Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    1ru_1sk

    @1ru_1sk

    小ネタとか中途半端なのとかまとめとか🔞とか諸々

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 💚 🍙 🍺
    POIPOI 7

    1ru_1sk

    ☆quiet follow

    息抜き🐯⚔️。パロ。趣味に走ってる。息抜きなので中途半端です。

    無意味な同居 トラファルガー・ローは、名家の跡取りである。
     生まれながらに人生の道筋は決まっていて、更にその道は栄華を約束された輝かしい未来だ。
     それだから、誰もが彼を羨んだし、誰もが彼を敬った。媚び諂う輩とて、幼少の時期から見分けが付くようになるくらいには沸いて出た。
     彼の世界は常に輝き、そしてそれ故、孤独であったのだ。
     
     彼の家には、当然の如く使用人がいる。
     殆どが、田舎から都会へ奉公に来た娘である。
     使用人という仕事に誇りを見出した男性も少なくはないけれど、多くもなかった。國に仕え、誇りを重んじる軍人になるのが、男たちの夢と言われるような時代だ。個々人の自由が尊重されるようになってきたこともあり、男性は自らの人生を輝かしいものにする道を選ぶのである。
     彼のように、生まれながらの華族ならば別だけれど。
     
     ところで、その彼の家に仕える使用人の中に、ロロノア・ゾロという青年がいる。
     青年は他の娘等と同じように、田舎から奉公に出てきていた。
     詳しい話を彼は生憎知れなかったが、どうやら家族の為らしい。他の娘と、理由はほぼ変わらない。
     けれども彼は、長男だという。田舎でも、長男は当然大事な跡取りであるので、そこがどうにも彼には謎であった。当然青年に尋ねたこともあるけれど、有耶無耶なまま、綺麗に流されてしまった。
     それまで使用人にそれ程興味など湧かなかった彼が、唯一心のどこかで引っかかった事項である。
     
     ロロノア・ゾロという青年は、特に特筆することがないような、寡黙で真面目な人間だ。
     変わっていることと言えば、草原のような爽やかな毛色と澄んだ瞳。そして、田舎育ちという割に整った体躯と精悍な顔つきであることだった。
     そんな青年のなにが彼の琴線に触れたのかは分からない。けれど、彼はロロノア・ゾロという個人に酷く興味を持った。
     十六になったその日、当主である父に、専属の使用人として青年の名を上げたのも、その所為だった。
     兎に角彼は、青年の鈍色の瞳や若草色の髪の毛を、もっと近くで見てみたいと思ったのだ。もっと沢山、青年について知りたかった。知る権利があると思っていたし、事実、父から専属の許可を頂戴した時、彼はその権利を得たと思った。

     彼――ローの専属になった青年は、相変わらず無口で真面目な使用人であった。
     言われたことはそつなく熟す、という程器用な人間ではないようだったけれど、真摯に取り組む姿勢は評価出来る。言葉少なな態度も、ローにとっては煩わしさがなく丁度良かった。方向感覚には難があるように見受けられたものの、遣いは別に頼めば良い。とすれば、専属使用人としては概ね満足だ。
     ただ、青年はローに、全てを晒そうとはしなかった。
     改めて奉公の理由を尋ねても、
    「ロー様が気になさることではございません」
    と起伏のない声音で帰ってくる。
     ならば直近の話題でも、と休日の様子なんかを聞いてみても、
    「特に面白味のない、本当に休むだけの一日でございます」
    などと、ゆうるり躱してしまうのだった。
     年齢や好物などは、その内に、ぽつりぽつりと聞き出せたけれど、それでもやはり、青年はどこか一歩引いてローを見ていた。
     使用人としては、立派な振る舞いである。
     然してローにとってはどうか。大変に不満であった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭🙏🙏🙏💴💴💴👍💘💴💕💕💖💖💖💖💖🙏🙏👍👍👍💞💞💞💞💞💖💴💴💴🙏🙏😍😍😍😍😍😍💴
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works