まだ、終われない 二人で住むには些か広すぎる洞天に来て、もう何年経っただろうか。
魈はここから出ることが出来ない。鍾離が通行証をどこかに封じてしまったからだ。鍾離もここから出ていくことはない。壺の管理人はいるので、暮らしに不自由はしていなかった。
作物を育て、自分たちで料理を作って食べる。魈の一生の中で、凡人の暮らしと何ら変わらない暮らしをすることになるとは思っていなかった。
鍾離の洞天に来たばかりの頃は、鍾離がずっと傍にいるという事実に狼狽えていたが、その状況にも慣れてしまった。
身体が訛るといけないのでたまに修練場で鍾離と手合わせをするが、その技を活かせる時はまた来るのだろうか。
考えてしまってはいけない気がして、思考を奥底へと追いやった。
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