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    エース

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    エース

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    ムンナ マクステ 分裂アース
    初夜を迎えるにあたって、猶予が欲しくなってしまったスティーヴンのお話。1/22~のレカペさんでのご注文でサポートプラスしてくださった方に付けさせて頂いた追加の無配です。

    #マクステ
    maxtape

    出来損ないのシェヘラザード 今夜、僕はマークと関係を一歩進める。

     こういうと何だか大袈裟なことに聞こえるかもしれないがその実、今夜マークと初めて体を重ねようというだけだった。
     とは言え、とは言えだ。僕はそもそも恋人が出来たのも、セックスをするのもマークが人生で初めてなのだ。……キスだけは違うけど。
     その話は置いておくとして、今大事なのは今夜マークとその、そういう事をしようとしているという事だ。僕にとって今夜は間違いなく初夜と言える。
     キスはこれまでマークと何度もしてきた。初めの頃よりは幾分か慣れたけれども、でもまだ深いのには一杯一杯になってしまう。マークのキスはとても丁寧で、ゆっくりしているのに情熱的だ。唇で優しく唇を喰まれ、ツンとした舌で口を開けるようにお伺いを立てられそれに応えるように小さく隙間を開けるとその隙間を割り開かれサッとマークの舌が侵入してくる。
     マークの舌は熱くて、当たり前だけどヌルついていて。あっという間に歯を押し除けて僕の舌を絡めとる。吸ったり、絡めたり擦り合わせられたり。クチュクチュとした音が自分達の口からしている事に思わずギュゥ、と目をキツく瞑ってしまう。
     でも僕はもう知っている事なのだけど、マークはいつだって目を開けてキスをする。至近距離で、ジッと僕を見つめてキスをするのがマークのやり方だ。それを知った時は今まで見られていないと思っていたので驚いて、マークにどうして見ているのか問いただしたのだけどマークは一時たりとも見逃したくないのだと言い張る。僕は当然恥ずかしくって、どうか目を瞑ってくれないかと頼んだ。だけどマークは「俺しか見ていない」「誰にも言わないから」と言って僕を言いくるめた。言いくるめられた僕も僕だけど、マークの必死っぷりはちょっと理解し難いものがある。
     
     そしてそう、キスもまだ精一杯の僕は今日更にステップを進めないといけない。勿論これは合意の上の話ではあるのだけれど、マークがシャワーを浴びている音を聞きながら待っている今、どうにも覚悟が揺らいできた。決して、決してマークと“そういうこと”をしたくない訳じゃない。でも、どうしてだか急に不安が心を満たし始めた。
     それはマークに体を晒すこともだったし――僕らは同じ体型だけど――初めての体験に対する不安も大きかった。マークの見たことがない顔を、声を、聞いて見たいという欲求。それと同じくらい僕のそれを見られたくないという願望。その相反する気持ちで一杯になってしまった僕は、一つの答えに行き着いた。
    「少しだけ……少しだけ待って貰おう」
     いつか、いつかマークとは体を重ねてみたい。でも、今日はもうちょっと覚悟がどこかへ行ってしまった。
     だがそれを正直にマークに話すのはどこか憚られた。だから何か良い回避の方法が無いかとウンウン唸っている間にシャワーの音が止んでしまった。どうしよう、もうすぐマークが戻ってきてしまう。
     僕は緊張を誤魔化す為普段通りにベッドまで持ってきてしまっていた本に目を落とし、何か良いアイディアが思い浮かばないかと考えた。でも僕が得意な、好きなことというと詩やエジプト史についてで、セックスの上手なお断り方法なんて思い浮かばない。もしもベッドの上で詩なんて詠ったら、マークはフランス語が分からないから勘違いされてそれこそ良い雰囲気になりかねない。いや、本来ならそれで良いのだけれど、今はちょっと困る。
     あれこれ悩んでいる間にガチャリとバスルームの扉が開く音がした。ペタペタと素足のマークがこちらに向かって来ているのが分かる。……心なしか、歩く速さが早い気がしないでも無かった。膝の上に乗せた本に目線を落としたままギシ、とマークがベッドに乗り上げベッドが軋む音を聞いた。ドキドキドキ、と心臓が早くなって顔が熱くなっているのが分かった。どうしよう、あぁ、どうしよう。

     このままマークと始まってしまうのだろうか、と思った時ふと天啓が舞い降りてきた。本、物語、……そうだ!千夜一夜物語をしよう!
     あれは女性不信になり、生娘を呼びつけては一夜を過ごし翌朝には殺してしまう王様を止めるために大臣の娘、シェフェラザードが毎夜面白い話をしては「続きはまた明日」と言って命を繋ぐといったストーリーだが……。今から僕がマークに面白い話をすれば、マークはそちらが気になって今日は止めておいて、僕の話を聞こうと思うかもしれない。思いついたこのアイディアは名案に思えた。

    「スティーヴン……」
     ベッドに完全に乗り上げ、僕ににじり寄って来ていたマークはいつの間にかもうすぐ目の前に来ていた。あの、キスをしている時と同じ、余すことなく僕を見つめてくるマークの瞳に見つめられている。熱っぽい視線に晒されながら、僕は俯いたまま慌てて口を開いた。
    「あ、あのね、マーク!聞いて欲しい話があるんだけど、」
    「うん?」
     マークは僕の膝に乗っていた本を取り上げるとベッドの端に避けて、僕に向かい合うとチュ、チュッと口端にキスを落としてきた。口は塞がれていないからまだ話せる。
    「今マークがそっち避けた本に書いてあった話でね。古代エジプトにおける造船技術と船乗りの話なんだけど、」
     僕はそう言って取り上げられた本に手を伸ばそうとした。
    「……それ、続くのか?」
    「え?う、うん。それでね、」
     喋り出すと口が良い感じに調子に乗ってきて、このまま一晩でも話して乗り切ってしまおうと思った。でも”今日こそは”と思っていたらしいマークがこんな事で止まる筈なんてなくて。
    「いや、良い。分かった」
    「え?」
     本に伸ばしかけていた手を取られ、マークの方へ引き寄せられる。
    「続きは明日聞かせてくれ」
    「ぁ……っ」
     僕の言葉はマークの口に吸いこまれてしまい、続きは音にならなかった。
     
     結局、造船技術の話は翌朝する羽目になった。
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    エース

    DOODLEムンナ マク♀ステ 仮面舞踏会パロ
    あめさんとのお喋りで盛り上がったやつ。何かちょっと書きたかったのと違うんだけど、一旦これで。
    この後無事二人は再会し、お喋りに興じるがジェがマクの仮面を借りてステに会いに行きジェステも始まる。三人が顔見知りに(顔は知らない)になった頃漸く名乗り合うマクステと、出会って速攻名乗るジェイク。
    マスカレード! 仮面舞踏会。それは一時身分やしがらみを忘れ、享楽に耽ける場。表向きは日々の憂さ晴らしや拙い秘密の遊戯と言った所だがその実、密通や淫行が蔓延る会もそれなりにあった。
     俺はそもそも舞踏会というものに興味が無く、それは仮面を被っていても同じ事だった。寧ろ相手が誰か分からない分厄介な事も多い。そしてそんな俺がこの仮面舞踏会に参加している理由は、単に兄弟のお目付け役だった。いや、半分がお目付け役、半分が兄弟に無理矢理引き摺られて来たせいだ。
     俺の双子の兄弟であるジェイクはこういった華やかな場が好きで、好んで顔を出す。そして俺なんかより遥かに上手に様々な思惑に満ちた、この見掛けばかり豪華な生け簀を泳ぐ。今日も俺を連れ出すだけ連れ出して、自分はサッサと舞台の中央に躍り出てしまっている。
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    エース

    DONEムンナ マクステTOS天使疾患パロ。三人の誰でパロディするか悩みに悩んで、結局マクステだなとなりました。理由としては、TOSの公式CPはロイコレだと思っているので、それならば三つ子でやるならマクステしかなかろう、と。
    配役の方は〝何かと契約して人で無くなる〟ならそれはマークだし、〝普段は抜けてるのに大事な人の事はちゃんと見てる〟のはステだろう、と思ったから。なのでロイコレからのマクステ解釈です。
    消えた涙 ぼんやりとベッドボードに背を預け窓の外を眺める。明るすぎる都会の空ではろくに星も見えないが、こうして朝まで時間を潰すのにも随分と慣れた。ただ静かに息をして、隣で眠るスティーヴンを起こさない様に気を付けていれば良いだけだ。
     窓の外を眺めるのに飽きたら今度は隣のスティーヴンを見る。それを繰り返していれば、朝までそう時間も掛からない。
     今日もやっと日付が変わった所だ。朝までのあと六時間くらいを、いつものように窓の外とスティーヴンとを往復しながら過ごそうかと思った時、隣の塊がゴソリと動いた。
    「マァク……、眠れないの?」
    「スティーヴン……悪い、起こしたか」
     窓から振り返るとスティーヴンが眠たそうにしながら目を擦っていた。静かにしていたつもりだったが、やはり隣で体を起こしているべきでは無かったのだろう。いっそベッドから離れて、そのままソファで過ごすべきだったと後悔した。
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     窓の外を眺めるのに飽きたら今度は隣のスティーヴンを見る。それを繰り返していれば、朝までそう時間も掛からない。
     今日もやっと日付が変わった所だ。朝までのあと六時間くらいを、いつものように窓の外とスティーヴンとを往復しながら過ごそうかと思った時、隣の塊がゴソリと動いた。
    「マァク……、眠れないの?」
    「スティーヴン……悪い、起こしたか」
     窓から振り返るとスティーヴンが眠たそうにしながら目を擦っていた。静かにしていたつもりだったが、やはり隣で体を起こしているべきでは無かったのだろう。いっそベッドから離れて、そのままソファで過ごすべきだったと後悔した。
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