一度は死んだ身ではあるが、私は髙羽の術式で生き返ってしまった。
三度も同じ体を殺すのはと躊躇われた上に、犯した罪を償えと言う事で生かされた。
「どっか行くの?」
「んー、秘密?」
たまたま弄っていたスマホに出てきたコンビニの新商品が、気になって立ち上がった時だった。
狭い髙羽の部屋だから、どちらかが動けば直ぐに分かる。
私が無言で動いた事に、慌てて髙羽が私に声を掛けてきた。
生き返った私に課せられた縛りは、髙羽と常に一緒に居る事。
最初は四六時中一緒なのはちょっとと思ったけど、今はそれなりに満足している。
髙羽は髙羽で私を逃がすと怒られるらしく、こうして私が無断で何処かに行こうとすると後を付いてくる。
犬みたいで可愛いのかもしれないと思い始めた時点で、私は相当髙羽が気に入っていると自覚した。
それと同時に、髙羽を一人で呪術師の世界に置き去りにしなくて良かったとも思う。
「え、秘密って。また変な事、考えてんの!?赤は御法度だって言ってるじゃん」
「嘘だって。コンビニ行こうと思っただけだから、一緒に行こうか」
「行く!何買う?俺、おでん食いたいかも」
「そうだね。熱々のおでん食べさせてあげるよ」
「それ、ダチョウさんの持ちネタだから!!」
「髙羽なら出来るよ」
私の後を犬のように付いてくる髙羽に、ふっと笑う。
千年間生きてきた中で、一番満たされている今が罰だとは思いたくはなかった。
これは甘美な毒ではあるが、それでも私は構わない。
「髙羽。好きだよ」
何気なく出た言葉に、髙羽以上に私の方がびっくりした。