あなたは俺(僕)のもの「立香、来たよ。」
俺、藤丸立香。20歳。大学生。そんな俺の目の前にいるイケメンは俺の前世の恋人だったって言うイケメンだ。名をシャルル=アンリ・サンソン。前世では処刑人としての生を経て英霊だった、らしい。ちなみに今の世の中では医者と弁護士の二足のわらじをしているんだそうだ。
俺に前世の時の記憶はない。だから恋人になれない、そう言ったらサンソンはそれで構わない、ただ傍に居させて欲しいと。聞いた話、前世の俺は今際の際にサンソンともう一人にこう言ったらしい。
『3人でもう一度…』
3人でもう一度ってなんだよ。前世の俺。時折話してくれる前世の話は本当に夢物語そのもので実感がわかない。俺は前世の俺じゃない。だから気持ちに答えられない。俺に縛られて身動きが出来なくなってるんだ。本当はもっと自由なのに。
「マス…じゃなかった…リッカーーー!」
「ぐぇ、ちょっとシャルル、離して痛い」
そう言って俺に抱きついてきたのはシャルルマーニュ。俺の大学の目立つ後輩だ。俺より年下で年齢はまだ高校生くらいなのに頭の良さで飛び級してきたイケメンその2。そう、前の俺は二股してたのだ。しかも本人たち公認という…。以前そのことを指摘したら「「サンソン先生(シャルルマーニュ)なら問題ない」」とハモって言われた。修羅場にならないのはいいけど。
「シャルルマーニュ、立香が潰れます。離れてください」
「ハイハイ、離れますよって。っていうかそっちこそ腰に手を回してるじゃん、俺にそれ言うならそっちが離れなよ」
「僕は立香を支えてるだけです」
俺の今の格好は後ろからシャルルマーニュに抱かれサンソン先生が支えになってくれてる状態だ。これはなかなかに恥ずかしい。今日はお泊まりの日だ。月に1回俺はこのふたりと一緒に寝ている。ほんとに寝るだけで体の関係は無い。今日はこれで大学も終わりだし、あとは帰るだけ。だからなんの問題もない。そんな時だった。同じ学部の友人から声をかけられたのは。
「藤丸ー、あ、今日無理っぽい?合コン誘おうと思ったんだけど」
合コン…大学入って行ったの一度きりなんだよな。それに週末はいつでも空けとくように2人に言われてるしと思っていたらサンソンとシャルルが小声で何かを話していて。なんだろうと気にしてたらサンソンに顎を捕まれ息つくまもなく口付けられる。キスなんて今までしたことないのに、どうしていきなりと思ってたらシャルルが友人に言う。
『こいつ、俺らのだから』