isgと半ゾンビkrnのゆるゆる世紀末②「絶対大丈夫だ、黒名。今度は俺がお前を助けるからな」
そう言った潔を、黒名は黙ったまま見つめ返す。どうやら、黒名という響きに反応しているようだ。
潔は体育座りをしている黒名に小声で語りかける。
「これ痛そうだな……。お前、よく自分で血止めたな。噛まれたら感染するって知ってたのか?」
黒名の腕を見ると、傷口に巻き付けられた布の血の滲みが少し濃くなっていた。
あたりを見回した潔は代用品を探すが、書類やファイルばかりで役に立ちそうなものはない。
テーブルの下から這い出た潔は、机の上の文房具立てからハサミを掴み、ついでに近くのティッシュを数枚抜き取って元の場所に戻る。
バスタード・ミュンヘンの上着を脱ぎ、その下に着ていた長袖のインナーシャツにハサミを立てた。
4562