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    44_mhyk

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    【狼耳尻尾のブラネロwithベビー】朝の小さなコンサート(ラスティカ)
    ラスティカとちびっどりーです🌸
    朝市から戻ったネと賢者は、広場の方から聞こえてきた音楽にふと足を止めて…?

    ##ブラネロ

    【狼耳尻尾のブラネロwithベビー】朝の小さなコンサート「朝市、いっぱい買えましたね!」
    「ああ、付き合ってくれてありがとうな、賢者さん」
     魔法舎の門をくぐり、紙袋を抱えていたネロの人間の耳がじわり、と溶ける。最近ようやく見慣れてきたその光景に晶は頬を緩めた。
     擬態の魔法を解いたネロの頭上にはピン、と立った狼の耳。
     今朝は、一ヶ月に一度の大きな朝市の日で、早朝からネロは買い出しにくりだした。いつもの朝市とはくらべものにならないほどに規模が大きく、様々な食材や雑貨が揃う。
     ネロはいつも以上に目を輝かせ、晶を伴い人ごみの中を巧みに泳ぎ、値切り交渉にいそしんでいた。
     市場にいる時と、調理場にいる時が一番キラキラした目をしているように見えるなあ、と晶はそれを微笑ましく見守った。実際、人も店も多く通りはかなり活気にあふれ、混雑していたが楽しかった。
    「普段ここまでこねえ北の食材もいっぱい買えたし……西のも、南のも東のも、結構まんべんなく買えたな今日は」
     いつもは中央のがメインで、各国の食材と言っても流通しているのは有名どころだけなのだ。任務先や一時的に国に戻った魔法使い達がお土産にと食材を持ち帰ってくれることもあるが、全員にふるまう程の量はなかなか手に入らない。
     沢山手に入れて、皆に料理してふるまえるのが嬉しいのだろう。出身が違うから、懐かしいと思う料理ももちろん違う。皆、喜んでくれるはずだ。
     お尻の、エプロンの隙間から飛び出した髪色と同じ灰青の毛並みの尻尾が、ふっさふっさと喜びを現わして揺れる。
     何とも可愛らしいことこの上ない。
    「ちびちゃんはブラッドリーが見ているんですか?」
    「おう、ていうか俺が起きた時まだ寝てたからな、書き置きはしてきたし多分面倒みてくれてると思うんだけど……」
     今日はカナリアが朝食の当番だ。
     だからこそ、ネロはこうしてゆっくりと買い出しに行けたのだが、出発はかなり早かった。どうやら家族はまだ夢の中だったらしい。
     ブラッドリーなら大丈夫だろう。子供ができてから、彼は本当に人が変わったようにネロに寄り添うようになった。子育てにも協力的で、見ていて微笑ましいほどだ。
    「ん……? なんか横の方からにぎやかな音楽が?」
    「本当だ。なんだ?」
     エントランスに向かっていた二人は、風に乗って流れてきたメロディーに思わず顔を見合わせた。
     森へと続く広場の当たりからだ。
     いたみが早いものには魔法をかけてあるし、とネロが気が向いたようにつま先をそちらに向ける。晶も一緒に魔法舎伝いに広場の方へと向かった。
     微かに聞こえていたメロディは次第に大きくなり、近付くにつれしっかりとした曲としてきこえるようになる。
    「これはラスティカですね、きっと」
    「だな。ほんと優雅だよな。よく聞く曲だよ、子供達が真っ先に教えてもらうやつ。メロディーは全国共通らしいけど、歌詞が国ごとに違うんだ」
     俺も知らなかったけど、ヒースが知ってた歌詞と、俺が知ってた歌詞と、先生が知ってた歌詞が全部違ってさ。
     ネロが思い出したようにくっくっと笑う。きっと、どの歌詞が正しい、みたいな話になったのだろうなと晶も思わず噴き出した。
     童謡みたいなものだろうか。
    「俺の世界にもありました、そういうの。地方で微妙に歌詞が違うんですよね!」
    「そうそう、そんで……あ」
    「え? あ」
     灯紫陽花の生垣の向こうのメロディに、声が混ざり始める。
     ネロの耳が頭上でピクンと反応してその方向に向いた。
     低く耳に心地良い声が、何か古い言葉をメロディーに乗せている。
    「あぅー! ぴゃうー!」
     それに合わせているつもりなのか、甲高い可愛らしい声の遠吠えが断続的に始まった。
     ピクピク、と耳を震わせたネロが、次の瞬間、クハ、と破顔する。
     眉尻をさげて、見たことがないくらいに楽しそうに笑った彼は、晶を振り返って嬉しそうに言った。
    「ふは、これが北の歌詞だよ。ちびのは、歌になってねえけど!」
    「やっぱり歌声、ブラッドリーですよね! ちびちゃん一緒に歌ってる……可愛い……」
     ネロと一緒に灯紫陽花の生垣の隙間から顔を出すと、ラスティカがにこ、と笑顔をこちらに向けた。まだ少し髪が跳ねている。寝ぐせが残っているのだろうか、それとも風で乱されただけなのだろうか。
     彼のチェンバロにあわせて、生垣の影で足を投げ出して座っているブラッドリーが耳を倒して歌っていた。その様子は、遠吠えの時にも似ている。
     その股の間にちょこんと座った小さな愛息が、そのブラッドリーによく似たピンクの瞳でじい、と父親を見上げ時折遠吠えを試みているのだ。
     その仕草の、何と愛らしいことか。
     ああ、可愛い、と思いつつ息を詰めてみていた晶達だったが、チビの頭上のシルバーとブラックの毛並みの小さな耳がピク、と揺れ、彼はスンスン、と匂いを嗅ぐしぐさをした。
    「あ」
     ネロが、見つかったなと苦笑する。
     母親の匂いを嗅ぎつけたらしい彼は、すぐさまネロを見上げて甘えるような声で鳴いた。
     その前から気配に気づいていたらしいブラッドリーが歌を止めて、その直後にラスティカも演奏を止める。
    「よお、おかえり」
    「ただいま。ちびも、ただいま。はは、上手に合いの手入れてたな?」
     荷物を魔法でその場に浮かせながらネロがとろりと甘い声を息子に向けた。
     空いた両手で小さな尻尾を千切れんばかりに振る赤子を抱き上げたネロを支えるように、ブラッドリーも立ち上がり、浮いていた荷物をひょいっと回収する。そのまま、ネロに寄り添いすん、と髪に鼻をうずめた彼に、こら、とネロが柔らかい声を向けた。
    「おはようございます賢者様、ネロ。朝の演奏に、ちびちゃんとブラッドリーが素晴らしい花を添えてくれたので、楽しいひとときをすごせました」
    「おはようございます、ラスティカ。演奏も、ブラッドリーとちびちゃんの歌もとても優しくて素敵でした。ありがとう」
    「おはようさん、ラスティカ。こちらこそ、こいつの相手してくれてありがとうな」
     ネロのやわらかな声に反応するように、ラスティカの頭上で、彼の髪色と同じ柔らかな色合いの毛並みの犬耳がぴくぴくと揺れた。大き目で柔らかく折れた耳だ。
     そのジャケットの隙間から、美しくブラッシングが行き届いた長い毛並みの尻尾がふっさふっさと振られる。
    「またぜひ、ご一緒しましょうね、ブラッドリー、ちびちゃん。次は、ネロも、賢者さまもぜひご一緒に」
     きっと素敵なひとときになります、と言い切った彼は、どこか眩しそうにネロの腕の中で振り返った赤ん坊を見つめた。
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    recommended works

    ada

    REHABILI盗賊時代のブラネロの話 / 捏造注意 / 身体の関係がある遠い噂で、西の国で絢爛豪華な財宝や金品が展覧されると聞いた。筋は確かな情報のようで、近頃街が色めき立っている。こんな美味い話、頭が聞き漏らす訳もなく作戦は決行された。
     盗むのは自らの手が良いと宣う頭に付き合うのは相棒であるネロの役目だ。招待された者しか入れないというその会場である屋敷に、招かれた客と偽り出向く事になった。
     普段は見てくれから粗暴なのが分かるような男の出立ちだが、今回は仕立て屋で身を整える気の入り様から、潜入すらも楽しんでいる事が分かる。正直、動き易ければ拘りのないネロだが、ブラッドリーは長考し続けネロを着せ替え続けた。
    「よし、いいんじゃねえか」
    「これが駄目でももう着替えねえぞ」
    「なにくたびれてやがる、早えんだよ」
    「俺は今回従者なんだろ? なら別になんだっていいじゃねえか」
    「あのなあ。従者がどんなモン着てるかで主人である俺の程度が分かるだろ」
     従者の装いという事で首が詰まっているのが息苦しい。仕上げと言わんばかりにタイを手際良く締めるブラッドリーはずっと上機嫌だ。
    「よし、あとはお前が俺様に傅きゃ完璧だな」
    「馬鹿言え、やんねえよ」
     頭の機嫌がいいに越し 2630

    44_mhyk

    MEMOネの裏切りと、フィが彼に与えた『制裁』と魔法舎に来てからの『赦し』それによる苦しみについて(妄想走り書き、ブラネロ仕様)「ありがとう、君の手引きのおかげでようやく彼をとらえられそうだよ」
     フィガロがうっそりと笑う。柔和な微笑みの、目の奥が笑っていない。無表情でにらみつけられるよりよほど怖い。
     ネロは震えた。震えは、眼前の男への恐怖でもあり、また、己のしでかしたことへの恐怖でもあった。
     限界だった、もう死の気配に震えながら彼を見つめるのは。
     それから逃げることを許されないのは。
     だから手を取った。簡単な話だ。もう限界を超えていたネロの意識は、彼が……ブラッドリーが、生きてさえいればいい、という極論をはじき出した。
     たとえそれが彼の生きがいと言ってもいい、自由と暴力を奪おうとも。
     ただ、生きてさえいてくれればと。
     それは、ただの自己満足で、自己防衛だった。そのことに、ここまできてしまってから気が付いてしまった。
     ああ、もう、だめだ。
     これで楽になれる、自由になれるとかろうじて割れずに保たれていた何かが、パキンと音をたてた。
    「何か、お礼がしたいなあ。何か希望はない?」
    「希望……、ははっ! 罠にかけなきゃあいつ一人捕らえられないようなあんたに、何を望むって?」
     怖い。
     唇がカタカタと 1668