撚られて結われ「……国広さん」
「なんだ」
「いや、何してるの」
「気にするな」
「気になりますが」
今日中に済ませてしまいたい仕事をさっさと終わらせてしまおうと、昼餉後から部屋に籠り作業を始めてからどれくらい経ったのだろうか。
あと少しで資料を纏め終わるかな、といったあたりで部屋にお茶と八つ刻の菓子を持ってきてくれた国広に礼を言ったところまでは特に変わったことは無かったのだけれど。
机の隅に持っていた盆を置いた彼は、そのまま私の後ろ側へと回り込み徐に髪を触りだしたのだった。
「何何、くすぐったい」
「動かないでくれ」
「主、仕事中」
「分かってる」
「ええ、本当になに……」
丁寧に髪を梳かれているせいで首筋に触れる毛先がさわさわと擽ったくて、身を捩ればすぐに動くなと声をかけられる。
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