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    マサよし

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    マサよし

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    一日一作【5】 4/16
    ・お題「誰にも相談できずに自己嫌悪に陥っていると、何も言わずにそばに来て「癒して」と甘えるふりして甘えさせてくれる朱玄」

    お題2(朱玄)「……」
    最初こそ、些細なことだった。
    学校の授業でケアレスミスをした。違うユニットのアニさん方と組んだ仕事でポジションミスをした。番長さんに頼まれていた書類の提出を遅れそうになった。
    そんな事の積み重なりで、どんよりと沈んだ気分になってしまっている。別に一つ一つを見れば仕方のなかった点もあるし、以後気をつければ二度は起きないものばかりだ。わかっているが、しかし、どうもいけない。開いた本の活字に目が通らないどころか、疲れてしまうくらいには参っている。
    「はぁ……」
    最近調子が悪いだなんて、言い訳じみたことを誰に相談できようか。本を閉じて目を瞑る。睡眠不足か、質が悪いか?それとも環境の変化のせいか。考えられる原因を探り、頭の中をグルグルと巡らせていると、近づいてくる気配に気がつくことができなかった。
    「うお……!?」
    ドカリと隣に何者かが乱暴に座ってくる。驚いてそちらを見ると、朱雀がいた。いつの間に事務所に……と言いかけた言葉は飲み込む。いつになく、真面目な顔をしていたから。
    「……朱雀?」
    「いいや、なんでもねぇ」
    声をかけると、そう言ってグダリと体を預けてきた。二人分の体重を支えられるように足に力を込めると、それを良いことにさらに腕を絡ませ頭を押し付けと絡んでくる。一体何事だ。
    「なんだ、朱雀……おい、ここ事務所だぞ」
    「んー」
    別に朱雀との関係性を隠し通そうとしているわけではないが、事務所のソファーでグダグダとしているのを見られるのは神速一魂としてはいただけない。男子高校生の謎のイチャつきだと思われればそれでもいいが、ヤンキーやってる身としてはそれもできれば避けたいところだ。
    「おい朱雀」
    「……なぁ、玄武ー」
    「あ?」
    「癒してくれ」
    引き剥がそうとしていた手を止める。こちらを見上げた朱雀はニィ、と笑った。
    「……癒す、って?」
    「疲れたから。ダメか?」
    髪型が崩れるのもいとわずに肩にグリグリ頭を押しつけて、手を取って重ねて握ってくる。その姿はなんとなく、にゃこが朱雀に甘えている時を思い出させた。柔らかい、とびっきりの笑みを向けられ、それ以上何も言えなくなる。
    「……」
    「さっきよ、英雄さんとパンケーキ食ってきたんだ。甘い匂いまだするか?」
    促されるままに、朱雀の頭に顔を埋める。確かに、言われてみれば甘い匂いがする……ような気がする。それよりも、近くなった距離に落ち着きを覚えて、温かい人肌から離れがたくなってしまった。
    「……匂い、する気もする」
    「そっか」
    「それよりお前……体温高すぎねぇか」
    「走ってきたからだと思うぜ」
    じんわりと、何かが零れ落ちそうになるのを他愛もない会話をすることで必死に耐えた。添えられた手を握り返すと、腕を引かれて向かい合うように居座り直してくる。そのまま勢いよく、だが思っているよりも慎重に飛び込んでくる体を受け止めた。
    「俺が甘えたくなったんだ。ごめんな」
    背中に回った腕に抱きしめられて、温かい手が背をさする。包み込まれるような感覚に今度こそ情けない吐息が溢れたが、朱雀は気にしていない様子でそのまま腕の中に収まってくれていた。そっと、俺も背中に手を添える。
    「……悪い、朱雀」
    「なにがだよー?」
    震えた声を聞いてか、ゆっくり顔を上げる。その目とぱち、と視線がかち合って、一瞬だけ目を見開いた朱雀は片眉をひそめて目を細めながら微笑んだ。優しく、やれやれと嬉しそうに崩れた表情にも見えた。
    「ん」
    軽い口付け。触れてすぐ離れていくその温かさに、それだけで心が軽くなった気がする。ここでやっと笑顔に笑い返すことができて、朱雀は満足そうに体ごと離れていった。
    「……朱雀?」
    「ん?」
    「もう、いいのか」
    腕を引き止めてまでして、口から出る台詞がそれか。我ながら不器用さに恥ずかしくなってくるが、それでも朱雀は余計なことは何も言わずに笑う。
    「じゃあ、もうちょっとだけ」
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    Replies from the creator

    マサよし

    REHABILI朱玄SS
    ※つべで見た「デザートは私」って言ってみた、みたいなショート動画の言われた彼氏側が可愛かったので朱玄で妄想したやつ
    ※玄が積極的
    デザートは別腹 空になった皿が7枚。8枚目が重ねられるのを見ながら、食後のコーヒーに口をつける。「今日泊まるホテルの夕食はビュッフェ形式ですよ!」と目を輝かせた無邪気な番長さんから事前に聞いた俺たちは、存分に仕事で腹を空かせてからビュッフェに臨んでいた。
     なかなか豪華な食事を満喫して俺はもう充分なくらい腹いっぱいになったのだが、目の前の相棒はここぞとばかりにスイーツやフルーツを取りに行っている。こっちが小さいチーズケーキとオレンジ2切れを食い終わる間に3皿は平らげている勢いだ。
    「んん〜! こっちもうまいぜ!」
    「相変わらずよく食うな」
    「だって飯もデザートもすっげえうまいしよ! なあなあ玄武、これ食ったか!?」
     口の端にクリームをつけて、幸せそうな笑顔の朱雀が微笑ましい。モンブランのようなミニケーキの残り半分にフォークを突き刺して差し出してくるので、大人しく口を開けてテーブルに身を乗り出した。朱雀は時々こうやって俺の好きそうなものを食べさせてくる。きっと感想を共有したいんだろう。
    1923

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