星に願いを「どうか、俺のために今のお前の全てを捨ててくれないか? 代わりになるかはわからねぇが、これからの俺の全てをお前にくれてやる」
そんな兄の言葉と共に差し出された手を取ってから早数ヶ月。
昼側の勝利によって争いに決着が着いたとは言え、未だ両者の間に緊張は耐えず。最近は人間による過剰な吸血鬼狩りが問題になっているらしい。
それに対する吸血鬼達の抵抗も。
昼の英雄たる赤い退治人やその仲間達、それに竜孫公を中心に主だった古き血の当主達がなんとか両者の軋轢を解消しようと奔走しているそうだが、おそらくそう簡単にはいかないだろう。
憎しみというものはそう簡単には拭えないものだ。
現在は常に身につけていたマスクを外し、髪も下ろして服装も兄と同じ和服に変える事で外見の印象をだいぶ変えているとは言え、常に前線に出ていた私は人間側にも吸血鬼側にも顔が割れすぎている。
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