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    hisoku

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    hisoku

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    走り書き
    あまり長篇小説では書いていないけど喫煙家の尾も好きです

    #杉尾
    sugio
    #現パロ
    parodyingTheReality

    キス 換気扇の回る音がしていた。杉元の住む部屋の台所にあるその換気扇は羽根の色が明るい金茶色をした、紐を引いて起動させるプロペラファンタイプで俺がつけた。煙草を吸おうと思ってその紐を引き、コンロで火も拝借しようと考えていた。あ、という声がして視線を上げると、杉元がどかどかと足早にこちらにやってくるなり、俺の持ってきていた煙草の箱を奪って三角コーナーに投げ入れて、コンロの火を消す。余りに無駄のない動きに思わず見惚れて拍手をすると、間髪を入れず指と指の間に挟んで持っていた残りの一本も取り上げて握り潰し、そいつも三角コーナーの中へ放り込んだ。
     その態度に怒りよりも面白いものを見た気がして杉元の顔を見る。こいつは嫌煙家だったけか。そうだと意識はしたことはなかったが、それでも気を利かせて場所を選んで吸おうと思ったのにまだ配慮が足りなかったか。咥える予定で半開きになっていた口を杉元が凝視してくる。

    お前、んなもんより、口寂しいなら他にもあるだろうが。

     杉元が低い拗ねたような声を出し、吐かれたテンプレート過ぎる台詞に開いていた口が塞がらなくなった。誘い文句にしてはあまりにもそのまま過ぎて、恥ずかしくて受け取りたくない。
     正面にある顔から右に視線を外して云われた言葉の意味を考える振りをする。次に下、左。最後に前に視線を戻そうとしたら、もうそこに唇があった。逃げられないように肩に手も添えられていて目を伏せる。
     あーあ、こんな場所でも欲しがるようになりやがった。それもセックスをじゃなくてキスをしたがるだなんて。こんな換気扇の下の所帯染みた場所で当たり前のように。
     焦点の合わせられない程の距離に詰められて、目を閉じようか、手で突き飛ばして躱そうか考えていたが、唇と唇とが触れた瞬間に条件反射で目を閉じた自分をだせえなと思い、首を勢いよく前に突き出すことでせめて唇で退かせないか押し返してみることにした。


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    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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    related works

    hisoku

    DOODLE作る料理がだいたい煮物系の尾形の話です。まだまだ序盤です。
    筑前煮 夜の台所はひんやりとする。ひんやりどころではないか。すうっと裸足の足の裏から初冬の寒さが身体の中に入り込んできて、ぬくもりと入れ換わるように足下から冷えていくのが解る。寒い。そう思った瞬間ぶわりと背中から腿に向かって鳥肌も立った。首も竦める。床のぎしぎしと小さく軋む音も心なしか寒そうに響く。
     賃貸借契約を結ぶにあたって暮らしたい部屋の条件の一つに、台所に据え付けの三口ガス焜炉があるということがどうしても譲れず、その結果、築年数の古い建物となり、部屋も二部屋あるうちの一部屋は畳敷きになった。少し昔の核家族向けを意識して作られた物件らしく、西南西向きでベランダと掃き出し窓があり、日中は明るいが、夏場には西日が入ってくる。奥の和室の方を寝室にしたので、ゆったりとしたベッドでの就寝も諦め、ちまちまと毎日布団を上げ下げして寝ている。また、リフォームはされているが、気密性もま新しい物件と比べるとやはり劣っていて、好くも悪くも部屋の中にいて季節の移ろいを感じることが出来た。ああ、嫌だ、冬が来た。寒いのは苦手だ。次の休日に部屋を冬仕様をしねえとと思う。炬燵を出すにはまだ早いか。洋間のリビングの敷物は冬物に替えとくか。気になるところは多々あれど住めば都とはいったもので、気に入って暮らしてはいて、越してきてもう三年目の冬になった。
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    recommended works

    osasimibontan

    DONE☆バパロカヴェアルの前日譚的なもの。
    先日頒布した同人誌の前日譚で、時系列でいうと、物語開始の一週間前です。本編を読まれていなくても読めます!!

    常連客の🏛️のことが気になりすぎて、話し掛けたいけど話し掛けれらずに悶々とする、店員🌱の話。
    本当は親書メーカーの画像で投稿するつもりが、長くなり過ぎたのでポイピクにしました。全年齢なので安心してくださいませ!!
    君に届くフローチャートは? 金曜夜、時刻は二十時。
     普段は十八時ごろから客足が増加する、このスターバックスコーヒー。
     しかし華の金曜日である今日、日々勤勉に働く社会人はバーやレストランで羽を伸ばすらしい。そのためか、この曜日だけは毎週二十時以降になると人が混みだす。
     とはいえ、ここの店舗は都心の駅だとしても、末端に配置されている地下鉄の隣にあるため、もはやその地下鉄を利用する者しか立ち寄らない。
     いつも空いていて余裕があり、混雑しても他の店舗に比べれば少し忙しいくらいだ。
     ここで働くには人によっては退屈で、時間の流れが遅く感じるとストレスに思う者も居るとは思う。
     だが、アルハイゼンにとってはこの環境がとても心地よい。
     その結果、三年間無理なくルーティンとして、このアルバイトを生活に組み込むことが出来たのだ。
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