お願い!恋して、偽装婚約者様!「だ、旦那、あの、何で…」
「フッ…それはどれに対してだ?」
ベッドで所在無さげに座っていたスパンダムは呆然としたようによく見知った美しい顔を見上げる。
そして、大股で歩み寄ったルッチは、スパンダムの隣に腰掛け、楽しげに喉を鳴らした。
優しく紫の髪先を節ばった男らしい指がくるくると弄ぶ。
それは猫がご機嫌そうにのどを鳴らし、獲物をいたぶるような動きで、スパンダムは体が固まった。
何故ならば、あのロブ・ルッチが目の前に居る。
超名門校、CP学園が始まって以来の完璧超人、最高傑作と名高い生徒会長、通称、総監がスパンダムの隣に座り、ゴロゴロと喉を鳴らしていた。
いや、なんでこいつが居る?
スパンダムの自宅、と言うか、スパンダムの部屋、それも深夜にだ。
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