背中 寄りかかった先のバギーは、珍しく何も言わない。
それもそのはず、当の本人はどこぞから拝借という名の窃盗で手に入れた宝石やらを鑑定するのに大忙しだ。
見習いの頃から変わらない。掃除や鍛練だとすぐに集中力が切れてしまうくせに、宝石や財宝に関しては忌々しいほどの集中力をみせる。正直、バギーがここまで財宝に拘る理由も気持ちもわからない。わからないし、こうやって一切構ってもくれなくなるからつまらない。つまらないが、おれに気が付いていないわけではなく、気付いているうえで無視されているから、ある程度待っていれば気にしてくれる。
その甘さをいつも利用していた。
待てばどうにでもなる、こっちが諦めなければ構ってくれる。たまに集中しすぎて忘れられることはあったが。
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