注射した後の話「ねぇ、注射痛かった?」
「平気。俺は不死身のヒーローだから」
「…あー、まぁ…痛かはねぇな……おう」
段々歯切れが悪くなっていくコウに思わず吹き出すところだった。痛みは知らないけど、注射が苦手でなのは確実で明らかに消耗してるのが顔にも出てる。
「あはは、コウくんお疲れさま」
「馬鹿っ、撫でんな」
それを知ってか目一杯背伸びしてコウの頭に手を伸ばしてた。といってもちっとも届いてないけど……。
「…ねぇ、」
「なに?ルカ?」
「俺、本当は注射痛かったんだ………て、言ったらどうする?」
二人の目が丸くなってたけど、直ぐにコウの眉間に皺が寄った。『バカルカ』だなんて怒るんだろうなて思ったら、先に吹き出したような声が聞こえた
「もう…ルカったら…ほら、おいでおいで」
まるで犬扱いだけど自然と頭を下げてた。
「頑張ったねルカ、よーしよし」
両手で撫で回された後に、くしゃくしゃになった髪を整えてくれた手がなんか凄く気持ち良くて笑ってたらコウから小さな舌打ちが聞こえた。
「そろそろ行くぞ」
「はぁーい」
「…あーぁ、ラブラブだったのに」
怒鳴り声とちょっと恥ずかしがってような声が混ざっちゃって訳が分かんなくなった。結局三人で笑った。