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    さいさい

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    さいさい

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    Int…完成版の没部分

    言葉の力■ボツネタ



    「まあ、ボクはレプリロイドだけどね。外身がいくら似ていても、心臓の代わりに動力炉が積まれているしオイル代わりに血を流すことはできない。本当の意味ではヒトじゃないんだ」
    「それでも人間と共にある存在として、いずれはレプリロイドもヒトの括りに入ってしまうだろ。シエル達研究チームが技術の進歩を推し進めているし、近い将来には本当にちょっとした違いでしかなくなってしまうかもしれない。それこそ生まれた日の差くらいに。ただ、そうなるにはまだ人間もレプリロイドも、それから環境も技術もなにもかも間に合っていない。間に合っていないからこそ不満が生まれる。積もった不満は魔法みたいに消えてくれる状況じゃないんだ。解っているだろう? ……そこでボク達ができることは一つしかない、と「ボクは」思っているんだけど」
    「……説得か」
    「ご名答。話し合うなんて言っても、結局は問題を先送りにするだけだからね。先送りにしたその先で時代が彼らに追いつくことを祈るばかりだよ。そうだね、差し当たって今生きている子どもたちが十分に大きくなるまでには。……納得させられるかなあ」
    キミ、結構短気なところがあるんだもの。そう言ってエックスは横目でこちらを見遣る。解っている。こういう交渉はオリジナルエックスの方が向いている。自分が考えるより先に手が出るほど気が短いことも。だが、市井の人々にとってサイバーエルフの一体でしかない彼に言わせたところで説得力など皆無だろう。勿論そのようにしてきたのだから当然なのだが、今ばかりは交代してほしい気持ちは否めない。
    「まあ、可能な範囲で努力してみよう。最悪の場合は……」
    「大丈夫大丈夫。エックスさまはちゃあんと人間のこともレプリロイドのことも見ていらっしゃるから、問題なんて何もないよ。ねえ、エックスさま?」
    そのように言われると万事がうまく回るように思えてくるのだった。無限に可能性が広がっていく気さえする。オリジナルエックスにそんな機能はないはずだが、それこそ魔法みたいに言葉の力が作用する。
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    さいさい

    PAST初出時のものです。https://www.pixiv.net/artworks/33511860(現在非公開)のキャプションとして載せた文章。RZ1前捏造
    Scapegoat(初期版)ユグドラシルへは公務の合間を縫って一度だけ踏み入ったことがある。自分の「オリジナル」がどういうレプリロイドであったのかを確かめるために。ネオ・アルカディアの最深部にあるというそれは巨大な機械仕掛けの大樹だった。驚くほど簡単に目的のレプリロイドは見つかった。大樹の根本に埋められるようにして、そいつはひっそりと目を閉じていた。自分に瓜二つであった。部品も、装甲も、造形も何もかも全てが。なんだ、こんなものか、と思った。同じ言葉を声に出して言った。「なんだ、こんなものか。」「こんなって、それはひどいな。」どこからか声がする。ネオ・アルカディアに属する者でもここはほんの一部の者しか立ち入ることは出来ないはずの場所に、誰かが潜んでいることなど有り得ない。思わず周囲を見回すと、弱々しく今にも消えそうなエルフが一体居た。「返事をしたのはキミかい」まるでそうだ、とでも言いたげにエルフが体を揺らせた。「キミがエックスだね」なんだ、このなれなれしいエルフは。思わず顔をしかめると、エルフは悪びれもなく、まだこの世界に来てから間もなくて右も左も分からないんだと、そう言ってのけた。本当に自分が話している相手がどこの誰かもわからないようだ。仕方なしに名乗りを上げた。「ボクがこのネオ・アルカディアの統治者エックスだ。失礼な言動は謹んでもらおうか。さて、エルフ。キミは何者だい。返答次第ではただでは済まさないぞ」エルフはしばらく考えていたようだったが、やがてこう言った。「ボクに名前なんかないんだ。ずっとここにいたんだもの。エックスさまが来てくれたから、これでやっとボクは外に出られるよ」体を揺らし、あまりにも無邪気にそういうものだから、拍子抜けしてしまった。もしかしたらこのエルフはオリジナル・エックスが封印された時、巻き添えを食ってしまった哀れな者なのかもしれない。それ以上相手にする気は失せてしまい、捕まえて外に出してやることにした。敵対意志を持っていないエルフの一体くらい外に放しても問題はないだろう。「ありがとう、ボクを外に出してくれて。エックスさま、大変だろうけどそんなに気負わないでね。」エルフは言うだけ言ってふっと姿を消した。全く、変なエルフだった。それからずっと後になって気づいたが、あれが本物の「エックス」だったのではないだろうか。もし仮にそうだったとしても、あの言葉は今も理解できずにいる。
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