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    hisoku

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    # sgo1000文字第15回のお題『お正月』をお借りして書きました。期間外なのでこっそりと。「先ずは謝れ」「こうやってするものなのか」「クリスマスとか大晦日とか正月とか誕生日とか」に出てくるsgo未満sgoと同じ二人で、尾語り

    #sgo1000文字
    sgo1000Characters
    #現パロ
    parodyingTheReality
    #杉尾
    sugio

    新しい年からじゃあ、片付けも終わったし、俺等は帰るわ。

     あと数分で今年が終わるという時間になって、酔って赤くなって炬燵天板に頬をつけて眠りこけていた白石を揺すって腕を掴み、脇腹に自分の肩を入れながら房太郎がそう云って立ち上がり、えっ、帰んの? と杉元が驚いた顔をして立ち上がって、何となく自分も立たなきゃいけないような気がして立ち上がった。ぞろぞろと全員で玄関に向かう。

    来年も皆で愉しく呑もうなあ。

     白石を無理矢理歩かせて房太郎が帰って行くのを上がり框の上から見送る杉元を見つめる。ふいにこちらを向かれて変に気まずくなった。俺から、お前は帰らないのか、と訊いた方が良いのだろうか。

    二人きりになっちゃったな。

     首に手を当てて杉元がそう云う。

    そうだな。

     相槌を打って俯く。帰らないと解り、寒いし戻るか、と言って先に居間に戻ると、施錠音がして杉元も居間の炬燵の中に戻ってきた。十九時半頃からずっと点けっぱなしになっているテレビ画面の方を見るとなく見て、想定外の二人きりにどう接すればいいのか戸惑う。
     尾形好きだと云っては何度かキスをされたが、本当に俺達の関係は何なのだろう。会う時もいつもさっき帰った房太郎と白石と俺と杉元の四人で会うし、デートに行ったこともない。誘われたことも、ない。間が持たず、自分で自分の頭頂をひたすら撫でる。

    お前、今、困ってる?

    え。

    いや、それ、その癖、落ち着きたい時とかにもするだろ。

     指摘されて手を下ろして、杉元の顔を改めて見る。直ぐ様見つめ返されて、また困りながらも訊きたいの方が勝って口を開いた。

    お前、俺のどこが好きなんだ。

    そうやって頭撫でるところも好きだし、猫舌なところとか、ちょっと無理するところとか、見ると決めたら真っ直ぐ俺の目見てきてくれるところとか、意外と拗ねやすいところとか、仕草とか喋り方とか。

     列挙されてまた頭頂を撫でそうになり、意地で炬燵布団の中に手を仕舞った。

    まだあるけど、そういうところが好き。

     そう云われて鼓動が身体の中で響く程速くなった。今胸の中を占めている感情の名前が解れば、いくらか管理出来そうなのにそれが解らない。浮かんできた名前で合っているのか自信が持てず、頭頂を撫でたくなる。

    俺もお前のことが好きなのか。

    それを一緒に確かめる年にしないか。日付け変わったな。今年もよろしく、尾形。

     杉元がそう云って笑って、自然と身体が動いて、よろしく、と伝えて初めて自分の方からキスをした。
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    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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