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    にほ。

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    にほ。

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    シンルナでルナ目線。
    シンの心臓になりたいと思うルナ。
    小話というかほとんどポエムみたいになりました。

    #シンルナ

    あなたの心臓に


    「……なれたらいいのに。」
    「え?」


    思わず口に出てしまった私の言葉に、前を歩いていたシンが振り返る。
    どこか遠いところを見つめるシンの横側を見ると、いつも湧き出る想い。

    無意識に口にしてしまった言葉を誤魔化したくて、咄嗟に明るい顔と声に切り替える。


    「……なんでもない!ねぇ、お腹空かない?どこかカフェでも入らない?」

    「うん、それはいいけどさ。……本当に、なんでもない?」

    「うん、つい独り言が出ちゃっただけ。ほら、さっさといきましょ」


    シンの手を取って歩き始める。
    顔を見られないように、少しだけ彼の前を歩くようにして。
    ………誤魔化し方、下手だったかな。



    シンが遠くを見つめている時、私はいつも彼が何処かへ行ってしまいそうな、そんな気がして不安感でいっぱいになる。
    そんな時はいつも、シンの心臓になれたらいいのにな、なんて人に言ったら引いてしまうかもしれないことをこっそりと想ってしまう。


    シンの暗闇に触れたくて。
    陰を落とすシンの心に光を灯したくて。
    死を迎えるその時も、あなたの側にいたくて。
    そして一緒に天国へ行けたら良いのにな、なんて。


    ……あぁもう。
    折角久しぶりのデートなのに、何でこんな事考えちゃったんだろう。
    こんな日くらい、シンの前で明るい女の子でいたいのに。楽しんでほしいのに。
    きっと私は今泣きそうな顔してるに違いない。



    「……なぁルナ」
    「んー?なぁにー?」


    シンの方を見ずに平静を装って問いかける。まだシンの顔は見られないから、必死に声のトーンを意識して。


    「………俺、ルナのこと。その……好き、だからさ。」


    思わず歩みを止めてしまう。
    ……バカ。何で今それ言うの。
    絶対に今じゃないわよそれ言うの。


    「だからさ、俺。ルナをおいてどこにも行かないから。だから、ずっと一緒にいよう。」


    そう言って後ろからシンの胸に引き寄せられてしまったら。
    あぁもう、ずっと溢れそうだった涙を止められる訳ないじゃない。

    それなのに、耳元でずっと心配かけててごめん。なんて追い討ちをかけてくるから。
    ……バカ、馬鹿。
    今デート中なのに。
    人通りが少ないとはいえここ道中なのに。
    シンへの文句が止まらない、なのに。

    とても嬉しいなんて。


    「……バカ。あんたが私をおいて何処かへ行こうとしたって、私はずっと追いかけてやるんだから。
    ……ひとりで何処へも、行かせてなんてやらないんだから……っ」

    「…………うん。ずっと、ありがとう。ルナ。」


    私がずっとシンを見ていたように、ずっとシンも私を見ていてくれたのね。

    嬉しい。
    私の不安に気付いてくれていた事も、ずっと私を見ていてくれた事も。
    そしてシンの口から聞ける、私たちの未来を願う言葉が。


    泣き顔を見せたくないけれど、今すごくシンの顔が見たいから。

    彼の腕の中で振り返り真紅の瞳を見上げると、まるで愛しさを伝えてくるような、目尻を下げて穏やかに笑うシンがいた。

    その優しい表情を見た途端に、とてつもない安心感を覚えたけれど。
    同時に、いつになく大人びた表情をするシンに胸の高鳴りと悔しさを覚えてしまったから。


    「……………あんたって思ったよりも、私のこと、だーい好きよね。」
    「………はぁっ!?」


    少し茶化すようにすればほら。
    いつもみたいに、まだ少しガキっぽさを残す表情を見せてくれるから。


    「なんだよ、それ!思ったよりってなんだよ!」

    あ、突っ込むところそっちなんだ。
    だーい好き。の方じゃないのね。


    「だぁーって、あんた全然そう言うこと言ってくれないからわかんないし。」

    「うっ、確かにちょっと前はそうだったかもしんないけど…。でも最近は割と言ってるだろ!」

    「まぁーたまに?言ってくれるけどー。
    でも彼女としてはもう少し言ってくれてもいいと思ってたのよね〜」


    涙の残る目を擦りながら茶化す私に構わず、うっとシンが唸る。
    割とつい最近までシンにそう思っていたのは本当。
    でも。


    「……だからね。今みたいに言葉にしてくれるとすごく嬉しいのよ。
    私こそありがとね、シン。」


    大好きよ。


    そう愛を告げれば、みるみる内に真っ赤になった顔のシンが強い力で抱きしめてきて。


    俺も。と耳元で囁いたりするから、シンの熱がまるで耳元から私に伝染するように、全身に広がり熱くなっていく。


    「………ところでここ、街中だけど?」


    なんて言って、余裕あるフリをするくらいは許してほしい。
    ハッとなって顔を上げたシンを見れば、真っ赤な顔がさらに真っ赤になっていて。


    「〜〜〜〜っ!!あーもう!!ルナが悪いんだからなっ!」


    そう言って、今度はシンが私の手を引いて前を早足で歩き始める。
    …シンが身体を離してくれて助かった。
    だって今もどきどきと脈打つこの胸が、あのまま抱きしめ続けられていたら抑えられそうになかったから。


    耳を赤くして私の手を引くシンを見て思う。
    今はまだ、シンのことガキとか思っちゃうこと多いけど。
    そう遠くない未来にそのガキっぽさが恋しくなる日が来るのかもしれない。
    不安になるくらい、日に日に大人びてカッコ良くなるシンだから。
    だから、今はまだ。
    ガキっぽいシンも、もう少しだけ。
    私が大好きなあなたの無邪気な表情を、たくさん私に見せてほしい。

    よくよく考えたら、シンの心臓になっちゃったら、シンの表情が見れないし、抱きしめたりキスしたりも出来ないわね。
    やっぱり私は、シンのそばで笑顔を見たいし、抱きしめたいしキスもしたいから。
    だからずっと、あなたの隣で生き続けよう。




    あなたの心臓になれたら、なんてもう思わない。
    想わないから、
    だからずっと。
    この手を離さないでいて。






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    にほ。

    MOURNINGとある日の情報省の小話。
    ディアミリだけどミリはまたも不在。

    ミリと婚約中でシホちゃんに惚気たいディと、
    ディのしょうもない惚気話に仕事を邪魔されたくないシホの攻防。笑

    なぜかシホちゃん視点。
    ただディにミリについて惚気させたかっただけなのに犠牲者が一名出てしまった。
    ごめんよシホちゃん。

    イザシホ前提だけどイザシホ感は薄め。と思う。
    日常話を目指したのに何故かディが気持ち悪くなった。
    今日も今日とてデスク業務が立て込んでいる。
    そんな中で、時折やたら気の抜けたため息が聞こえてくるのは今日は何度目だろうか。



    「はあー……」


    人のこめかみをぴくりと反応させるこのため息の主はエルスマン大尉のもの。
    大尉のこういった姿を見るのは珍しくない。
    なんだったら日常茶飯事と言ってもいい。

    けれど我々情報省のメンバーはこのため息に触れたくはない。
    触れてしまったら最後、エルスマン大尉の惚気地獄の犠牲者に成り果てるから。


    「はあ〜……あ〜」


    それにしても今日は回数が多い。
    なんなの。
    鬱陶しいことこの上ないわ。
    どうせこの(一応)上官の婚約者であるミリアリアさん関連であることは、今までの経験でわかっている。
    このため息に最初の内はちゃんと反応してしまい、何度痛い目をみたことか。
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