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    konekonepie

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    konekonepie

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    さめしし 異種婚姻譚パロ 幕間
    ちょっと粘膜触れてるのでこっちに収納

    異種婚姻譚パロ幕間「ほいほい引っかかったのが単なる化け猫二匹で良かったなあ、礼二君」
     開口一番そう言い放った叶に眉を寄せたが、彼の言葉に反論は出来ない。隣に座っている獅子神は何の話やら、といった顔で首を傾げており、何故今猫二匹の話が出てきたのかと不思議そうにしている。
     黙っていても勝手に遊びにくる叶をわざわざ呼び出したのは、人ではないものを引き寄せてしまいがちな獅子神の属性に対してどう対応するかの意見を求めたからだ。私の花嫁なのだと主張するとして、方法は幾らでも思いつきはするが彼の体に影響の出ない方法がなかなか難しい。
     常に分体を彼の側におくわけにはいかず、影響を抑制出来る私本人が側に居続ける訳にもいかない。兄とは真逆の性質を持つ私が護符を編み上げられるはずも無い。これは、と方法を思いつくたびに、いやしかし、と首を横に振る有り様になっていたのだ。
    「なるべく礼二君からの影響を抑える、となるとあんまり強いのはつけられないから……こまめに付け直していく形でいいよな?」
    「ああ。長く離れる用が出来た際は別で対応する」
    「オレか晨君に留守番頼んでもいいぞ」
    「あなた達に頼むくらいなら社を封鎖する」
     けち、と呟きながら目を細める叶が此方に寄って来て、私の隣にいる獅子神の様子をじっくりと見分し始める。あちこちを回る道すがらこの社を稀に訪れる真経津は獅子神の成長に驚いていたが、叶は頻繁に顔を出しているせいか、それほど反応を見せた覚えが無い。それでも背が伸びたな、だとか話はしているので、人間の成長に気を向ける事自体は出来るのだろう。
     獅子神も叶の視線には随分と慣れたのか、初めの頃こそ私の袖を掴んでいたが今は大丈夫だ。しつこく感じた辺りで自分で断るようにもなってきたので、度々構って貰えずにだらりと床に伸びている叶を見ることすら出来る。
     じっくりと様子を見た後、うーん、と呟いて叶は腕を組んだ。何が悪い事がある、というよりは、どうしたものかと考えているような顔をしている。私よりも随分人に関わって過ごしている彼ならと思ったが、やはり私の希望が厳しすぎただろうか。
    「どうかしたのか」
    「オレの印は基本的につけたいと思った相手を犯して刻むけど、礼二君はまだそのつもり無いだろ。まめに付け直すって言っても、あんまり敬一君に刺激の強いのはどうかなーと思って」
    「……妙に奔放だと思ったら、そんな事までしていたのか、あなたは」
    「結構喜ぶ奴いるんだぞ、二本あるのも」
     それ以上その話はするな、と軽く片手を振ると、叶は愉快そうに笑う。獅子神は早々に私と叶の会話の内容を理解するのをやめたのか、控えめに体を寄せてきたので肩を抱くようにして引き寄せた。少し照れたように笑い、そのまま此方に寄りかかってくる。まだ行動にこそ幼さが残っているが、私の元に来た当初から比べると随分自覚が出来てきたように思う。
     そのまま彼を腕に抱いて撫でていると、蚊帳の外に置かれて少々唇を尖らせていた叶がぽん、と手を叩く。その音に揃って顔を向ければ、いい事思いついた、と自信ありげに頷いてみせた。
    「良い案が思いついたのか」
    「そう。オレみたいに手元から離れて暮らさせる訳じゃないから、匂い付け程度でも効果はあるだろうと思って。余程の馬鹿じゃなけりゃ、礼二君の気配が付いてるモノに手を出したりはしないだろ」
    「匂い付けか……」
     私自身に体臭らしいものは殆ど無いが、気配としての匂いなら付けられるだろう。己よりも強大なものの気配を感じてなお手を出そうと言う気概のあるものなら、私が気付かない訳もない。獅子神への影響を考えれば、この辺りが落とし所といったところか。
     身を寄せた獅子神が自分の着物の袖と私の袖を持ち上げて軽く嗅ぎ、少し首を傾げた。今の状況だと、獅子神自身の匂いと私が焚いている香の名残しか残っていないだろう。あとは叶の着物に焚き染められた甘い匂いが部屋に漂っているくらいだ。
    「接吻でも毎朝してあげれば十分だ。……あ、流石にちょっとちゅっとしたくらいじゃ匂いつかないからな? もうよちよち歩くような歳じゃ無いんだから、そのくらいしたっていいだろ」
    「えっ」
    「……なるほど」
     にたにたと心底愉快そうな笑みを浮かべる叶の言葉に一理ある、と頷くと、驚いたような顔をした獅子神が此方を見上げた。毎朝軽く彼の額に口付けてはいるが、きちんと唇を重ねた回数はまだ彼の手の指だけで足りる程度だ。それが急に毎朝、となると驚いたとしても無理はないだろう。
     唇を重ねる程度では駄目だと言うことは、舌でも入れれば良いのだろうか。人間を相手取るのは獅子神が初めてだが、流石にこの辺りの加減を叶に聞くのは憚られる。
    「あなたが嫌で無いのなら、その方法を取ろうと思うのだが」
    「い、嫌じゃねーけど……オレ、ちゃんと出来るか分かんねえ……」
    「大丈夫だ。力を抜いて、喉を開いておけば良い」
    「……うん?」
     獅子神の頬に手を添えてそう囁く。素直に頷いた彼の額と鼻先にそれぞれ口付けてから、その柔らかな唇を啄んだ。叶が視界の端で首を傾げている気がしたが、意識にそれが映ることは無い。
     ちゅ、と小さく音を立てて吸い、そのまま舌を押し付ければ素直に隙間が開く。唇を、歯列を割り開いて差し込んだ舌をずるりと獅子神の口内へと滑り込ませ——喉へと、進ませた。
     、とくぐもった声が鼻から抜け、形のいい眉が寄って眉間に皺を寄せる。気道ではなく食道に伸ばした舌の先が、抱え支えた彼の体を震わせながら胃へと向かっていく。どの程度擦り込めば十分だろうか。呼吸を長時間阻害するのは体の為にもならないだろうと判断し、噴門の手前で動きを止めるとずろ、と抜き戻していく。
    「ん、……っ……!」
     袖を掴んでいた手に力が入り、ぎゅう、と布地に皺を作っていくのが分かる。このまま獅子神を抱えて別の部屋に行ってしまいたくなる衝動を抑え、柔らかな金糸の髪を撫でてやりながら喉から舌を引き抜いた。
     唇を離した途端に深く息を吸い、そのままけほけほと咳き込んでしまった背をゆっくりと撫でる。この程度の粘膜への接触なら、確かに体に及ぼす影響は少なくて済むだろう。どちらかと言えば、それ以上に手を出してしまいたくなる感情の方に問題が出てくるくらいだ。
     これを毎朝か、と少しばかりの不安を感じつつも、獅子神の安全の為ならば私が堪えるしかないと決意を抱いたところで、ごほん、と叶が咳払いをした。視線を向ければ、何とも言えない呆れたような視線が返ってくる。
    「礼二君、ちょっと人間……いや、生き物に慣れて無さすぎじゃないか?」
    「何だと?」
    「あのな、普通は喉に異物が入って来るなんてのは耐えられないんだぞ。ちゃんと頑張ったんだから、後で目一杯褒めてやれよ」
    「……そうか」
     なるほど、と思いながら視線を獅子神に戻すと、溢れた唾液で濡れた口元を拭っていた。私の視線に気づいた途端、赤く染まっていた頬を隠すように顔を背けてしまう。苦しい思いをさせてしまったのは確かだが、顔を隠されてしまうと少しばかり寂しく感じる。
     そっと獅子神の顔を隠すように抱き込んでやると、ちらりと視線だけが此方に向いた。耳まで真っ赤になってしまっているが、余程苦しかったか、それとも別の要因か。
    「すまない。苦しかっただろう」
    「あ、おう、……ちょっと」
    「また別の方法を考える。あなたに無理をさせるつもりはないから安心するといい」
     叶の言う通りだ。生物の仕組みについては散々調べたものの、生身についての知識が私には足りなかった。いくら愛しいものの体だとは言え——否、愛しいものだからこそ、私は私の身の振るい方を考えなくてはならないだろう。
     良い案だったがやはり考え直さなくては、と思考を別に向けかけたところで、ふと襟を引かれる。その手の力に引き寄せられるまま獅子神の方へと少し顔を寄せると、内緒話でもするかのように耳元に唇を寄せられた。
    「息だけちゃんとさせてくれれば良いから……あれでいい」
    「獅子神、無理は——」
    「してねーよ。隠し事したってすぐバレるだろ」
     だからいい、と続ける彼はやはり照れくさそうに笑っていて、私はそうか、とその言葉を了承するしかなかった。それでも顔をまだ出すのは嫌なのか、そのままするりと私の後ろに隠れてしまう。前よりもずっと大きくなって、私の体からはみ出てしまう手足が愛らしい。
     その様を眺めていた叶はいつの間にか半身を蛇に戻しており、とぐろを巻いた体の上に頬杖をついてにまにまと笑っている。真経津もこの男も、獅子神が来てから私を揶揄うネタが出来たとばかりにこうした目を向けてくるので、少しばかり腹が立つ。
    「ご苦労。問題は解決したようだ」
    「敬一君とオレの扱いに差がありすぎないか?」
    「気のせいだろう。粗雑に扱うような相手に私は頼る事は無い」
    「そりゃまあ、礼二君に頼られるのは嬉しいけどさ。何でも出来ると思ってた相手な訳だし」
     仕方ないなー、と言いながらも叶の機嫌は上々だ。この話題でもう数十年は上手く相手取る事が出来るだろう、なんて考えつつ背中にくっついて離れない獅子神を背後に回した腕で撫でる。
     身の安全が保証されるのが先か、私の理性が擦り切れるのが先か。願わくば前者である事を祈りながら、その温もりを感じていたのだった。
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