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    なすずみ

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    なすずみ

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    それまで出会うことなく、果物としての名前も持たないままここまで来た???と???がある仕事ではやてに乗り殺し合いに至る

    これ(過去ツイ一部 より明るくなった)

    ##果物

    ◯果物 邂逅if「だから、おまえがやったんだろう」
    「だから、俺じゃねえっての」
    とある新幹線の三号車にて、二人の男は通路で向かい合っていた。
    「俺がこいつを殺したなら、さっさとここから離れるに決まってるだろ。ちょっと考えりゃ、分かるだろうが」
    寝癖のように髪を跳ねさせた目付きが悪い方の男は、三つ並んだ座席の一番窓際に座っている、眠るように動かない青年を指さす。
    寝癖は付いておらず、神経質そうで表情が読めない方の男が低く答える。
    「おまえが愚鈍だから」
    「うどんがどうしたって?」
    「讃岐の名物はいま関係ない。おまえがのろまだからまだここに居るんだろう」
    「俺が鈍行列車って言いたいのか?あのな、おまえに教えてやるけどな、鈍行列車ってのは急行列車じゃないって意味で、ゆっくり走る電車のことじゃねえんだよ。誤解されやすいけどな、鈍行を馬鹿にするなよ」
    「していないし言っていない。列車のことは横に置いておけ」
    「横に置いたら乗れねえぞ。駅に置き去りだ」
    車両の後方に座る女性客が、気掛かりそうに二人に目を遣るのが見えた。立ったまま言い争っては目立つ。二人は長身で、荒っぽそうで、ただでさえ人の目を集めやすい。互いの使う武器も分からないまま間合いを詰めることになるが、両者とも格闘の心得はあるのか躊躇いは見せず、既に息をしていない青年を窓際に置いて隣の席に座った。
    一重瞼を持つ方の男は喋り続ける。
    「俺、うどんは柔らかいのが好きだな。小学校の給食に出てきたやつ。かまぼこなんかも入っててな、あれ美味かったな」
    「状況を整理するぞ」
    「なあ、赤いきつねと緑のたぬき、おまえどっちが好きだ?」
    「強いて言えば緑のたぬきだが、俺はどん兵衛派だ。状況を整理するぞ」
    「そばじゃねえか、俺はうどんの話してるんだぜ。おまえ、どうせあれだろ。天ぷら後から乗せるんだろ。崩れるのが嫌とか言ってな」
    「選択肢にそばを挙げたのはおまえだ。それから、どん兵衛は後乗せを推奨している。作り方にもそう書いてる」
    「当たりだな。おまえみたいなのは大抵、そうなんだよ」
    二重瞼の方は、それまでぴくりとも変化のなかった表情筋を動かし、不愉快そうに眉を顰めた。おまえに何がわかる、と言いたげだ。一重瞼は愉快そうに口角を上げ、背もたれにもたれ込む。
    「状況を整理しようぜ。俺は昼メシ、マルちゃん製麺派」
    「ガサツそうなくせに料理できるんだな。整理なんてするまでもない、ここは新幹線はやての三号車で、俺が二号車へ行っている間におまえがこのぼんぼんを殺した。以上だ。デッキへ行け、おまえを殺す」
    「袋麺茹でるの、料理じゃねえぞ」
    一重瞼は両手を挙げた。
    「大体、なんで二号車なんかに行ってるんだよ。ちゃんと見張っとけよ。それともあれか?おまえはここまで、息をしてない息子さんと旅行してきたのか?実は殺されたんじゃない、最初から死んでましたってな」
    「ミスリードとしては雑すぎるな。俺は生きてる息子さんとこの車両に乗ったはずだ」
    「俺、生け捕りにしろって言われてんのに」
    「俺だって、生かして連れ帰れと言われてる」
    同時に溜息を吐く。長身ゆえに脚が余り、二人の座席だけ他より空間が狭く見えた。
    「こうなったらおまえを差し出すしかねえが」
    「奇遇だな、俺もだ」
    「殺すと面倒なんだよな」
    「そうだな。どうする」
    「どうすっかなあ」
    がたん、と大きく車体が揺れた拍子に、窓際の青年の首ががくんと落ちる。二人は咄嗟に腰を浮かせてその死体を支え、眠っているように見える姿勢へゆっくりと戻した。本来責められるべきは犯人のはずだが、二人はぼんぼんに対し、おまえは何をしているんだと言いたげな目を向けた。こっちは大変なのに呑気に死にやがって、と腹が立った。
    「上野で降りちまうか」
    「駄目だ、目立ちすぎる」
    「見張りいたら面倒だしな」
    四号車側の扉が開いたので、口を閉じる。入ってきた女性客が二人の座席横を通り過ぎたとき、肩に掛けていたショールを落とした。通路側に座っていた一重瞼が声を掛ける。
    「姉ちゃん、肩掛け落としたぞ」
    「あら、ありがとう」
    礼を口にしながらショールを拾った中年の女性は、揃って己に目を向ける二人の姿を認めて微笑ましそうに目を細めた。
    「ご兄弟で旅行中?いいわね、飴ちゃんあげる」
    「兄弟じゃねえよ」
    「兄弟じゃない」
    否定の言葉がぴったり重なる。なるほど双子なのねと合点した女性は、二人の正体など知る由もなく、親戚の子供に渡すかのように遠慮なく飴を握らせた。良い旅をね、と言い置き颯爽と立ち去る。残された二人は顔を見合わせた。
    「兄弟だと」
    「俺と、おまえが」
    「見えないよな」
    「見えるわけない」
    ミカン味を渡された方は飴をポケットに仕舞い、レモン味を渡された方はその場で小包を開いた。カロンと口に放り込む。のど飴らしい爽やかな甘みと酸っぱさが広がった。
    「とりあえず盛岡まで乗ってかねえ?」
    「仙台、着いたら考えるか」
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    Replies from the creator

    なすずみ

    PAST蜜、社会人であるということに我を溶かされるの吐くほど無理そうという偏見がある というかそういうのへの抵抗として裏社会入って生きてるイメージもある(偏見)
    檸はどこにいても檸でいられる自我を確立してるので、精神的には大丈夫(俺には縁ない世界だなあと思ってる)

    これ(過去ツイ)
    ◯果物 ネクタイ同業者はハンバーガー屋でうまさ爆発と叫ぶだとか、塗りたくられたマスタードを食べるだとかそう言う仕事もやっているらしいが、自分たちは何でも屋の中でも荒事を看板商品にする何でも屋で、しかも狭い場所より広い場所が得意で、だから街に紛れやすくも動きやすい格好が好ましく、つまり檸檬はネクタイの結び方を知らなかった。
    インターネットで調べても良いし、仲介人のおっちゃんに聞くという手も無いではない。しかしそのどちらも選択肢として浮上することはなく、檸檬は真っ直ぐに蜜柑の住処に向かった。餅は餅屋である。
    今日こなす依頼は、裏で後ろ暗い取引きをしている会社からUSBを盗んでくるというものだ。こそこそ潜り込めれば良かったが潜入対象の会社は表向き真っ当を装っており、セキュリティシステムは一般的な大手のものを採用し、会社員の大半は裏の事情を何も知らない。セキュリティに関しては監視カメラを破壊するなりシステム管理担当者を買収するなり、いくらでもやりようはあったが問題は依頼内容だった。
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    なすずみ

    PAST果物、20歳以上で出会ったからめちゃくちゃいじらしい感じになってるけど、16歳くらいで出会ってたら檸がほんの一瞬殺すの躊躇ったのを蜜が見咎めて、腕を引っ掴んで刺殺させたりして、感情の処理してから動けるはずだったのを邪魔された檸がきっちりグーパンでお返ししたりして大変だったと思う

    これ(過去ツイ一部)
    ◯果物 十代で出会ってるパターン九九さえまだ教わっていないだろう幼さにも関わらず、泣くことにも飽きたような、大人びているというには憂と諦めを内包した目をしていた少年は、檸檬を前に瞬きをした。見るからに荒っぽそうな青年を見て、既に目の前で家族を殺された少年は確かに光を目に宿した。彼が拠り所にしている朧げな記憶と重なりでもしたのだろうか。甘えを含んだ希望とも、哀願とも異なるその表情は檸檬にとってイレギュラーで、コンマ数秒程度の僅かな躊躇いを生んだ。
    蜜柑は見逃さなかった。
    檸檬がほんの小さく息を飲み、すばやく唇を噛んで呼吸を整えようとした瞬間、蜜柑はその右腕を掴んで突き出させた。反応出来なかった檸檬の手に握られたナイフは加えられた力の向きに従って少年の心臓を貫き、的確に鼓動を止める。少年が崩れ落ちるより早く、檸檬はナイフから手を離し、腕を振り解く反動を利用して蜜柑の腹部を蹴り上げた。咳き込んだ蜜柑が受け身を取らなかったのがわざとなのかどうか知らないがそんなことはどうでもいい。身体を起こしたところへ歩み寄り、シャツの首元を捻り上げて頬に拳を打ち込んだ。このまま首を折ってやろうと思った。
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