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    inaeta108

    @inaeta108 イオ の物置です

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    お茶飲んでほしい

    #キラ白
    cyraWhite

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    related works

    inaeta108

    MAIKINGたりないふたり2「あの好中球」と久々に再開したのはつい先だっての戦場だった。広い体内、そして数多い好中球である。巡回中にしろ戦場にしろ出会うことはなかった。モニター越しには何度か一方的な対面を果たしていたから、生きていることは知っていた。相変わらず右側だけ長い前髪と、無駄のない鋭い動きはモニター越しにも目を引いた。そのうち偶然会うこともあるだろう。そうしたらお互いの無事の再会を祝えばいい。キラーTは密かにそう思っていた。
    それなのに、ウイルスや雑菌をあらかた片付けた戦場で遭遇したあいつは。瞬きほどの間こちらを見て、首をひとつ傾げて、仕留めたのであろう雑菌を無造作に引きずって仲間のもとに歩いていった。それだけだった。
    めでたく活性化を果たしてエフェクターT細胞に、そして鍛錬を積んでキラーT細胞咽頭班班長に上り詰めた今でも、初めての戦場のことを思い出すと頭が熱くなる。禍々しい感染細胞、絶望と恐怖。そしてあいつのこと。一時は屋上にすら足を向けられず、特訓場所も変えざるを得なかったほどだ。
    その焼けつくような記憶が身体中を駆け巡った。悔しいのか、悲しいのか、苛立っているのか。どれも正しく思えたし、どれも違うよ 6646

    recommended works

    inaeta108

    MAIKING『はらがへっては』(仮)
    キラ白(未満)に仲良くごはんを食べて欲しい話
    テキスト投稿お試し
    ■一食目 ラーメン
    「はあ、」
    好中球U-1146番は形の良い唇から深いため息をひとつこぼした。鼻梁にふわりと影がかかり印象的な黒の瞳が物憂げに瞬く。
    といっても別に道ならぬ恋に苦しんでいるわけでも、世界の行末に思いを馳せているわけでもない。ただ単に、そう、はらがへっているのである。


    これには事情があった。シンプルで深刻なそれは、好中球にとって正に死活問題だった。ここのところ雑菌の侵入が著しく少ないのだ。特に1146番がいるこの咽頭や鼻腔付近への侵入量は減少の一途を辿っている。好中球の主食は菌であり、副食も主菜も菌である。その菌が足りない。対して好中球は大量にいる。これすなわち食糧難の一言に尽きる。これまで菌が少ないなんてことはなかったので当然備蓄もされていない。地産地消、即日消費の体制は各所から日々潤沢な供給があることを前提としたシステムだった。
    かくして好中球達は空腹を堪えながら全身を巡り、数少ない雑菌の侵入をいまかいまかと待ちかまえているのである。1146番もそのうちの一体だった。


    「おっつかれー!!」
    お茶を手にしたいつものスタイルでゆったりとパトロールする1146番の背後から耳に馴染んだ 5477

    inaeta108

    MAIKINGたりないふたり2「あの好中球」と久々に再開したのはつい先だっての戦場だった。広い体内、そして数多い好中球である。巡回中にしろ戦場にしろ出会うことはなかった。モニター越しには何度か一方的な対面を果たしていたから、生きていることは知っていた。相変わらず右側だけ長い前髪と、無駄のない鋭い動きはモニター越しにも目を引いた。そのうち偶然会うこともあるだろう。そうしたらお互いの無事の再会を祝えばいい。キラーTは密かにそう思っていた。
    それなのに、ウイルスや雑菌をあらかた片付けた戦場で遭遇したあいつは。瞬きほどの間こちらを見て、首をひとつ傾げて、仕留めたのであろう雑菌を無造作に引きずって仲間のもとに歩いていった。それだけだった。
    めでたく活性化を果たしてエフェクターT細胞に、そして鍛錬を積んでキラーT細胞咽頭班班長に上り詰めた今でも、初めての戦場のことを思い出すと頭が熱くなる。禍々しい感染細胞、絶望と恐怖。そしてあいつのこと。一時は屋上にすら足を向けられず、特訓場所も変えざるを得なかったほどだ。
    その焼けつくような記憶が身体中を駆け巡った。悔しいのか、悲しいのか、苛立っているのか。どれも正しく思えたし、どれも違うよ 6646

    inaeta108

    MAIKINGたりないふたり3流石に疲れた。
    キラーTは深く深く息を吐いた。

    気付かぬうちに勢力を拡大していたがん細胞を発見、殲滅までをやり遂げたのだ。無理もない。
    傷の手当て、部下の激励、上官への口頭報告。帰還後の一通りの任務を完了させたキラーTは今日のことを振り返っていた。早急に報告書をまとめなければならない。

    まずは一日の始まりからだ。
    近頃はウイルスもすっかり鳴りを潜めている。だから毎日は訓練と訓練と訓練で埋め尽くされていた。長期にわたるインフルエンザの襲来に苦しめられていたあの時とは大違いだ。そう。へなちょこナイーブが好中球に世話になったあの時。あいつも今では筋骨隆々、期待のエフェクターT細胞として訓練に励んでいる。だから、少しばかり礼でも言おうかと思っていたのだ。
    巡回終わりにリンパ管の近くで偶然その姿を見つけたから声をかけた。感染細胞を被害を広げる事なく駆除する、いつも通りの素早く確実な動き。部下をわざわざ先に帰還させたのは、付き合わせて訓練の機会を逃すのはよくないと思ったからだ。久々にゆっくり話したかったからとかそんなんじゃない。断じて。
    だが、NK細胞の乱入と、そこから始まる騒動のおかげでゆっ 9178