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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    呪いのナニかになった羂とショタ髙の羂髙
    普通の定義に入ろうとする髙と普通になるのを許さない羂

    親が言う、普通が分からなかった。
    何時も寄り道する古い神社の階段に座って、ランドセルから国語辞典を取り出す。
    「ふ、ふつ、ふつう……」
    ふのページを開いて、普通と言う言葉の意味を指を使って探した。
    意味が分かれば、少しは普通になれるのかもしれない。
    「何を調べているんだい、髙羽?」
    「普通の意味。羂ちゃんは知ってる?」
    羂ちゃんは、この神社に住んでいるナニか。
    ちゃんと説明された事がないから、多分人ではないのだと思う。
    真っ黒な人の形を模しているだけのナニかだけど、俺は羂ちゃんは怖くなかった。
    寧ろ、自分の親を含めた他人の方が俺は怖いと思う。
    「普通の意味ねぇ。きっと髙羽が求める普通は、そこには書いていないよ」
    「そうなの?でも、言葉の意味を知るなら国語辞典だって先生が」
    「多数の意見を集約した定義を知るなら、それは使い道がある。でもね、髙羽。それは単なる定義であって、答えではないんだよ」
    羂ちゃんはたまにこうして、難しい事を言って俺を悩ませる。
    学校ではそう教えられたのに、羂ちゃんが言うには答えはここに載っていないらしい。
    それでも一度は目を通しておこうと、普通の意味を読み上げた。
    「普通とは、とくにかわっていないこと。ありふれたこと……あたりまえであること」
    「答えは見付かったかい?」
    「……つまり羂ちゃんの事が見えない事が、普通ってことなの?」
    真っ黒なのに羂ちゃんの表情は、俺には分かってしまう。
    今の羂ちゃんは、ムッとして怒っている。
    俺が、見えない事が普通だと言ったせいかもしれない。
    どうしようと思って謝ろうとすると、羂ちゃんが何かを閃いた様な表情を浮かべた。
    「みんなが私を見られる様になったら、髙羽が普通になるよね」
    「え?」
    「髙羽の両親が君に言う普通って、有象無象の人間は私と言う呪いを認識出来ない事だろ?だから、見えてしまう君を押さえ付け様としているんだ。この点については、夏油傑の思想には私も同意するね」
    羂ちゃんが、こうして饒舌に喋り出すと良い事が無いのを俺は知っている。
    神社に居る羂ちゃんの事を話したら、そんな奴は居ないと否定された事があった。
    本当に居るか確かめに来たクラスメイトには、羂ちゃんが見えなかったらしい。
    らしいと言うのは、俺以外の人には羂ちゃんが見えなかった事を知らなかったからだ。
    何時もの様に俺に手を振った羂ちゃんを指差して、あれが羂ちゃんだと伝えたがみんな一様に見えないと言った。
    「嘘つきじゃん、髙羽」
    「うーそつき!うーそつき!」
    一人が囃し立てれば、みんなが俺を嘘つき扱いし始めた。
    「本当に居るんだって!見えないの!?ね、羂ちゃん。何か言って……」
    俺が嘘つき扱いされた時から、羂ちゃんの様子はおかしかった。
    羂ちゃんが怒っているんだと分かった瞬間、嘘つき扱いしたクラスメイトが階段から転げ落ちていた。
    「へ?羂ちゃん……?」
    一人、また一人と階段から落ちていき、落ちきった先で頭から血を流していた。
    まずいと思って、階段を降りようとしたら羂ちゃんが俺の手を引いて境内へと向かっていく。
    「羂ちゃん、みんなが!」
    「あぁ、放っておけば誰か助けに来るでしょ。それよりも髙羽。私とお話をしよう、あんな猿どもの事なんて忘れてさ」
    ニコッと笑う羂ちゃんに短い悲鳴を上げると、階段の下から大人の声が響いていた。
    羂ちゃんは特に気にした様子もなく、少ししたら降りる様にと俺に言った。
    「今降りると、君があいつ等を突き落とした事になるからね。それは嫌でしょ?」
    俺を抱き締めながら、耳元で優しく羂ちゃんが囁いた。
    それからこの神社は立ち入り禁止区域とされて、俺はクラスで浮いた存在となった。
    同時に、ナニかが見える変な奴ともされて両親から普通になれと言われる様になったのだ。
    「羂ちゃん、俺……普通にならないから、やめて?」
    「本当に?」
    「うん。いい、普通じゃなくて」
    多分、羂ちゃんがさっき言った事をすると、クラスメイトを階段から突き落とした事より大変な事になると思う。
    つまらないなと呟いた羂ちゃんは、俺をあの日と同じ様に抱き締めて頬を寄せる。
    「本当、私は君には甘くなってしまうな」
    「ありがと、羂ちゃん」
    擽ったさに目を閉じて、羂ちゃんを抱き返した。




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