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    Dictator_kana

    @Dictator_kana

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    Dictator_kana

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    二階堂×三矢の初めての百合です。捏造注意!

    #オッドタクシー
    oddCab
    #二階堂ルイ
    #三矢ユキ
    yukiSanya

    「ごめんね」とたった一言で三矢ユキを知ったのはオーディションの時だった。今まで産まれてからちやほやされた私と違って、ユキは普通の高校生であった。陸上部に入っているらしい。

     帰り道、ユキと一緒になった。お互いの間に流れる沈黙。先に口を開いたのは、ユキだった。

    「私、今日思った。二階堂さんならきっと合格するよ。」
    「え?何いきなり?」
    「二階堂さんにはカリスマ性もリーダーシップもある。私なんかじゃ到底敵わないよ。」

     そう言ってユキは笑った。

    「お腹空いたね。何か食べて帰ろっか。」
    「…そうだね。」

     近くのファミリーレストランに入って各々好きなものを注文する。相変わらず2人の間には沈黙が流れていた。ユキは頬杖をつきながら窓の外を見つめ、私はメニューに目を通していた。そして、聞いた。

    「三矢さんはなんでオーディションを受けたの?」
    「んー。私、本当はアイドルはちょっと…って思ってたんだ。親が勝手に申し込んだだけだからさ。」

    その言葉に私は少しムッとした。

    「でも私、二階堂さんのダンスを見て思ったんだ。二階堂さんがいるなら、楽しいことが出来るかもって…まぁ理由になってないけどね。」

     そう言ってアイスティーを飲みながら淡々と、少しはにかみながらユキは話した。

     やがて料理が運ばれ、2人でちょっと早い夕食を摂ることにした。

    「私は、頂点に立ちたい。三矢さんはその覚悟がある?」

     暫くの沈黙のあと、三矢さんははにかみながら言った。

    「二階堂さんとなら、どこまでも。」


     それから数日、私、ユキ、市村さんの3人が選ばれた。

    「合格おめでとう。俺はお前たちのマネージャーの山本だ。よろしく。」

     市村さんが「うわ、イケメン…」と小さい声で言っているのが分かる。そうか?

    「今日からトレーニングに入る。2泊3日の強化合宿だ。」
    「え、聞いてないですけど。」
    「陸上部、大丈夫かな…」
    「広いお風呂…!」

     それぞれ何かを言っていたが、山本がそれを遮る。

    「あくまで強化合宿だからな?」
    「はーい。」

     自宅に帰り、旅行の支度をする。山本から渡されたのは私達のデビューシングル予定の「超常恋現象」のCDと楽譜だ。私のパートが多い。私は少しニヤついていた。

     ところは変わって、軽井沢。

    「よろしくお願いします。」
    「今日からあなたたちを指導する四方田よ。よろしくねん。」

     …オカマか。私はこれからに若干の不安を覚えながら、声出しを始めた。

    「んー、二階堂ちゃん少し肺活量が足りないわねぇ。超常恋現象は比較的高い曲だから肺活量が必要よん。」

     確かにこの曲の音程は高い。ユキは軽々と自分のパートを歌っていた。

    「ユキちゃんはあれね、陸上部だから肺活量はあるわねん。もう少しお腹から声出せるかしらん?」
    「は、はい。」

     流石の三矢ユキも少し引いてるようだ。

     あっという間にレッスンは終わり、夕食の時間だ。その前に3人でお風呂に入ることにした。

    「んー!広いお風呂最高!」
    「市村さん家は家族が多いんだっけ?」
    「うん。だからゆっくりお風呂に入れなくって。」
    「そっかぁ…大変だね。」

     お風呂から上がり、夕食を食べ、部屋に行く。部屋にも楽譜台と楽譜が置いてあった。練習しろってか。まぁ、強化合宿だからしょうがないけど。

     部屋に備え付けのCDプレーヤーにCDを入れ、イヤホンを差し込む。音程、リズム、ブレスのタイミングを何度も何度も聞き返して体に叩きつける。それが私のやり方だ。

     10回以上「超常恋現象」を聞いたあと、イヤホンを外すと、トントン、とドアが叩かれた。開けるとユキがいた。

    「三矢さん、どうしたの?」
    「二階堂さんと少しお話したいなって。あ、迷惑だったかな?」
    「いいよ。どうぞ。」

     ユキを中に入れる。フワッと香るフローラルな香り、思わず聞いてしまった。

    「三矢さん、シャンプー何使ってるの?」
    「え?パンテーンだよ。」
    「そうなんだ…。いい香りだったから…。」
    「うちは全員パンテーンだよ。」
    「そっか…。中入れば?」
    「うん。ありがと。」

     2人してベッドに座る。私は冷蔵庫からお茶を取り出してユキに渡した。

    「ありがとう、優しいね二階堂さんは。」
    「…別に。優しくなんかないよ。」
    「これ、二階堂さんが録った超常恋現象?」
    「うん。」
    「聞いてみてもいいかな?」
    「別に構わないけど…」

     しばらく。ユキはヘッドフォンをし、私はつまらないテレビを流し見していた。ユキがヘッドフォンを外す。

    「やっぱり二階堂さんは歌が上手いね。高音が綺麗に出てるし、ビブラートもしっかりと掛かってる。」
    「…ルイ」
    「え?」
    「ルイって呼んで。」

     何でそんなことを言ったのか、自分でも分からない。けど、ユキにだけはそう呼んで欲しかったのだ。

    「え、えっと…ルイ…ちゃん?」
    「ルイ」
    「ルイ。」
    「そう。私もあなたの事、ユキって呼ぶから。」

     そう告げると、ユキはくすっと笑った。

    「なんかくすぐったいね。ルイ。」
    「何か急に恥ずかしくなってきた…」

     ユキからは、女の子特有の匂いがした。フローラルでいて繊細な花のような。

     …気付くと私はユキを押し倒していた。

    「ルイ?」
    「…好きになっちゃった、貴女の事。」
    「え、」
    「ごめんね」

     ユキが何かを言う前に私はユキの唇を塞ぐ。しばらくして、口を離すと。唾液が糸を引いていた。

    「…いきなりごめん。」
    「…私は平気だよ。ルイ。付き合っちゃおうか。」

     私は心底驚いた。容姿端麗、陸上部のユキからそんな言葉が出るなんて。

    「でも…」
    「女の子同士でも構わないでしょ?あ、ファンの皆さんには内緒だよ。」

     唇に指を当てる。私は真っ赤な顔で頷いた。

     翌日。ダンスレッスン。

    「今日は少しハードよん。振り覚えて来たかしらん?」
    「やば。あんまり覚えてないかも…」
    「私が隣にいるから、私のマネしてね。」
    「う、うん。」

     ダンスレッスンが3時間続く。休憩を迎える時にはみんなグタグタだった。私は床に寝そべっていた。

    「…ルイ」
    「ひゃっ」

     そこなには冷たい飲み物を持ったユキがいた。

    「はい。水分補給大事。市村さんも。」
    「あ、ありがとう!」

     地獄のダンスレッスンが終わり、私はシャワーを浴びる気力も無くベッドに横たわっていた。

    「ルイ、お風呂入らないと不潔だよ。」
    「わぁっ!?どうやって入ってきたの!?」
    「スリッパがドアに挟まってたよ」

     マヌケである。

    「ねぇ、一緒にお風呂入ろ。疲れ取れるよ。」
    「え、やだよ。」
    「いいから。」

     そう言ってユキが私をだっこする。さすが陸上部。力持ちだ。

    「じゃ頭流すね。」

     何故かユキに頭を洗われる私。しかし気持ちが良かった。

    「ルイ、髪の毛サラサラだね。」
    「まぁトリートメントは欠かしてないからね。」
    「あとで私のトリートメント貸してあげるね。すごいサラサラになるよ。」
    「…ありがと。」

     結局ユキに体も洗われ、私がユキを洗う番になった。

    「ユキもさらさらだね」
    「さっきのトリートメントのおかげだよ。」

     同じくユキの体を洗い、2人でお風呂に浸かる。

    「超常恋現象、きっとルイがエースなんだろうね。」
    「…さぁ。あのトレーナーとマネージャー次第だけどね。でもあたしはトップに立ちたい。だからエースの座は絶対取ってみせるから。」
    「頑張れ、応援してる。」
    「ユキは?エースになりたくないの?」
    「私はサブでいいの。ルイが歌ってる横に立ってたいから。」
    「…恥ずかしいこと言わないでよね。」
    「そろそろ上がろっか。」

     あっという間に強化合宿が終わり、レコーディングが始まり、超常恋現象が発売された。売り上げは比較的好評で、初めて音楽番組にも出演した。

     その後間も無く新曲の楽譜とダンスDVDが配布された。何度もDVDを見ては振り付けを覚えて、何度も音楽を聞いて研究した。次も私がエースだ。





     …そう思っていた。


     その日はマネージャーと事務所の社長の前で振り付けを披露する日だった。エースが決まる日でもある。

     社長が言った。


    「次のセンターはあの子にしよう。」

     社長が指を指したのはユキだった。

    「わ、私には無理です!」
    「君がいいんだよ。これは決定事項だからね。」

     そう言って社長が出ていく。レッスン場は険悪な空気に包まれた。

     その日、私はユキを自宅に呼んだ。

    「ル、ルイ?」

     ユキを押し倒す。

    「センターの座譲ってくれない?」
    「私に言われても…」
    「社長に直談判するから。」
    「それはんっ…構わないけど…っ」

     私はユキの首筋を血が出るまで噛んだ。うっすらと滲んだ血を舐め、ユキを開放する。

    「…私のこと好きなら変わってよ」
    「社長に…」
    「…もういい。帰って。」

     ユキが帰り支度をして、ドアを閉める。

     パタンという軽い音と共に私は泣いた。
    ――――――――――――――――

    「遅くなっちゃったな…。早く帰らなきゃ。」

     私はルイに噛まれた首筋を触りながら、帰路に着いていた。

     その刹那。

     いきなり意識がブラックアウトした。

     気がつくと、私は何者かに縛られていた。

    「貴女がいなくなればあたしが貴女の代わりになれるの。不幸だと思って。」

     そういうとその何物が私の頭にビニール袋を掛ける。

    「昔マンガで見た方法だけど、効くのかな!」

     その声を聞いた瞬間、頭に打撃が走った。

     ガッガッと暗闇に鳴る頭を殴る音。意識が混濁した私の首に、ロープが撒かれた。

    「ぐっ…あっ…」
    「あんたが死ねばあたしがアイドルになれるの…!死んで!」

     混濁した意識は光へと変わり、そして私は目を閉じた。
     ――――――――――――

     冷静になって考えてみると、社長のせいだ。ユキのせいじゃない。

    「謝らなきゃ…」

     ユキは事務所に忘れ物を取りに行くと言っていた。今なら事務所に着いた頃だろう。私はタクシーを捕まえて事務所に向かった。

    「…ユキ?」

     事務所は暗かった。

    「いるの?電気付けるよ?」

     電気を付けると、ビニール袋を被った何かが椅子に座っていた。

    「…ユキ?」

     ビニール袋を取ると、頭から顔を真っ赤にしたユキが出て来た。私は咄嗟にあとずさる。

    「何だ?誰かいるのか…うわっ!二階堂!?」
    「山本さん…!」
    「三矢…二階堂お前がやったのか?」
    「そんな訳ないじゃん!ユキ!起きてよ!」

     冷たくなったユキの体を揺さぶる。その体は床に倒れ込んだ。
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