、答えるかのように後頭部と背中に手が回ってきて、ぎゅっとしてくれた。
『きょうは、やさしーねー』
「気まぐれっスよ、早く寝ましょ」
『んー…おやすみ』
「はいはい、おやすみ」
本当に、恋をしたのがラギーからなら…
どんなに楽だったかな…
夢くらいは都合よくて良いよね
おやすみなさい。