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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック④
    8日目
    不意打ちのキス

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    不意打ちのキス「えっ!?」
     零余子は我が目を疑った。
     職場だと言うのに、無惨が突然、秘書である黒死牟の腕を引っ張り、唇と唇を重ねる……そう、キスをしたのだ。
    「……そんなことをしてもダメです」
    「そこを何とか」
     媚びるように笑って、無惨はもう一度キスをする。
     零余子は脳内の時計を巻き戻した。
     先日、ディーラーに新車の試乗に行き、どうしても新車に買い替えたいと、これまた職場でする話かよ、という話題で二人は揉めていた。
    「駄目です。今の車、いくらしたと思っているのですか?」
    「綺麗に乗っているので下取りに出せば良い値段になるだろう」
    「無理です。外車の中古市場は飽和状態で売っても買い叩かれるのです。別にマイナーチェンジしかしてないのですから今のままで良いでしょう」
     車が欲しい、車が欲しいと駄々っ子のように無惨は大騒ぎする。おいおい、ミニカーを買うのと事情が違うだろう。お前の欲しい車で家一軒建つぞ、と零余子は思っていたが、二人がくだらない口論を続けていると、突然無惨が黒死牟にキスをしたのだ。
     無惨が少し体を後ろに引くと、しっとりと湿った唇がゆっくりと離れていく。
     いつもより輝き二倍増しで無惨は上目遣いで言う。
    「新車、欲しいなぁ……駄目?」
     黒死牟がどんな反応をするかと思いきや、眉ひとつ動かさず、「駄目です」と即却下だった。
     職場でこんなことするか? と零余子の脳内では薄い本が分厚くなるほど原稿が捗っていたが、話している内容は非常にくだらない。そこは脚色して、何か架空の危機を作り上げることにするか、と考える。
     零余子的に一番萌えるのは戦場で追い詰められた二人だろうか。
     どちらかが敵を引き付けて、もう片方を逃がす。死亡フラグがバンバンに立った状況に腐女子は弱い。
     そして、こういう状況の無惨と黒死牟は両片想いの上官と部下が良いだろうか。立場上、好きなんて浮ついたことが言えない無惨と、皆の憧れである上官に淡い恋心を抱いている黒死牟。
     そんな二人は敵の砲弾から命からがら逃げるが、もうこの先はない。
    「ここは私に任せて、お前は先に逃げろ」
    「そんなこと出来ません!」
     聞き分けの悪い黒死牟に不意打ちのキス。
    「次に会えたら続きをしよう……さぁ、行け!」
    「無惨様ー!」
     ベタな展開だが、これってウケるんだよねー! と零余子はニヤニヤが止まらない。
     そんなことをしているうちに就業時間は終わる。
     皆が出払った後、拗ねたまま無惨は仕事し、黒死牟は相手せず淡々と業務をこなしている。
    「無惨様、明日党本部でランチョンセミナーがあり……」
     無惨は大人気なく無視している。いつものことなので黒死牟は相手にせず、明日のセミナーの資料を渡し説明を始める。
    「内容は以上となります」
     そう言った瞬間、黒死牟は無惨のデスクに手を突いて、チュッと無惨の頬にキスをした。
     何が起こったのか解らず、無惨は目を見開いて固まっている。自分からキスすることはあっても黒死牟からしてくることなど皆無に等しい。
    「これで機嫌を直して、早く仕事モードに戻って下さい」
    「えっ? もう一度、唇にキスしてくれたら直す」
    「調子に乗らないで下さい」
     容赦なく黒死牟は無視するが、前屈みになったままの黒死牟のネクタイを掴んで、無惨から再び唇を重ねにいった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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