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    akariya0309

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    akariya0309

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    しょくさい2024秋展示です!!
    さめしし+ダチ、さめししはあんま絡んでませんが……。またぴこに絡んでもらった。ヘキか?
    10月29日パス外しました

    #さめしし

    かみさまのいたずら『ちょっとトラブった!一時間くらい遅れる!』
    『人手が足りず、今日は日中に行けるかわからない。夜には顔を出す』
    『ごめーん、いま御手洗くんと買い物してるから終わったら行くね!』

    競うかのような通知音のラッシュのあと、メッセージアプリを開くと上から叶、村雨、真経津から連絡が来ていた。三件とも十一時三十七分。秒単位でしかラグがないのは何故なんだ。
    「神を待たせるとは罪深い……」
    「ん、天堂も見たか」
    「叶は大方編集が終わらないか、急遽メンテナンスが必要になったのだろうな」
    「村雨はまー元々夜勤明けだしズレることはあるわな。真経津がわかんねぇけど」
    「どうせダブルブッキングだろう」
    真経津には忘れっぽいところがある。遊びの誘いをしておきながら忘れるとか。あとは単純に、一回飽きたけどふとした拍子に探そうとしてもどこにしまったか忘れているとか。熱が向かない事については忘れてしまうのだ。今回は俺達との集まりと御手洗との買い物、どちらを先に約束していたかはわからないが、多分、御手洗が家に迎えに来たことで思い出したのだろう。つまり御手洗は、まあ、ドンマイだ。
    叶についてはわからない。あいつの言うトラブルが何通りの何を指すのか、それを知ろうとする事そのものが悪手。
    「しゃーねぇな。天堂だけ先に昼飯食っとけよ。俺は」
    「村雨に弁当を持っていく、か? 献身的なことだ」
    「……そうしようかとも思ったけど、お前だけ残したあと叶と真経津が来るの考えたら無理があるんだよな」
    家主がいても無許可で家探しをする輩が来ると言うのに、悪乗りしそうな人間に留守は任せられない。村雨の仕事もいつ一息つくかわからないし、悪いとは思いつつも二人きりのトークルームで労いの言葉を送るに留めた。グループトークとのログと合わせれば間違いなく俺の家がどうなっているかわかるだろう。
    既読にならないのを確認して、まあ仕方ないかとキッチンへ向かう。
    オムライス用の卵を二つボウルに割り入れ、軽く混ぜる。今日の天堂はタンポポのような見た目の半熟が食べたいだろうと踏んで、フライパンの上でオムレツ状に丸めていく。それをチキンライスに乗せたあと包丁を入れてほどけば、つやつやとした黄色い円が広がった。
    「はいよ。んで、ケチャップでいいのか?」
    デミグラスソースの用意もしているが、なんとなくシンプルな色味を覓めている気がしたので家庭用サイズのボトルを出す。中身よりも鮮やかな爪先を持った手はそれを取り、卵の上をすべらせていく。
    「今日の読みは中々だ」
    ボトルを置いた天堂は楽しそうに微笑み、オムライスに口をつける。
    「美味だ」
    「そりゃどーも」
    「ところで獅子神、ちょっとしたイタズラに興味はあるか?」
    「は?」

       ***

    二時間ほどした後、叶と真経津がやってきた。叶からは『もうちょいかかる!もしかしたら晨君と同じくらいに着くかもな』というメッセージと自作のスタンプが送られてきていたのだが、本当に同時に来るとは思わなかった。二人で示し合わせて来るわけもないし、叶が御手洗と買い物をしている、という事実から計算をしたのかもしれない。
    「はー、マジでまいった。疲れたー」
    「叶さん何してたの?」
    「トラブルシューティング」
    お前はウイルスバスターか何かか。
    このままだと、賭場内限定の価値観でいうところの和やかな話題になりそうだった。仕方がない。
    「メシ食ったのか?」
    「俺はまだ。晨君は?」
    「御手洗くんとスコーンとかパフェ食べたけど、獅子神さんのオムライスは食べたいな。あっそうだこれお土産!流しそうめん機!」
    「いらねえ!」
    一体、どこでどういう買い物をしてきたというのか。中身の組み立てが必要なかさばる箱をおしつけようとした真経津を威嚇し、放置されたら次に真経津の部屋に集まる時に置いてきてやろうとかたく誓う。着払いにしないのは、配達員に迷惑になりそうだからだ。御手洗に払い下げれば喜ぶのかもしれないが、真経津は絶対に俺の家に持って行くことを漏らしている。それがワンバウンドした上で自分に来たとなれば、普通の神経をしていれば不快感が十割だろう。つまりこれは、もう曰く付きの品物なのだ。
    「流し素麺パーティーとか考えてるならお前が茹でろよ」
    「え、ヤダ。麺と麺ですぐくっつくし、鍋底にもくっつくし、吹きこぼれるし」
    「ミルクパンでやったのかオメーは」
    「そういやユミピコ静かだな」
    「あ? 菓子食ってるからだろ」
    「赤ちゃんかよ」
    べらぼうに長いわけでもない廊下を抜けた先のリビングでは、天堂が静かにティータイムをしていた。午後特有の低い日差しが、適度に遮熱してくれる窓を経由して天堂を照らしている。山盛りだったフィナンシェやらクッキーは三分の一が消えている。紅茶は二杯目のようだが、菓子に吸われる水分との釣り合いがとれているとは思えない。何回集まってもなんだこいつ、と感じてしまう。
    それは他の人二人も同じだが。
    「ねぇ天堂さん」
    「ようやく到着したか。神への供物はあるのだろうな?」
    「スコーンはあるけど」
    「エナドリしかない」
    「スコーンは皿へ。黎明、お前は次回トラブルが起きた時に私を頼るな」
    「はー? 頼らねーよ」
    天堂と叶の会話はスルーに限る。俺はオムライスの準備をするべく、再びキッチンに立った。
    「あっ、獅子神さん獅子神さん。僕、卵がドレスみたいになってるやつがいい」
    「はぁ?」
    「あー、これみたいな……肉まんのてっぺんみたいにねじるカンジだな」
    ドレスみたいな卵というのがわからないでいると、叶が端末で画像を見せてくる。ハンカチの真ん中をつまんで少し捻ったかのような卵がかかったオムライスが見えた。なるほど、ドレスを来てターンをしている姿を上から見たような形に見える。
    「やってみっけど、破けても文句言うなよ」
    「獅子神さんならできるよ」
    にこにこと無邪気に笑う真経津はまだ流し素麺機の箱を抱えている。オムライスと交換したらあとで玄関に置いておこう。
    「俺も卵は晨君と一緒でデミグラスソースかけてくれ!」
    「はいよ」
    「そうだ、なんでほくろ隠してるの?」
    卵を手に持ったタイミングなのはわざとなんだろう。バレバレなのにどうして、という空気の真経津と叶が首を傾げている。真経津はともかく、叶はツラの整い具合がいいから許されているようなものだ。頬に人差し指まで当てているのはあざといを通り越して恐い。顔出し配信者であることを差し引いても、自分の立て方を把握しすぎている。
    迎え入れた瞬間からバレていたのだろう。まあそうかと思ったが、たいした悪戯にもならなかった。
    「仕掛け人ー。バレたぞー」
    「まあそうだろうな」
    クリームもジャムもつけずにスコーンをかじっていた天堂は、それでもなぜだか楽しそうに笑っていた。ひょっとすると熱でもあるのかと思ったが、その場合叶や真経津が指摘していないのは不自然だ。よって体調不良ではなく、ただそういう気分であるというだけなのだろう。

    昼過ぎ、オムライスを食べ終えた天堂は持参していたメイク用品を出してきて、俺の左目の下にある泣きぼくろをすっかり隠してしまった。ほくろ周りしかいじっていないのに、何もしていない地肌から浮いているということもない。普段から化粧をしている人間は器用だ。
    鏡を見るとむず痒いような自分が自分でないような奇妙な感覚があったが、すぐに慣れた。別にこのほくろが俺自身の大部分を占めているわけじゃない。その事実を視覚的に認識したに過ぎない。
    「ふふ。すぐにわかるのは当たり前だが指摘するまで時間があったな」
    「だって獅子神さんがそんなことする意味がないじゃない?」
    「メイクだからユミピコだろうなと思ったけど、だから? ってカンジはあったよな」
    遅刻組はオムライスを食べながら未だに疑問符を浮かべているが、別に意味もなにもない。ターゲットの肩に手を置き、振り向くタイミングで頬に刺さるよう人差し指を伸ばす悪戯のように、思案もくそもない。強いて言うなら児技だった。
    「カミサマもくだらねーことしたくなるもん?」
    「神の行いにくだらないものは何一つ無い」
    「御手洗君の甘言には乗ったのに?」
    真経津の言葉を訳すと、「甘言に乗る俗な部分があるんだからくだらない事もするでしょ?」になる。多分。真経津と天堂のゲームは、なぜだかゲームの裏を知っていた御手洗が担当になったせいで天堂がいつものプレイスタイルを貫けなかったとかなんとか、そういう試合だったらしい。二者共、感想戦をするようなタイプでもないのでそれ以上は知らないが、ノイズの入った試合だっただけに天堂はとくに話したがらないフシがある。神を自称していることも理由の一つなのかと考えたことはあるが、趣味で私刑を行うタイプなのでなんとも定義しづらい。
    海外の神話や古事記だと人を殺しまくったり浮気をしまくったりと、現代の法律に則ると有罪どろころでは済まないカミサマばかりなので神というもの自体が白くはない存在なのだとは思うが。
    「……真経津、その御手洗と一緒に教会に来なさい」
    「お説教ってつまんないからヤダ」
    「説教で済めばいいけど」
    オムライスを平らげた口を拭きながら答える真経津の姿は生意気の一言に尽きる。二十二歳かつ童顔気味で当たりも柔らかそうなのでナメられやすいが、それを計算してやっていないのが真経津の嫌なところだ。三十とかになってもこのままの調子だったら俺は、それでも遊びに付き合うのかもしれない。
    「喧嘩するならババ抜きとかでやれ、埃が散る」
    「僕はやる気ないよー」
    「縄を持ってくるべきだった」
    「ヤメロ」
    「てか今日何すんだっけ」
    「忘れたー! あ、ゲームしよっか。この間置いていったやつあったよね獅子神さん」
    「あ? あー、あのよくわかんねえカードゲーム…?」
    真経津が置いて行ったのは引いた言葉でプロポーズ文を考えるアナログゲームだった。予行練習だと思って一人でやっていてもいいよ、と言われたので恥ずかしさで寝室にぶん投げた気がする。それ以来忘れていたので未開封だ。
    「持ってくる」
    その後、ランダムに引いた言葉で文を作る段階でいちゃもんみたいな拡大解釈が展開され、上澄みにいるギャンブラーにやらせたら駄目なゲームであることだけはハッキリとした。

    やがて日が落ちる頃には皆解散し、村雨だけが来なかった。
    食器やゴミ類を片付けながら、冷蔵庫に寝かせている肉のことを考える。昼間に村雨が来られていたならまずは昼寝をさせて、夜に食べさせようとしていた赤身肉。今日は無理かもしれないと思いつつ、手を止めてメッセージアプリを見る。既読はついていない。
    そんなもんなんだよな。
    スポンジに洗剤を出したところで、玄関からの音が聞こえた。
    「……おわ、村雨」
    「っは、は……すまない、遅くなった。は、っい、今すぐ入れて、くれ」
    「今行く」
    雑に手をすすぎ、ペーパータオルで拭いて廊下を走る。いつも連絡の方が先に来るのに、今日は本人が先に来た。よくわからないが、会えるのは嬉しい。息切れしている理由もわからないが、そこまで急ぐ用事があったのだろうか。
    「村雨、おつか」
    「っ、あなた泣きぼくろはどうした」
    「れ、え」
    「作画ミスか……小説で」
    村雨は何故か俺の顔を両手で掴み、充血した目で泣きぼくろの位置を凝視している。そういえば天堂と「イタズラ」を仕掛けてから、落としていなかった。天堂からメイク落としはもらっていたが、すっかり忘れていた。なにやらよくわからない事を叫んでいる村雨をなだめながら中に引きずり込み、犬の散歩代行のバイトを思い出しながらリビングまで連れて行く。
    「よーく見ろ」
    泣きぼくろの部分をこすり、メイクを雑に落とす。美容的には明らかにマズイのだろうが、興奮状態にある村雨を落ち着けるには仕方なかった。
    「とれたか……? 村雨、見ろ。メイクで隠れてただけだ」
    「メイク……? あなた、医者の前だぞ」
    「いやここ俺んちだからな」
    「ああ、そう、そうだったな。…………おい、天堂に顔をベタベタ触らせたのか?」
    「え? いや、ベタベタってほどじゃあ……」
    顔面全体ではないので、つついた低土の接触しかない。それだけでも今の村雨には許容し難い範囲らしい。
    おそらくは、三人の誰かから、からかうようなメッセージを受け取ったのだろう。そしてそれは、村雨基準でいやらしい文面だったのだと思う。そうでなければメイクにも気づかないほど疲れているのに走って俺の家まで来る必要なんてない。
    「クッ……仕事は仕方がないが……あなたのチャームポイントをあのマヌケ神に隠されたのかと思うと……」
    「え、お前このほくろそんな好きだった?」
    「好きだが? あなたの目元にあるというだけで愛おしいしほくろがあるから目に色気が灯るのも含めて大好きだが? あなた、行為の最中に私が何回そのほくろに口付けたと思っている?」
    「お、おう。わりぃ、わかんねえ」
    「では今夜は数えていろ」
    村雨の腕に力が入り、ソファーに押し倒されそうになる。しかし夜勤明けにダッシュしてきた勤務医の力など、毎日八時間は寝ている身体作りが趣味の俺には子供くらいにひ弱だ。倒れてやりたい気持ちはあるが、どうせ途中で寝てしまうだろう。そんなの、俺自身も不完全燃焼になるので御免だ。
    「先生よぉ……明日どうせ休みなんだから寝てからにしねぇ?」
    「今夜だ。今から数えろ」
    ムキになり背伸びをした村雨の唇がほくろにかする。必死さはかわいいし負けそうになるが、唇を結んで耐える。
    「フライングすんな。明日一日中数えるって約束するから」
    「……わかった」
    ぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてやる。夜、ベッドの上で村雨が俺にしてくれるみたいに。そうしているうちにやっと村雨の身体から力が拔けて、重くなる。
    結構やばい約束をした自覚を持ちながら村雨を寝室に運ぶ。耐え切れなくなって自分で慰め始めるほど焦れてはいないが、それでも若干の仕様疼きはあった。スーツがシワにならないようにと寝巻きに着替えさせている途中で生唾を飲み込んでしまい、それも気まずい。
    とりあえず、村雨が目を覚ましたら、今さっきの出来事を覚えているか聞こう。
    村雨布団をかけたあと、キッチンへ戻りながら何度もほくろをこすってしまった。
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    akariya0309

    DONEさめししワンドロ 20240207
    第29回 お題「笑顔」より
    さめししですが、同じ空間にいるのはさめとまふだけです。

    #smssonedrow
    #さめしし
    さめししワンドロ第29回題「笑顔」より 村雨礼二が笑っている。本人としては鼻歌が出そうなほど上機嫌なので笑みが収まらないだけなのだが、同じ空間にいる者にとってはいささか気まずい。笑っている顔が怖いのだ。仕事場の人間であれば避けるし、道を歩いていても避けられる。だが真経津には逃げ場がなかった。ここが自分の家だからだ。飽きたもので溢れる家に友人一人残して少し外に出る事に抵抗はないが、出会ったばかりの頃とは事情が異なる。
     仲が深まれば関係性も変わるというもの。それは真経津と担当行員の話でもあるし、友人たちとの話でもある。皆、真経津と会った時よりも数段面白い。それは喜ばしい。
     集まると決めたのは真経津だった。いつもの面子に声をかけ、集まれる者のみ集まる。叶黎明と天道弓彦の二名は仕事の都合で来られず、獅子神敬一からは一回渋ったものの了承の返事が来た。村雨は医者であるからして都合をつけるのが最も難しいのであるが、夜勤明けなので可とのことだった。獅子神がいるからこそ来ることを決めたのであろう。誰かの家に集まる時に獅子神の出席が確定するというのは、満足に足りる味と量の食事が約束されたに等しいからだ。
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