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    エース

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    atsv ミゲピタ お誕生日おめでとうピーター。片思いピーターが、ミゲルにプレゼントを貰いに行く話。
    遅刻したけど、寝るまでは今日なので!!

    #ミゲピタ

    無敵の誕生日様 子供の頃、誕生日に両親からまるでお姫様や王子様の様に扱って貰った経験は無いだろうか? 朝から満面の笑みでおはようを言ってもらい、あなたが生まれて来てくれて嬉しいと祝福を受ける。朝のトーストにはお気に入りのジャムを普段は許されないくらいたっぷり乗せて貰ったり、飲み物がミルクじゃなくて甘いジュースを飲む事を許されたり。そうしてパーティーを開いて友達を呼び、好物を沢山食べさせて貰って最後にはおっきなケーキを皆で分ける。
     最も、俺は友人が多い方では無かったので特に誰もパーティーには招かなかったし――間違っても〝誘えなかった〟訳ではない――お祝いをしてくれたのは両親では無く叔父と叔母だったが。でも二人のお陰で、誕生日の思い出はどれも最高の思い出だ。
     たった一つ年を取っただけだというのに、その日一日無敵になれるような感覚は一体どこからやって来ていたのだろうか。正しく、若いというのはそれだけで大きな力、可能性なのだ。マイルスやグウェン達を見ていると、特にそう思う。
     今ではもうあの強くなった感覚は遠く、遥か彼方だ。今日だってそう。八月十日、俺の誕生日ではあるのだが最早「あぁまた歳を取ったなぁ」と思うだけ。感慨深さも何も無い。

     ところで話は全く変わって……いや、少しだけ変わってしまうのだが世の中には今日が誕生日だという人間は山ほどいる。昨日が誕生日の奴も、明日が誕生日の奴も。それは当然の話だが如何せん、ここでは少し事情が変わって来る。〝八月十日〟が誕生日の〝ピーター・パーカー〟がそれこそ、山の様にいるのだ。まぁ俺はBが入ってるピーター・パーカーだけど。
     そしてそんなピーター・パーカー達が沢山集まるこのスパイダーソサエティは今日、お誕生日様で溢れかえっている。元から賑やかなの大好きな連中が多いし、お祝い事ってのは悪い事では無い。あちらこちらで「誕生日おめでとうピーター!」の声が掛けられお誕生日のバーゲンセール。そして数が多すぎるピーター達の為にこの日は部屋の一室をパーティー仕様に飾り付けされ、隅にはプレゼントを置くための机が用意されている。
     誰か特定のピーターに当てたプレゼントを置きたい奴はプレゼントにそのピーターのアースを付箋に貼って分かるようにしておく。誰か勝手に持って行ったりするような奴も居ないので何も問題は起きない。机にはその他にも「適当にピーター・パーカーをお祝いしておこう」という奴からの〝ご自由にどうぞ〟という紙の貼られたお菓子の籠なんかもあるのでそちらは持ち帰り自由だが。
     そういうお菓子やらケーキやら、カフェから持ち込まれた食事やドリンクなんかでこの日はそれなりの賑わいを見せる。お持ち帰り自由のお菓子の籠のせいで、誕生日パーティーというよりは半ばハロウィンパーティーの様だったが。

     俺もパーティーの雰囲気は好きなので例にもれず参加して、ありったけのお祝いをしてもらいマイルスやグウェン、その他大勢からお祝いの言葉を貰った。ただ一つ歳を取っただけ。子供の頃のような無敵感は無かったが、それでも嬉しい気持ちで胸が一杯だ。そして物理的にも両手が一杯だった。それは貰ったプレゼントと、それから貰って来たお菓子のせいだ。山盛りのプレゼント、その上に積まれたお菓子の中からチョコレート菓子を口の中で転がしながら俺はモニタールームを目指した。
     パーティー会場を提供して、食事も手配してくれた癖に会場に顔を出していない男、ミゲルだ。
     あの男はいつものしかめっ面で「誰かが監視をしないと」と言ってあの部屋から出てこない。言っている事も分かるけど、どうせその殆どはライラが熟してくれているというのに。それに偶にはリーダーが休んだって構わない筈。寧ろもっと休むべき、だろう?
     誰に話すでも無く心の中でウンウンと自分自身に同意しながら足を進めていると、モニタールームにはあっという間に辿り着いた。小さなチョコレート菓子が無くなる暇も無いくらい、直ぐ近くなのに顔も出さないなんて。

    「ミ~~ゲル。本日の主役が来てやったぞ~」
     俺はそう言い適当な場所に持ってきたプレゼントを大事に置き、相変わらず上の方にいるミゲルを見上げた。ミゲルは声を掛ければ流石に半分体を捻りこちらを振り返った。
    「その主役様がこんな所に何しに来た」
    「何ってそりゃ」
     そこまで口にして言葉を区切り、ウェブでひょいとミゲルの隣に飛び上がる。
    「プレゼントを貰いに」
     ほら。Give me. そう言って両手をハイと差し出せばチラリと手の平を見てハァ――とため息を吐かれた。
    「何。無いのかよ~~??」
    「無い。というかプレゼント代わりにパーティーを準備してやっただろう」
    「〝ピーター・パーカー達〟にだろ。……ま、俺もそうだけどさ」
     ここまで来ておいてなんだが、端からミゲルから個人的なプレゼントを貰えるだなんて思っていない。付き合いは長いがそういう仲では無いし、期待なんてしていない。それでも態々ここまでやってきたのは、〝おめでとう〟ただその一言だけでもミゲルから貰いたかったからだ。
    「……何が欲しいんだ」
    「え?」
     だから、ミゲルがそんな事言い出すとは思わず驚きの声が出た。
    「……くれるのか?」
    「要らないのか?」
     ミゲルからのプレゼントだって? そんなの!
    「要る! 要るに決まってるだろ!」
    「ふ……。じゃあ、まぁ……言うだけ言ってみろ」
     余りの俺の勢いにミゲルが空気だけで笑ったのが分かったが、恥ずかしいと思う暇も無かった。一番欲しかった、ミゲルからのプレゼント! それを貰えるかもしれないだなんて!
     グルグル頭の中を引っ搔き回し、何か良い候補が出てこないかを考える。そこそこ頭の回転は速い方だと自負しているが、こういう時上手く思考が働かないのは万国共通だと俺は思う。
    「え――っと、え――っと」
     何か特別な物が良い。いやでも特別な物が欲しいと言ったらこの気持ちがバレてしまわないだろうか? だったら無難な物が良い? できれば残る物が良い。でも形ある物はいつか失われる。じゃあ思い出とか? 思い出と言ったらそりゃ。
    「キスとか」
     ポロリと口から飛び出た言葉に、パッと口を塞ぐ。何、言ってんだ、この口は。幾ら何でもあり得なさすぎる。一瞬、チラッと、「誕生日なら許されるのでは?」という無謀な考えが過ったせいだった。この歳にして、久しぶりの〝無敵感〟の錯覚だった。
     サッと血の気が引きそうになるが、出来の良い頭がこのタイミングでやっとその出来の良さを発揮した。言ってしまった物は戻らない。それならいっそ冗談という事にしてしまえ。
     俺はその考えに従い口を塞いだ手をサッと顔の横に避け、軽く振ってみせた。
    「なんてな! 冗談!」
     ヘラリ、と完璧な表情で笑い、俺は「引っ掛かった?」と続けるつもりだった。本当だ。
     だが俺がそう口にするよりも早く、顔の横に避けた手の手首を掴まれた。そうしてその手を引っ張られ、ミゲルの顔が近づいてくる。動体視力の良いこの目はバッチリそれが見えているのに、避けなければと思うよりも前に唇と唇がぶつかった。
     ふに、と柔らかい物を感じ、驚きに目を見開く俺の緩んだ唇をぬるりとした物が割り開いた。
    「ん、ンッ!?」
     それは勿論ミゲルの舌で、口内に入ってきたそれは俺の舌に絡みついた。熱くヌルつくそれから逃げようと体を引こうとしたが、いつの間にか手首を掴んでいる方とは反対の手が腰に回り逃げられない。
    「ン、ふ……、っ、んっ」
     ミゲルの舌は口内で好き勝手動き、歯列を撫で上顎を擽る。舌が少しでも動く度にゾクゾクとした物が背を走り、掴まれたままの腕が震えた。その様をすぐ近くにあるミゲルの赤い瞳が見つめている。
     この赤い瞳をこの近さで見る事がずっと夢で。本当は、冗談だったんだと言い、直ぐに止めさせるべきだと頭では分かっている。だけどもうこんなに近くでこの目を見る事は叶わないかもしれないと思えば、抵抗出来なかった。

     すっかり肺の中の空気が無くなるまで唇を合わせて、息継ぎの為離れた隙に俺の意識はハッと現実に戻った。
    「じょっ……! 冗談だったのに、ハハハ! ミゲルお前ったらホント、ジョークの分からない奴だなぁ!」
     掴まれていた手も引いてミゲルの肩を押して距離を取る。何であんなこと言ってしまったんだろう。頭の中はそんな後悔でいっぱいだったが今はそれよりもする事があった。
    「……お前が、キスが良いって言ったんだろう」
    「それはまぁそうだけどさぁ。ほら、流石にそれは冗談だって!」
     必死にそう言葉を紡ぎ、本気だったと、本気でミゲルからのキスが欲しかったのだとバレてしまわないよう取り繕う。果たして取り繕えているかは分からなかったが、今の俺にはそうするしか無かった。こちらを探るように見つめるミゲルと目を合わせられなくて、俺は堪えきれず顔を背けた。
    「…………。……そうか」
    「そうそう! ま、ちょっとは俺の言うタイミングも悪かったし、貰っちまったからお前からのプレゼントはキスって事にしておいてやるよ」
     それだけ言って、俺はこの場を立ち去ろうとミゲルに背を向けようとした。それが最後まで成功しなかったのは、再びミゲルに手首を掴まれ引き留められたからだ。
    「ピーター」
    「何だよミゲル。そりゃ災難だったけどお互い様だし、今回は事故だと思って……」
     なるだけ速くここを離れたかった俺は少しだけ早口にそう話した。だが最後まで言い切る前にミゲルが言葉を被せてきた。
    「俺の誕生日の話なんだが」
    「…………うん?」
     急に何の話だろうか。誕生日? 誕生日って、ミゲルの? 俺じゃなくて?
     その脈略があるようで無い話に俺は腕を振り切るのも忘れミゲルに聞き返した。
    「そう、俺の誕生日に、欲しい物があるんだ」
    「え、あ……うん? 何だ?」
     いや、まぁ、ミゲルの誕生日にはしっかりプレゼントを用意するつもりではあったし、本人からリクエストを貰えるのなら全力で話を聞くが。
     ジッ、とこちらを見つめるミゲルに、何を言いよどむのかと首を傾げた。それからミゲルは二呼吸分時間を掛け、決意したように口を開いた。
    「俺の誕生日には、ピーター……、お前からのキスが欲しい」
    「…………、それって」
     真剣にそう口にするミゲルの目に、揶揄いも嘘も無かった。だったら、俺は。
    「良い……けど。……誕生日まで、待つつもりか?」
    「……貰えるのなら、今すぐにでも」
    「お前が屈んでくれるなら、」
     直ぐにでも。そう続けるよりも早く、ミゲルの唇が落ちて来た。

     人生で色んなプレゼントを貰って来た。しょうもない物から大切な物まで。その中でもとびきり嬉しいプレゼントは、チョコレート味のキスになった。
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    エース

    DOODLEムンナ マク♀ステ 仮面舞踏会パロ
    あめさんとのお喋りで盛り上がったやつ。何かちょっと書きたかったのと違うんだけど、一旦これで。
    この後無事二人は再会し、お喋りに興じるがジェがマクの仮面を借りてステに会いに行きジェステも始まる。三人が顔見知りに(顔は知らない)になった頃漸く名乗り合うマクステと、出会って速攻名乗るジェイク。
    マスカレード! 仮面舞踏会。それは一時身分やしがらみを忘れ、享楽に耽ける場。表向きは日々の憂さ晴らしや拙い秘密の遊戯と言った所だがその実、密通や淫行が蔓延る会もそれなりにあった。
     俺はそもそも舞踏会というものに興味が無く、それは仮面を被っていても同じ事だった。寧ろ相手が誰か分からない分厄介な事も多い。そしてそんな俺がこの仮面舞踏会に参加している理由は、単に兄弟のお目付け役だった。いや、半分がお目付け役、半分が兄弟に無理矢理引き摺られて来たせいだ。
     俺の双子の兄弟であるジェイクはこういった華やかな場が好きで、好んで顔を出す。そして俺なんかより遥かに上手に様々な思惑に満ちた、この見掛けばかり豪華な生け簀を泳ぐ。今日も俺を連れ出すだけ連れ出して、自分はサッサと舞台の中央に躍り出てしまっている。
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    エース

    DONEムンナ マクステTOS天使疾患パロ。三人の誰でパロディするか悩みに悩んで、結局マクステだなとなりました。理由としては、TOSの公式CPはロイコレだと思っているので、それならば三つ子でやるならマクステしかなかろう、と。
    配役の方は〝何かと契約して人で無くなる〟ならそれはマークだし、〝普段は抜けてるのに大事な人の事はちゃんと見てる〟のはステだろう、と思ったから。なのでロイコレからのマクステ解釈です。
    消えた涙 ぼんやりとベッドボードに背を預け窓の外を眺める。明るすぎる都会の空ではろくに星も見えないが、こうして朝まで時間を潰すのにも随分と慣れた。ただ静かに息をして、隣で眠るスティーヴンを起こさない様に気を付けていれば良いだけだ。
     窓の外を眺めるのに飽きたら今度は隣のスティーヴンを見る。それを繰り返していれば、朝までそう時間も掛からない。
     今日もやっと日付が変わった所だ。朝までのあと六時間くらいを、いつものように窓の外とスティーヴンとを往復しながら過ごそうかと思った時、隣の塊がゴソリと動いた。
    「マァク……、眠れないの?」
    「スティーヴン……悪い、起こしたか」
     窓から振り返るとスティーヴンが眠たそうにしながら目を擦っていた。静かにしていたつもりだったが、やはり隣で体を起こしているべきでは無かったのだろう。いっそベッドから離れて、そのままソファで過ごすべきだったと後悔した。
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