優しいが一番って話現代、一緒にゲームをする仲の男子達。しかし古風な家柄のせいでゲームが苦手な義勇。
みんなが楽しそうに協力プレイをしているのを眺めているだけだった。そんなある日、彼はスマホのアプリに出会う。自分でも出来そうなやつを真菰に聞いたら、こんなやつなら選択肢を選ぶだけでアクションとかは無いから楽だよ。とシュミレーションゲームを教えられた。アプリの数が多く迷っていたら、あるサンプル画像が目に入った。義勇はすぐにDLして、恐る恐るそのアプリを開いたのだった。
時は進んで休日。義勇の家に集まって、それぞれ好きなお菓子を持ち寄り、PSのスイッチを入れた。宇髄が義勇にコントローラーを渡す。
「俺はこっちのゲームをするからいい」
「ん?お前がスマホゲーム?」
全員が義勇を振り返り、驚いた顔をした。画面を覗き込む一同。開いたアプリのホーム画面には、ガラの悪い白髪の男が映っていた。
「やーっと来たな、待ってたぜ!」
そいつはやたら良い声で此方に語りかけてきた。
「誰それ」
「彼は鬼死川(きしかわ)さんだ。俺にとても優しくしてくれる」
ムフフとドヤ顔でキャラ紹介をする義勇。
「ははーん、なるほど俺のことか!」
「俺だろォ」
「髪色が程遠いから俺ではないな!無念!」
「揃いも揃って自意識過剰か。気持ちの悪い……」
義勇がやっていたのは、星4の評価を獲ている乙女ゲームで、この鬼死川という笑うと鋭い犬歯が覗く男がお気に入りらしかった。ギャルゲではなく乙女ゲーム。宇髄は首を傾げた。
「お前何でこのゲームしようと思ったの?」
これは義勇に興味がない伊黒も少々気になり、視線はPSに向けながら聞き耳を立てた。
「鬼死川さんは不死川に似ている」
「(やっぱ俺か)」
不死川は得意気に宇髄を見た。
「鬼死川さんはこう見えてとても優しくて、礼儀正しいんだ。一緒に実家へ行った時は、和服を着ていてとても格好良く、そして大層モテていた」
一同「あっそう」
お気に入りの鬼死川を可愛い顔でにこにこしながら褒めている義勇。自分と似ていると言われた不死川は面白くなかった。
「不死川にはいつも怒られてばかりだが、鬼死川さんは優しく俺の間違いを正してくれる。次の話を待っている状態だが、俺は毎日ログインをして鬼死川さんに褒めてもらうんだ」
俺と鬼死川さんはとても仲良しなんだ。とスマホを抱きしめる義勇。誤タップされた画面の中の不死川似の鬼死川が「ほらこっち来いよ」と甘い声で囁いている。
義勇以外の男達から同情の目で見られた不死川。
素直になれず照れを隠す為の冷たい態度が裏目に出て、存在しない架空の男に好きな子を取られたのだ。哀れ以外の何ものでもない。
「一緒に寝るか?」
と鬼死川が言う。
それは俺がいつかコイツに言おうと思っていたセリフだクソがッ