欲しいモノ「おれがせっかくきてやったのに」
「なんでィ、今日はやたらというじゃねえか」
飯代を懐に忍ばせてバギーに会いに来たのは遡ること三時間ほど前。相も変わらず俺の姿を見た瞬間に嫌そうな顔した男を捕まえて、奢るからと二軒目のおでん屋。一軒目でガバガバと酒を飲んでたくせに、今じゃもうおれの半分ぐらいしか手をつけてない。冒頭の言葉を出会い頭から何度も繰り返していれば、ヘイヘイと適当に流すだけだったバギーも気にはなってくれるらしい。
とはいえ、気になる程度で深掘りしてくるかといえばそうでもない。そりゃあだってとあまりの素っ気なさに勿体ぶってみせたら興味は次のおでんの具へと移っていた。
大根、たまご、がんもどき。
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