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    糸遊文

    テキトーに息してます。

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    糸遊文

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    粉雪が舞うのをみて、思い立って書いた作品だけれど……何が描きたかったんだろうなぁ。

    #一次創作
    Original Creation
    #短篇
    shortStory

    白んだ空が僕の心を侵蝕する 曇天から降り注ぐ銀華が僕の頬に落ちて、肌に溶けて馴染む。止めどなく降り注ぐ銀華に紛れて消えてしまえたら良いのに、なんて冗談を呟いたら、君に思いっきり頬を叩かれた。乾いた音と共に振り子のように揺れる視界と思考が正解を君に求める。
     ぽたり、溶けた銀華が熱を帯びた頬を慰めるように滑り落ちた。凍てついているだろうと思っていたのに意外にも温かくて、赤みを帯びた肌を撫でては滲んでゆく。じわじわと僕の脳が痛みを感知して、クリアになってゆく視界に君の泣き顔が映る。
    「なん、で……」
     ぐっ、と胸倉を掴まれて、息を乱す君との距離が近付いた。銀華で濡れた睫毛の陰で薄膜を張った双眼が揺らいで、解けてゆく。白に塗り潰された世界にぽってりと咲く紅色と、研ぎ澄まされた黒曜石が輪郭を取り戻して慟哭した。
    「あなたが、それを問うの……ッ」
     ――決壊。
     君の目尻から再び雫が流れ落ちて、濡れた頬に一筋の透明な線を描く。綺麗だ、と見惚れた。君が流す涙はどんな景色よりも美しく、僕の眼と心に焼き付いて離れなくなってしまった事に歓喜する。曇天、灰色、雪、白色――君の唇、緋色。
     君が欲しがった正解はどれだった?


     銀華が曇天から降り注ぎ、静寂が闊歩する。
     ダラリ、と覆いかぶさる冷たい君を抱きしめて、嗤う。
    「殺してって」
     涙が流れ落ちた跡が残る頬に唇をそっと、寄せた。
    「君が、僕に強請ったんだよ?」
     人形のように冷たく硬くなってゆく君の躯が、不正解の僕を拒絶しているみたいで。
    「死にたい、と乞うた僕に」
     粛々と銀華は僕等の上に降り積もって、覆い隠してゆく。もう、冷ややかさは感じない。感じるのは、胸の痛みだけ。じくじく、と蝕んで広がってゆく痛みを子守唄に僕は、瞼を下ろした。
    「君が居ない世界で生きていたくない僕に、君は」

     ――暗転。

    「生きて」
     なんて、残酷な枷を填めさせるの。僕に君の命を散らせたくせに。
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    糸遊文

    PAST『花瓶と眼』をまるっと書き直そうとしていた跡を発見した。
    花瓶と眼 私はいつも通りに今日一日を終えようとしていた。夕陽が海に沈み、月が淡く照らす夜闇を泳ぐように漂う。歩き慣れたアスファルトの路をお腹が空くような匂いを嗅ぎながら進む。家々から漏れる小さな瞬きを眺めながら、少し寂れた二階建てのアパートの前までやってきた。カンカンカンッと軽快な音を立てながら非常階段を上がり、二階最奥の扉へ。手慣れた様にノブを捻る。小さな軋みを立てながら私を歓迎した。
    「やぁ」
     いつものように狭い玄関に足を踏み入れながら声を掛けるのだが、今日は何やら雰囲気が違う。いつもなら煌々と輝いている電灯は眠っていて、なんとも言えない錆びた鉄のような香りが微かに漂っている。なんの匂いだろうか、首を傾げながら靴を脱ぎ捨て奥へと入る。ゴミ袋や服が乱雑に置いてある小さな部屋。開け放たれた窓から吹き込む風に揺れるカーテンと干しっぱなしの服たち。闇夜を全て暴かんとする満月の光を恐れる様に部屋の隅に身を縮こめる影。私は息を潜め、そっと近付いてみる。影は私に気が付いたのか、勢い良く飛び出し私を押し倒した。ひんやりとした小さな掌が私の首を絞め、石榴の様な紅い瞳が私を射貫く。
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