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    8myamya7

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    8myamya7

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    自本丸 姥さに

    共寝ふわりと意識が浮上していく感覚を手繰り寄せ、ゆっくりと目を開ける。
    部屋の中は薄暗く、日が昇る時間にはまだ程遠いであろう事がわかった。
    普段は一度寝てしまえば途中で起きることはほとんど無いのになと、まだ覚醒しきらない頭でそんなことを考えながら体勢を変えようとしたところで漸く、近くにあった体温の存在に気付いた。
    腹の辺りに回された手を少し緩めて、起こしてしまわないようにそっと体の向きを変える。

    (いつ布団に入って来たのか、まったく気付かなかったな。)

    ぐっすり眠っているらしい国広は、すやすやと穏やかな寝息を立てている。
    遠征組の帰りが遅くなりそうだから主は先に寝ちゃって、と清光に言われて床に入ったのは日付を超える少し前くらいだったはずだ。
    予定時刻より大分遅い帰還だったのだろうけれど、寝間着に着替えている様だからお風呂にはちゃんと入ったのかな。
    顔にかかってしまっている髪をそっと払ってあげれば、部屋に差し込む薄明るい月の光のおかげであどけない寝顔がよく見えて、少しだけ胸の奥がきゅうと苦しくなった。
    普段は隠れている額の辺りをさらさらと撫でながら、遠征であろうと何があるかわからない状況から無事に帰ってきてくれたことに安堵した。

    「おかえりなさい」
    「……ん、」
    「……起きてる?」

    思わず口をついて出た言葉に、反応した国広に思わず彼を撫でていた手を止める。
    恐る恐る発した問いに、国広もぴたりと固まったものだから我慢出来ずについつい笑ってしまったのは仕方ないだろう。

    「狸寝入りだ」
    「……最初は本当に寝ていた」
    「起きるタイミング逃しちゃった?」
    「まあ、そう、だな」
    「ふふ、顔真っ赤」

    くすくすと堪えられない笑いをこぼす私に、国広ははあ、と大きくため息を吐いてから背に腕を回しぎゅうと力を込めて抱きしめてきた。
    顔を見られないようにしたのか、私の笑いを止めたいのか、わからなかったけれど肩口にぐりぐりと頭を押し当ててくるのが可愛くて余計に笑みが深くなってしまったので残念ながら逆効果だ。

    「くすぐったいよ」
    「あんたが笑うからだ」
    「だって」
    「まだ夜も深いのだから、もう一度寝るぞ」
    「話逸らした」
    「……うるさい」

    国広の髪が首に当たるのがくすぐったくて身をよじれば、大人しくしろとばかりに更に強く抱きしめられる。
    でも早くもう一度眠った方が良いのは確かだから、その前に一つだけ、気になっていたことだけ教えてもらわなくてはいけない。

    「くにひろ」
    「なんだ」
    「なんで私の布団で寝てたの」
    「……」
    「あ、ねえ寝たふりしないでよ」
    「……言わないと、駄目か」
    「駄目」
    「……湯浴みの後、そのまま自室へ戻るつもりだったんだ」
    「うん」
    「それで部屋に戻る途中でその、なんだ、何故か足がこちらへ向いたと言うか」
    「無意識に来ちゃったんだ」

    痛いくらいに抱き締めてきたから図星なのだろう。

    「可愛い」
    「可愛くない」
    「そういうところが可愛いんだよ」
    「……」
    「痛い痛い、潰れちゃうよ」
    「もう寝ろ」
    「仕方ないなあ」
    「ん」

    ふっ、と緩められた腕の力に少しだけ寂しいような気がしてしまったのが恥ずかしくて、誤魔化すように今度は私から彼の胸元へと頭を寄せる。
    そうすればそれが自然のことのように私の髪を梳くように撫でてくるのだから、まったくこの男はずるい。

    「おやすみ、国広」
    「ああ、お休み」

    国広の腕の中はあたたかくて心地良くて、今度はきっと良い夢が見れるだろう。
    次に起きた時はきっと、お互いの酷い寝癖を笑いあって、それから私が先におはようと言うんだ。
    ……なんて、そんな事を考えながら私もとろとろと柔らかな睡魔に身を任せていった。
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