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    mp111555

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    芹沢のちんちんを見て霊幻がビビる話

    #芹霊
    Serirei
    ##芹霊

    惚れたほうが負け それを見た瞬間、霊幻はヒュッと息を呑んだ。声に出さなかった自分を褒めてやりたい。
     目の前には裸の男が座っている。自分もパンツを脱いで、腰には枕を差し込み少し後ろに身体を傾けた姿勢で、ベッドの上にいた。導き出される解は一つしかない。霊幻もそのつもりだったし、事前の予習もばっちりしていた。なんなら風呂場で自分で試しに尻に指を突っ込んでみたりと、健気に努力していた。
     しかし、その心も今の状況に折れかけていた。目の前に座る裸の男、芹沢も次になにをすれば良いのか分からず固まっていたので、互いに動かない状態のまま沈黙が流れていた。
     ちんちんでっか。
     今の霊幻には、それ以外の言葉が思いつかなかった。それもご丁寧に脳内でちいかわの声が再生される。自分の脳みそが作り出した合成音声だとしても、朝のアニメを清らかな目で見る自信が一気になくなった。
     それにしても、と凝視したまま思う。事務所で使ってる定規ぐらいあるんじゃないか。定規ぐらいは言い過ぎかもしれないが、自分が普段使うコンドームよりもサイズは二つ上になるのは間違いない。
     この規格外が女性の乳房だったら歓迎しない男も少ないだろうが、陰茎においては明らかに敬遠される部類のものだと思った。男性同士のコミュニティであれば一目置かれるし、賞賛もしていただろう。だが自分の尻に入るとなると話は別だ。考えるだけで身がすくんでしまう。
     受け入れる側というのはこんなに恐ろしいものなのか。数少ない過去のそうした経験の中で、その考えに至らなかったことを少し反省した。
     それはそれとして、これからどうするかだ。今から引き返すことだって出来るし、入れるだけがセックスではないことも知っている。手や口でのペッティングの後は抱き合って眠るだけでも、芹沢なら満足してくれそうだと思っていた。これが男女であればまた別だっただろう。世の中に共有されている恋愛の思想は、合体イコールセックスなのだ。合体しないと色々と拗れそうだが、幸いなことに自分たちは男同士だった。男同士だったらペッティングが当たり前で挿入まで至らないのが普通だと芹沢に言い包めるのは霊幻にとって赤子の手をひねるようなものである。
    「あの……霊幻さん、どうしましょう」
     芹沢の不安な声が聞こえて、霊幻は顔を上げた。二人の間にあった濃密な雰囲気という魔法が解けかけていた。それは目を見れば分かった。
    「芹沢、俺のを見てどう思う?」
     言いながら視線を落とす。不安そうな声を聞いてやはり合体の流れでいくかと揺らいだ気持ちも、見てしまうとやはりペッティングのほうがいいと思えた。
    「えっ、えーと、可愛らしいなと思います」
    「違う!」
    「え?」
     霊幻のサイズは日本人男性の平均サイズだ。断じて可愛いと称されるようなものではなかったが、見比べればそうならざるを得ないというのも理屈では分かる。感情は別だ。
    「俺が普通で、お前のは大きい、平均から比べてだいぶ大きい」
     強調すると芹沢が照れた。クソ、可愛い、と思うが負けてはならない戦だ。霊幻は気合を入れ直す。
    「だから俺は肛門ではなく別のソリューションをサジェストしたい」
     芹沢の顔が怪訝そうなものを見るように変わる。なに言ってるんだこの人。霊幻もまた、平常心ではなかった。
    「霊幻さん、俺も勉強してきたんです。男同士がどうするかって、学校の友達にも聞いて来たんで」
    「お前そんなこと人に言ったのか!?」
     霊幻の言葉を無視して、芹沢の大きな掌は霊幻の身体を引き寄せて、体がベッドと水平に倒された。
     一瞬、霊幻の視界から芹沢の姿が消えて、鞄を探る音がした。再び見えるときには片手になにか持っていた。しかも結構でかいボトルタイプのもので、霊幻が目を見張らせる。
    「女の人も使うらしいんで、大丈夫だって。……俺、たくさん、優しくしますね。だから安心してください」
     見上げてくる芹沢の視線が霊幻を真っ直ぐに射抜く。熱っぽく、仕事中にも時折見せる獰猛さを押し隠した眼差し。
    「……」
     正直に言えば、霊幻は芹沢を見くびっていた。負けたなと観念して、霊幻は息を吐いて目を閉じた。
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    DONE続きました。(前の話:https://poipiku.com/7155077/8279500.html)
    中華街で仕事を引き受けたら事件に巻き込まれた話の続きです。霊幻は保護者としてモブを守りたいし、モブは事件を解決したい。
    チャイナタウン事件簿② 働くことになったものの、初日は軽い研修を行うだけで良いと言われた。レジの使い方や接客の基本的な方法を博文から教えてもらう。開店は十一時からというのに、その一時間前からどんどんと店の前には人の姿が集まっているのが見えた。開店前から店を覗く人が出て来るあたり、本当に繁盛しているのだというのが伺える。
     接客業経験者である霊幻はすぐに要領を覚えて解放されたが、熱心にメモを取ってもすぐに応用の出来ない芹沢と、接客業はほとんど経験させて来なかった茂夫は、見かねた博文の母親が参戦してマンツーマンで教えられるようになっていた。
     彼らの邪魔にならないように、霊幻は外に出た。隣にあるお堂は横浜媽祖廟と呼ばれる、道教の神を祀る廟だ。ネットの写真よりも小さく見えるものの、日本の寺と違って豪奢な装飾はいかにも中華らしく見えた。こちらにも観光客がひっきりなしに訪れていて、料理屋は恵まれた立地条件だと思った。エクボまんが流行った理由のひとつも、観光地が隣にあるからなのだろう。
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