羅紗のニュンペー知り合いがやっているバーがある。駅から比較的近いのにわかり辛い場所にあるため、いつ行っても混んでいないところが良い。階段を数段降りたところにある扉は大きく重厚な印象で、けれども前に立てば横に自動でスライドするものだからそのギャップが面白かった。
本来であれば夕方から深夜までが営業時間なのだが知り合いということもあり行くのが確定した日には早めに開けてもらえることになっていた。仕事柄、自由に飲酒が出来ないからそういった融通が利くのは有難い。申し訳ない気持ちも多少ある。そのため張遼はそのバーに行けばなるべく高い酒を飲むと決めていた。微々たるものだが知人のためになるのはそれくらいだ。
夕暮れ、遠くで居酒屋のキャッチが活発になるのを聞きながら目当ての扉へ向かう。ゆっくりと静かに動く様子を見送って中へ一歩入り、さらにある扉を開けば暗くて落ち着いた店内が目の前に広がる、はずであった。
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