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    ピョッ

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    ピョッ

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    プトオク短文

    ムーンライトケーキ真っ黄色なソフトケーキ。中には白いクリームが艶出すそれを一口かじれば、意外にもほんのりとした甘さが舌を転がし浸した。同時に珈琲を口に含めば、これがまた良い塩梅で癖になるのだ。
    「随分気に入ってんな」
    後ろから声を掛けられたと思えば、オクタンはヒョイッとまだあるそのソフトケーキを1つ取り上げ、丸々一口放り込む。
    「たふぃかにうまいけどふぃすぎじゃね?」
    「食べながら喋るな」
    もごもごと口を動かしながら喋るオクタンに小さく笑って自分の珈琲を差し出す。
    それを素直に受け取り、彼はそれを喉に流し込む。
    「片手で食えて糖分も取れて一石二鳥だからな」
    「何言ってたのか分かってたのかよ」
    「なんとなく」
    珈琲は好きじゃない、と捨て台詞と共に俺にカップを返すオクタンの顔は苦い。それを見てぷっと思わず噴き出した
    「なんだよ」
    苦い顔で今度は俺の顔を覗く。俺の鼻先を掠めた彼の吐息に不意に喉が鳴った
    「いや…珈琲が苦手なんだな」
    「あ〜、あんまり?」
    こんな些細なことで意識をするな。ただ距離感が近いだけだぞ。
    「っそうか」
    「ああ、でも」
    そう言って覆い被さる形でオクタンの身体が俺の背に乗る。彼の体重と彼の体温がじわりと俺の身体に溶け落ちる。同時に耳に掛かるオクタンの吐息に肩が揺れた。
    「これは好き」
    そう耳元で言って彼が手に取ったのは、キーボードの左隣に置いてた間食用ソフトケーキ【ムーンライト】
    「じゃーな」
    俺の背からゆるりと離れたかと思えば、そのパッケージにキスをして不敵に笑う彼と目が合う。その一瞬に釣られて彼の方へ身体を向けようとした時には背を向けてひらひら手を振ってる後ろ姿だけが見えた。
    「…不覚」
    思わず言葉が漏れる。彼は本当に…人を思わせぶりで落とす天才だ。普通のやり取りの筈が、些細な動作で全て期待をしてしまう。

    ため息と共に自分もソフトケーキを手に取り、今度は丸ごと口に放り込む。

    「また買うか…」

    彼が好きならまた取りに来るだろうか?
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