グランピング医務室 突如として決定した冬のレジャー――ギルド対抗の雪合戦――のため、「臨時」の医務室を用意したと聞いた時には、さてどんなプレハブ小屋か手狭な部屋があてがわれるかと内心身構えたのだ。必要な薬品や機材の詰まった巨大なトランクを携え、指定された場所へ向かったシンノウを迎えたのは、見上げるほどに大きな半球型のドームテントだった。
真っ白な雪原の中に建てられているはずが、中は驚くほどに温かい。テントの素材がいいのか、焚かれているストーブが強力なのか、あるいはその両方なのだろう。大きなソファベッドやたっぷりとしたカーテン、木製のしゃれた戸棚は、温かな印象を与えると同時に装飾的で、殺風景な灰色の調度品やパイプベッドを見慣れた身には少し戸惑う。やわらかな色合いに灯る照明、心地良さを演出する空間。良くも悪くも、ここはリゾート施設なのだ。
3641