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    noa_noah_noa

    アルセノの文章を時々。
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    POIPOI 19

    noa_noah_noa

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    アルセノ4つめ?
    拙作(https://poipiku.com/7286563/8263683.html)の続きのような話。本当は🌱の誕生日祝いに書き切るつもりだったけれど、間に合わなかった。







    ※🌱伝説任務ちょいバレ?注意

    🌱の家に楽器が飾ってあったので、そこから前作を思いついて、今回に至るところまでの流れが書きたかっただけ。

    #アルセノ
    haino

    ラストダンスは貴方と。最早ルーティンとなりつつある、恋人への家へと向かうセノはドアの前で立ち止まった。平穏と静寂を好む恋人の家の中から僅かに音が聞こえる。音と言っても料理や掃除といった生活音ではない。

    聞き覚えのあるような、初めて耳にするような音色。

    彼の同居人が演奏しているのだろうかとセノが扉を開けてみれば、アルハイゼンが椅子に腰掛けて二弦楽器を弾いていた。

    「お前が楽器を弾くなんて知らなかった」
    「……君か」

    セノに気づいたアルハイゼンはその手を止めた。セノはそのまま彼の隣に座る。

    「芸術には疎いと思っていた」
    「確かに俺は芸術を愛するタイプではないが、楽器をただの調度品として飾るような愚行はしないさ」

    アルハイゼンは後方の棚の上に立てかけているもう一つの楽器に目をやりながら反論した。

    「何を弾いてたんだ?」

    恋人の言葉を受け流してセノが尋ねる。

    「この間君に聞かせた詩があっただろう?あれは今では曲がつけられて民謡として親しまれているのを思い出してな。それで弾いてみようと思ったんだ」

    こんな具合にな、とアルハイゼンはもう一度指で弦を弾いた。

    耳慣れた楽器の音色に異国の旋律。
    穏やかな音色と共に心地よいテノールで紡がれる歌にセノは思わず目を瞑り聞きいっていた。

    「以前聞いた時とまた違う詩に聞こえるな。なんだか、自然に語りかけるような、大地への思いを告げるようなそんな心地よい歌だった」
    「これは民謡だからな。前回は恋人を口説くために読んだのだから別物に聞こえて当然だろう」
    「……わざとだったんだな」

    セノがじとりと隣の男を睨んでも、アルハイゼンは眉ひとつ動かさない。

    「俺の薔薇を愛でることに何の問題があるんだ」

    セノはため息を一つこぼして口を閉ざした。その様子に満足したのか、アルハイゼンは再び演奏を始める。セノは腕を組んで恋人の肩に頭を乗せた。リビングは異国風の音色と歌声が支配していた。

    どれくらいの時間が過ぎただろうか、アルハイゼンは演奏を中断し、気まぐれに弦を弾き始めた。どうやら演奏会は終了らしい。セノはすっかりもたれかかっていた身体を起こした。

    「君、歌は」
    「あまり。それに人前で歌うのは得意ではないんだ」
    「ならば舞は?」
    「舞?」
    「ああ。砂漠の民の舞は人々を魅了すると聞く。君が踊るのならさぞかし妖艶なのだろうな」

    セノはアルハイゼン口角が上がっているのに気づいた。
    これは学者特有の探究心なのだろうか?それとも……。

    「今夜」
    「ん」
    「お前が望むなら今夜踊ってやろうか」
    「いいのか」

    珍しく目を大きく開いた恋人にセノは口元が緩む。

    「踊って欲しいんだろう?」
    「観客は?」
    「いらない」
    「では演奏は?」

    セノは徐に立ち上がり、アルハイゼンの手から楽器を奪うと、定位置である棚の上に戻した。そして、恋人の膝にどかりと座り、彼の頬を両手で包む。

    「お前のカラダ一つあれば十分だよ」
    「ほう。あの大マハマトラ様の舞を独り占めできるなんて光栄だな」
    「白々しい。そういうつもりで言ったんだろう?」
    「さあ。君の想像に任せるとしよう」

    アルハイゼンはセノの右手を取り、手のひらに唇を落とした。
    もうすぐ月が満ちる。

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    noa_noah_noa

    CAN’T MAKE夏の初め、フォロワーさん達とマルチ中に「⚖️にキスしてほしくて溺れたフリをする🌱」の話で盛り上がり、私なりに書いてみた結果、惨敗しました。
    もし覚えていたらこっそり読んでください。もう夏が終わってしまいますが。

    ※フォロワーさんとのやり取りで出てきた台詞を引用・加筆して使用しております。

    ※水場でふざけるのは大変危険です。よいこは絶対にやらないでください。
    通り雨通り雨


     キスがほしい。
     恋人からのキスが欲しい。

     突如脳内を駆け巡った欲望は多忙の恋人と規則的な己の休暇を無断で申請させた。恋人に事後報告をすると、当然こっぴどく叱られた。けれども、その休暇を利用して稲妻旅行をしようと誘えば満更でもなさそうに首を縦に振ったので胸を撫で下ろした。まず、第一段階完了。

     稲妻までの道中、セノはいつものように気に入りのカードを見比べては新たなデッキを構築したかと思えば、『召喚王』を鞄から取り出してすっかり癖がついてしまっているページを開き、この場面の主人公の台詞がかっこいいと俺に教えてくれた。もう何百回も見ている光景だというのに瞳を爛々と輝かせる恋人はいつ見てもかわいい。手元の書物に視線を落としながら相槌を打っていると離島に着くのはあっという間だった。第二段階完了。
    2223

    noa_noah_noa

    REHABILI理科室の恋人。(https://poipiku.com/7286563/8958806.html)と同じ世界線のお話です。モブがひたすらおしゃべりしているだけ。それでも平気な人だけどうぞ。
    とある司書の話とある司書の話


     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
    2603

    noa_noah_noa

    REHABILI赤い目の🌱が書きたくて、プロット作って放置してたら違うものになってしまった。
    リハビリ
    少しドメスティックでバイオレンス。
    文章は書き続けないと鈍る。
    green eyedだよねえ、本当は。
    あかい目のかいぶつサマあかい目のかいぶつサマ





    ※赤い目のアルハイゼンを一度でいいから書いてみたかったけれど、何だかいつも通り変なものになってしまった。何でもありな人向け。








    あ、

     振りかざされた拳に気付いたのと同時に左頬がカッと熱くなる。途端、視界も急変。
    薄暗い室内でぼんやりと浮かぶ白い天井と、ぎろりと光る赤い、瞳。

    またか、

     自身の下腹部に響く殴打音を聞きながら、己の仕事が荒事を解決することでよかったと思う。そうでなければ無意識に受け身をとることだってできなかっただろうし、急所を気付かれないように避けるなんて芸当できなかったと思うから。

    「考え事とはいいご身分だな、セノ」

     眼前の男にはバレていたらしい。赤い目がぎりりと細くなったかと思えば、両手が首元にかかる。感情に任せて絞めあげられてしまえば、ぱくぱくと口を開けることしかできなくなる。止めさせなければならないのはわかっている。自分の右手を上げかけて、止めた。
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     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
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