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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック
    7日目

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    黒革 初めて人を殺した時の感触は、今でもはっきり覚えている。
     彼に貰った黒革の手袋を着けたまま、相手の首を思い切り絞めた。
     首に指がめり込む感触は覚えているのに、どうして、この男を殺そうと思ったのか、理由はよく覚えていない。多分、彼に「殺してくれ」と頼まれたからだったと思う。
     軍隊にいたが、実戦でも素手で人を殺すことなど一度もない。訓練では急所など、人の殺し方は大体学んでいるが、使う日などないと思っていた。だが、その日は案外早くやってきた。それも惚れた男に「殺せ」と命じられただけで実行してしまったのだ。
     黒革に包まれた指先が相手の首にめり込み、徐々に男の顔色が変わっていく。
     首の骨が折れるのではないかと思うほど絞めているのに、赤黒く膨れた顔は命の火を消そうとはしない。思ったより人間はしぶといと知った。
     苦しそうに、こちらの手を掴み、必死に爪を立て引っ掻くが、爪の間に革の表面が入るだけだ。
     がくっと力が抜けたので、一気に体が重くなった。死んだ人間の体はこんなに重いのかと思いながら、役目を終えた安心感で手から力が抜け、死んだ男を地面に落とした。足に力が入らず、死体の隣に蹲ると、苦しそうに目を見開いた死体と目が合った。
     壁に凭れて様子を見ていた彼が、握っていた銃を懐にしまい、ゆっくりと歩いてきた。
    「よくやった、黒死牟」
     大きな拍手をしながら、地面に蹲る自分を抱き締めた。甘い香水の匂いに少し癒された。
     胸に顔を押し当てると、硬い銃の感触が伝わってくる。恐らく、自分ができなかったら二人まとめて殺す気だったのだろう。役に立たないなら殺す。彼は平気でそれが出来る人だ。何度かセックスしたくらいで情が移るとは思えない。
     安心はしたものの、隣で転がっている死体と人を殺したという事実は変わらない。
    「先生……私……人を……」
    「あぁ、お前ならやってくれると思っていたよ。お前は私の自慢の恋人だ」
     初めて彼がこれほどまでに興奮し、頬を赤く染め、笑みを浮かべる姿を見た。どこまでも美しく、どこまでも官能的だ。
     そして、細い指先で顎を掴み、そっとくちづけてくる。彼の背中に腕を回し、音を立てながらくちづけた。緊張で渇いた唇が、彼のくちづけで甘く潤っていく。軍隊にいる時に気付いたが、殺し合いの場所に身を置く興奮は、セックスの時の興奮と似ている。ここで抱いて欲しいと思うくらい興奮していた。
     だが、ふと目に入った自分の黒革の手袋を見て、意識が現実へと引き戻される。
    「遺体は……」
    「そんなもの薬品で跡形もなく溶かせば良い。チンピラひとり消えたところで、誰も気付かない」
     ドラム缶にコンクリと一緒に詰めて海に沈めても良いし、何とでも処理出来ると、くちづけの合間に平然と答える。
    「それと……先生から貰った手袋が……」
    「あぁ」
     震える手から黒革の手袋を脱がせ、彼は遺体の上に投げた。
    「一緒に溶かせば良い、証拠隠滅だ」
    「ですが、折角いただいたのに……」
    「こんなもの、いくらでも買ってやる」
     人を殺した指先に優しくくちづけてくる。
    「愛しいお前の素肌に他人が触れることは許さぬ。お前に触れて良いのは私だけだ」
     愛の言葉で雁字搦めにされ、人を殺した後悔を快感が上塗りする。彼に認められ、愛されるのなら、人の命などちっぽけで安いと思った。

     それから黒革の手袋を与えられる時は、必ず殺しの指令が付いていた。
     手袋の処分と共に罪も消される。自分の素肌に触れることが出来るのは彼ただひとりだけだった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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