精神崩壊サンぐだ←シャル「ストレス、ですか」
「は、はい。ドクターが言うには今回の特異点は先輩の心に大きな傷を残したとか。」
だからか。最近彼を見ないのは。彼はいつも忙しくしてて見かける時と言ったら特異点に行く合間の時間だったり、何も無い時だけだから。いつもだったら特異点から帰ってきて一週間もすれば見掛けるのに今回は見ない期間が長いせいか、僕を含めた英霊達もどこか落ち着かない。
心の傷は外傷と違って治ることは無い。応急処置をしても瘡蓋が取れればまた血を流す。彼は優しい。その優しさゆえに何度傷付いただろうか。いつも上手に彼はその傷痕を隠す。それが僕にとってはもどかしい。
「マシュ、会いに行ってもいいかな、心配なんだ」
「あ、はい、先輩もサンソンさんが会いに行ったら喜ぶと思います。」
僕の言葉に彼女は快諾して彼の場所を教えてくれた。そしてそこに彼はいなかった。今の彼は人形のようだと聞いていた。意識が戻ったのだろうか。とりあえずあとでまた会いに来ようと足を戻せば戻ってきたのか誰かとぶつかる。
「あ、ごめん」
声の主をみればシャルルマーニュと探し人がそこにいた。車椅子に座る彼に視線を合わせればその目は虚ろで。
「君は…」
「あのさ、待ってるだけってすごい辛いんだ。でもそれでも、戻ってきて欲しいから」
そう言う彼の表情はどこか痛々しくて。聞けばマスターが特異点から帰ってきてから時間を見つけてはこうやってカルデア内に限るが連れ出してるらしい。中庭だったり、食堂だったり。あとはたまに寝たり。
「君はマスターが好きなんだね」
「マスター見てるとさ、ほっとけないって言うかさ、なんて言うか危なっかしいんだよね。こんな状態になったの見たの初めてで、俺どうしていいかわからなくて、できることって言えば連れ出して、昔話したりするくらいしかできなくてさ」
「君は君のできることをしている。今のマスターに必要なのは休むことだから」
「…あんた、お医者さんなんだろ。」
「怒らないよ。だって君はリツカを心配してくれた。それだけでも十分だよ」
僕の答えにシャルルマーニュは深くため息をつくと「ずるい」と不貞腐れたように言うといつもの顔に戻って言う。
「とりあえず今は一旦休戦で」