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    noa_noah_noa

    アルセノの文章を時々。
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    POIPOI 19

    noa_noah_noa

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    夏の初め、フォロワーさん達とマルチ中に「⚖️にキスしてほしくて溺れたフリをする🌱」の話で盛り上がり、私なりに書いてみた結果、惨敗しました。
    もし覚えていたらこっそり読んでください。もう夏が終わってしまいますが。

    ※フォロワーさんとのやり取りで出てきた台詞を引用・加筆して使用しております。

    ※水場でふざけるのは大変危険です。よいこは絶対にやらないでください。

    #アルセノ
    haino

    通り雨通り雨


     キスがほしい。
     恋人からのキスが欲しい。

     突如脳内を駆け巡った欲望は多忙の恋人と規則的な己の休暇を無断で申請させた。恋人に事後報告をすると、当然こっぴどく叱られた。けれども、その休暇を利用して稲妻旅行をしようと誘えば満更でもなさそうに首を縦に振ったので胸を撫で下ろした。まず、第一段階完了。

     稲妻までの道中、セノはいつものように気に入りのカードを見比べては新たなデッキを構築したかと思えば、『召喚王』を鞄から取り出してすっかり癖がついてしまっているページを開き、この場面の主人公の台詞がかっこいいと俺に教えてくれた。もう何百回も見ている光景だというのに瞳を爛々と輝かせる恋人はいつ見てもかわいい。手元の書物に視線を落としながら相槌を打っていると離島に着くのはあっという間だった。第二段階完了。

     離島で滞在手続きを済ませた後、目的の一つである八重堂で新作を物色し、空腹を訴えるセノを烏有亭へ連れて行く。以前、彼のカード遊び仲間であり稲妻出身である男からこの店の話を聞いたことがあった(直接本人から聞いたわけはない、セノの話に出てきたからなんとなく覚えていた)ので興味があった。セノは店主に勧められるまま注文をして出された料理に舌鼓を打っていた。俺はといえば、先ほど購入したばかりの新作を読み進めるのを優先し、食事は疎かになっていた。恋人には行儀が悪いと注意されたものの、途中で串焼き三種を追加注文して俺の口の中につっこんでいた。読書をしながら食事をするのは行儀が悪くて、口に食べ物を詰め込みながら読書をするのはいいのかとたずねたところ、手が空いてない時はその方が効率が良いと返されてしまったので、帰国後にやることが増えてしまった。第三段階完了。

     その日は温泉に浸かり、体をしっかり休めた。本番は次の日だ。
    屋台で携帯食を包んでもらい、旅人から聞いていた雷元素が満ちた島へと向かう。セノには表向きの目的として、旅行の日程の中でこの不可思議な島のフィールドワークもしたいと話していた。だからセノは本来の目的など知らない。
     
     空も海も薄ら紫がかった島の海岸線沿いを散策する。雷元素に満ちたこの島はまるで世界から切り取られてしまったように太陽も雲も見えない。なんとも不思議な島だ。
     時折古代文字ののような石板を調査していると向こう岸まで泳げそうな場所を見つけた。そのまま泳いで渡ろうと言えばセノはすぐに飛び込んだ。俺もそれに続く。
     こうして二人で泳ぐのは初めてだ。だからこそ、この作戦が効く。セノが目的地に目を奪われ、自分の足も浮き始めた途端、俺は海藻に足を取られたふりをして後頭部から海に沈んだ。

     目を閉じたまま水流に身を任せていると、頭上から盛大な水飛沫が起こった。そのまま小さな腕がその細さから想像がつかない程強い力で水面に引き寄せられた。耳の中の水のせいで、自分の心音しかわからない。
     ゆったりとした動きで砂浜に引き上げられると、仰向けに寝かせられた。体勢が変わったおかげで、耳の中の水は砂に落ちていった。

    「アルハイゼン!大丈夫か!?聞こえているか?返事をしてくれ!!」

     セノの必死な声が聞こえる。けれども、目的の為にここで返事をするわけにいかない。セノは俺が反応しないので、気道を確保した。濡れた肌からセノの呼気が徐々に近づくのがわかる。もうすぐ目的が達成されるのだと思うと鼓動が一気に早くなった。セノが俺の鼻をつまんで顎を持ち上げる。
     
    ああ、やっと叶う。来る唇の感触を待ち構えて、いた。

    「いつまで狸寝入りをしているつもりだ、アルハイゼン」

     期待を裏切られた俺に贈られたのはキスではなく、頬への張り手だった。

    「セノ」
     
     ぺち、という愛らしい音とは真逆の痛みに俺は三文芝居を止めざるを得なかった。目を開ければ、眉をつりあげた恋人に迎えられる。尋問のようだ。

    「言え。何故こんなことをした」
    「君から」
    「俺から」
    「君からキスしてほしかった」
    「なんだと?」

     怒気を隠せない恋人を無視して俺は身を起こして弁明を続ける。

    「……普通にキスしてくれと言えば、君のことだ、不埒だなんだと言って断るだろう?だが、人命救助というもっともな理由であれば君はしてくれるに違いない。だが、君に気絶しているフリがバレてしまうとは想定外だった」
    「なっ……!?これだから学者の好奇心は……………!!」

     俺の答えがお気に召さなかったらしい恋人の眉間に皺が寄る。だが、険しい顔をしていても耳たぶの赤さは隠せないらしい。

    「学者としてじゃない。恋人としての願望、いや欲望というべきか。……ああ、わかっている。わかっているさ。これも君の照れ隠しだというのもわかって……」
     ごす、という鈍い音が鳩尾に響いた。衝撃で再び砂浜に体が沈む。両手が拘束され、彼が身体の上に乗り上げてきた。

    「ふざけるな。人命救助という口実を使って肋骨の1本でも折っておくべきだった」
    「本気で心配してくれたんだな」
    「……っ、お前がっ!目の前で死ぬかと思ったんだ…………。そんなこと、そんなこと耐えられない……」
    「セノ」

     ぽつり、ぽつりと雨が降る。雨のせいで恋人の表情は見えない。

    「ごめん、セノ」

     無力な拘束を外して抱き寄せた。雨が止むまでずっと。
     ずっと抱きしめていた。


     
     




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    noa_noah_noa

    CAN’T MAKE夏の初め、フォロワーさん達とマルチ中に「⚖️にキスしてほしくて溺れたフリをする🌱」の話で盛り上がり、私なりに書いてみた結果、惨敗しました。
    もし覚えていたらこっそり読んでください。もう夏が終わってしまいますが。

    ※フォロワーさんとのやり取りで出てきた台詞を引用・加筆して使用しております。

    ※水場でふざけるのは大変危険です。よいこは絶対にやらないでください。
    通り雨通り雨


     キスがほしい。
     恋人からのキスが欲しい。

     突如脳内を駆け巡った欲望は多忙の恋人と規則的な己の休暇を無断で申請させた。恋人に事後報告をすると、当然こっぴどく叱られた。けれども、その休暇を利用して稲妻旅行をしようと誘えば満更でもなさそうに首を縦に振ったので胸を撫で下ろした。まず、第一段階完了。

     稲妻までの道中、セノはいつものように気に入りのカードを見比べては新たなデッキを構築したかと思えば、『召喚王』を鞄から取り出してすっかり癖がついてしまっているページを開き、この場面の主人公の台詞がかっこいいと俺に教えてくれた。もう何百回も見ている光景だというのに瞳を爛々と輝かせる恋人はいつ見てもかわいい。手元の書物に視線を落としながら相槌を打っていると離島に着くのはあっという間だった。第二段階完了。
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    noa_noah_noa

    REHABILI理科室の恋人。(https://poipiku.com/7286563/8958806.html)と同じ世界線のお話です。モブがひたすらおしゃべりしているだけ。それでも平気な人だけどうぞ。
    とある司書の話とある司書の話


     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
    2603

    noa_noah_noa

    REHABILI赤い目の🌱が書きたくて、プロット作って放置してたら違うものになってしまった。
    リハビリ
    少しドメスティックでバイオレンス。
    文章は書き続けないと鈍る。
    green eyedだよねえ、本当は。
    あかい目のかいぶつサマあかい目のかいぶつサマ





    ※赤い目のアルハイゼンを一度でいいから書いてみたかったけれど、何だかいつも通り変なものになってしまった。何でもありな人向け。








    あ、

     振りかざされた拳に気付いたのと同時に左頬がカッと熱くなる。途端、視界も急変。
    薄暗い室内でぼんやりと浮かぶ白い天井と、ぎろりと光る赤い、瞳。

    またか、

     自身の下腹部に響く殴打音を聞きながら、己の仕事が荒事を解決することでよかったと思う。そうでなければ無意識に受け身をとることだってできなかっただろうし、急所を気付かれないように避けるなんて芸当できなかったと思うから。

    「考え事とはいいご身分だな、セノ」

     眼前の男にはバレていたらしい。赤い目がぎりりと細くなったかと思えば、両手が首元にかかる。感情に任せて絞めあげられてしまえば、ぱくぱくと口を開けることしかできなくなる。止めさせなければならないのはわかっている。自分の右手を上げかけて、止めた。
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    とある司書の話とある司書の話


     きれいな男の子がいたの。
    戦前からの歴史ある学校だから、当時の貴重な資料もたくさんあって。だから学校だけじゃ管理が不安だって、外から職員も雇っていたの。だから私もあそこで働いていたのよ。
     でも生徒さんたちはそういう古いものなんて興味がないでしょう?あのくらいの年頃の娘さんたちは図書館なんてほとんど寄り付かなくてね。授業の一環だったり、係の仕事だったり。それ以外なら自習室代わりに使う子は少しいたくらい。利用者のほとんどは一般開放日の地域住民よ。それもうんと年上のね。

     だから今でも覚えているのかもしれないわ。
    毎週火曜日と木曜日に来ていたの。一般利用ができるのがその2日だったから。毎回きっかり16時半に来てたの。チェックのネクタイに紺色のブレザーを着た男の子。あそこから自転車で20分くらいの学校の制服だったわ。え?今は駅が出来たの?あんな住宅街の中に?そこからだったら1駅の場所にある学校ね。ええ、その学校よ。中高一貫の名門校。
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