サンソン先生がマスターを監禁してシャルルマーニュにバレる話マスターが大怪我をして長期療養になったのがつい最近のこと。全部とまではいかないものの、とりあえず大きなトラブルも今のところ特にない。当初はカルデアに一人のマスターに責任おわせすぎということで多数の英霊が所長に迫っていたものの、ある英霊が藤丸の意志を伝えたことで今はみな、大人しく彼の帰りを待っている。
そんなある日のこと。藤丸立香の部屋の前をウロウロする英霊が一人。喋れるまで回復したと医療班から聞いたものの姿を見せないことを心配した英霊が様子を見に来たのだ。一応土産の品は持ってきたし、後は入るだけなのだが、部屋から圧を感じるのだ。ここで帰っては騎士の名が折れる。シャルルマーニュは意を決して部屋をノックすれば懐かしい藤丸の声が聞こえた。入ってみたものは。
「マスター、その目と髪の色は…」
「えっとこれはその…」
久方ぶりに見た立香の姿は髪の色が変わっていた。確か元は黒だったはずだ。怪我の影響で変わったのだろうか。
「もしかしてストレスで…そんな話聞いた気がする。人間にはそういうこともあるって」
「あはは、まあそんな感じ」
藤丸の答えにシャルルマーニュは不審に思う。長年王をやっていると嘘に敏感になるのだ。どこか藤丸の態度に不自然さを感じるも病み上がりの彼に無理させる訳には行かない。とりあえずここは触れない方が良さそうだ。そうだ、土産を渡そう。
「お土産、持ってきたんだ。特異点で買ってきたんだけど、食べる?美味しいよ」
「あ、ありがとう、シャルルマーニュ、ちょうどお腹すいてたんだ」
「良かった、あ、飲み物持ってくるの忘れた、なんか飲みたいのある?」
「なら久々に炭酸飲みたいかも」
「あ、じゃあ俺買ってくるよ」
そう言って部屋から出ようとした時だった。他の英霊にも医療にたけてる存在はいるのに頑なに自分が見ると言った英霊がいた。
「あ、…サンソン」
「ただいま戻りました。マスター、お加減はどうですか?」
「あ、うん、大丈夫」
目で2人を追えば藤丸の表情はどこか怯えた様子で。困っている人間を助けるのは人も英霊も同じ。シャルルマーニュはサンソンに近づき言う。
「飲み物の場所わかんないから教えて貰っていいかな」
「それならここを出て右へ」
「ごめん、それじゃ迷いそうだからさ、マスター、先生借りてもいい?」
「あ、うん、じゃあ俺待ってるね」
2人して外に出ればサンソンはシャルルマーニュを睨みつけてきた。ここで黙っているほどシャルルマーニュはできてはいない。そうして出てきた言葉は。
「あんた、マスターに何した?あの髪の色、あんたの仕業だろ。」