実は今履いてるのも…「さて、諸菱君…なんでこれが君の家にあるわけ?」
「い、いや、その…」
正座する諸菱の前に仁王立ちし、鋭い眼光と立ち上る邪悪な雰囲気に旬と諸菱の影がユラユラと動く
影の中の兵士たちが恐れて震えているのだろう
「その、事故…といいますか…あの、」
「へぇぇ…事故…じこ、ねぇ」
黒い布を顔の高さまで持ち上げ、まるで害虫を見やるような冷たい視線と意味深な言い方をする旬にダラダラと冷や汗が全身を流れる
黒い布は下着だ持ち主は諸菱ではなく、旬である
紛失したと思っていた下着が何故か諸菱宅にあり、遊びに来た旬に見つかって事情聴取の最中なのだ
「その、父に追い出されて水篠さん宅にお泊りした後、手違いで俺の方に入ってたみたいでして……」
「ふぅん…すぐ返すって案はなかったんだ?」
「い、や…その…水篠さん中々捕まらなくて…ご家族に渡すのも…」
「………それは一理あるな」
納得したのか、先ほど迄の重い空気が消え去りホッと一安心する、なんとか命は守れたようだ
「俺の下着だったから…まぁ、今回は不問とするけど……葵の取ってたりしないよな?」
「してませんよっっ!?するわけ無いじゃないですか!!」
怒りから一転顔から血の気が引いてスマホを取り出し緊急連絡の画面をスライドしようとする旬の足に、信じて下さいよ!と叫びしがみつく
「わかった!わかったから!しがみつくな!!」
必死な諸菱に毒気を抜かれたのか、この話は終わりだ!と一方的に叫び、持っていた下着をゴミ箱に投げ入れる旬にあぁ、勿体ないと声が漏れそうになり必死に内頬を噛んでやり過ごす
旬のパンツが1枚犠牲になったが、他の下着類を発見されて処分されるよりまだましだろう