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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック⑤
    1日目
    お花見に行けないむざこく

    #むざこく
    unscrupulousCountry
    #むざこく30本ノック
    random30Knocks

    お花見に行けないむざこく 桜の開花時期と紅葉が色づく時期が年々予測しづらくなっている。それでも事務所全員で花見に行きたいという無惨の願望を叶える為に、年度末の最終の土曜日、そんな忙しい日に終日オフを勝ち取ったのだ。それは偏に秘書である黒死牟のスケジュール調整能力と、スタッフ全員のポテンシャルの高さから勝ち得た休日である。
     しかし、無惨の願望と皆の努力を嘲笑うかのように木曜から雲行きが怪しくなり、前日夜から場所取りをしようと思っていた轆轤と釜鵺はビニルシートを抱え事務所で待機し、病葉は現地で待機するという気合の入れようだったが、土曜日は朝から土砂降りで止む気配はなく、この調子だと咲いた花が一気に散るだろうと言われていた。
     皆、無惨の顔色を見て八つ当たりされるとビクビクしていたが、意外に落ち着いており、「ご苦労だった」と労いの言葉と共に、今日は全員オフで好きにしろと日当分に少々上乗せした臨時ボーナスを渡すよう黒死牟に命じていた。
     皆大喜びでボーナスを受け取ると事務所を出て行き、事務所に残ったのは無惨と黒死牟のふたりだけであった。
    「忌々しい雨だ」
    「本当に……」
     憂鬱そうに窓の外を見る無惨を見ながら、黒死牟の頭の中は馴染みの料亭で手配した大量の花見弁当をどうするか、あぁ、花見団子も用意していたな、注文した酒類は日持ちするから良いだろう等、今日の為に用意した食料の処分方法で頭がいっぱいだった。
     しかし、そんな現実的な悩みは窓を眺める無惨の横顔を見ると一気に吹っ飛んでしまう。周囲が思っている以上に花見を楽しみにしていたし、何より今の事務所の面々に対し好意的であり、皆で花見をしたかったのが本心なのだろう。
     ふたりだけでの花見なら、桜の見えるレストランや宿を取れば済んだのに、こんな手間のかかることをさせられたのだ。弁当の処理までさせられてはたまらない。弁当を皆に持たせて帰るかと思い、一斉に連絡しようとすると勢い良く事務所のドアが開いた。
    「いたいたー!」
     元気良く零余子が入ってくる。
    「どうせ無惨様と黒死牟様ふたりで美味しいの食べるつもりなんでしょ!? 私にも分けてくださいよ! はい、お花です」
     そう言って近くの花屋で買ってきた大量の桜の枝を花瓶に挿した。
    「煩い、帰れ」
    「そんなこと言わないでくださいよー!」
     無惨に冷たくあしらわれるが零余子はソファにちょこんと座る。すると轆轤、病葉、釜鵺も入ってきた。
    「取り敢えずビールで良いですか?」
     24本入りのビールケースを3人それぞれ担ぎ、いつものメンバーが事務所に揃った。無惨は複雑そうに眉間に皺を寄せるが、恐らく不快ではないのだろう。いつもより表情が柔らかい。
    「ほら、お前たち。そろそろ弁当が届くから準備をするぞ」
    「御意!」
     賑やかに宴会の用意をする黒死牟たちを見ながら、無惨は指先で桜の枝を揺らした。
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    TRAININGむざこく30本ノック⑤
    25日目
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。それを初めて見た黒死牟の反応も知りたいです。
    フレームレスメガネ、黒タートル、黒系ジャケット、シルバーアクセの、顔とスタイルが良くなければ絶対似合わないあれです。

    普段はスーツでしょうし、無惨様は裸眼だと思うのでどういう状況だろう…とは思いますが、絶対お似合いになると信じてい
    某映画賞の授賞式で某イケメン俳優がしていたスタイルを、無惨様がなさるお話が読みたいです。 黒死牟がテレビの画面を見ながら、思わず感嘆の声を漏らした。一体何事かと思い、ソファに寝そべってタブレットを見ていた無惨は、テレビの画面に視線を移した。
     それは某映画賞の授賞式の中継だが、優秀助演男優賞を受賞した面々がレッドカーペットを歩く姿を、じっくりと見入っているのだ。
    「美しいですねぇ……」
     どの俳優を指しているかは一目瞭然である。そう、黒死牟は超がつくほどの面食いなのだ。国宝級イケメンとの呼び声高い無惨を彼氏に持つ黒死牟が見惚れてしまうほど、その俳優は美しかった。
     黒いハイネックのセーターに黒いスーツ、そして首元に輝くシンプルなパールジュエリー。どこを取っても隙のない美しさだというのに、それより何より美しいのが顔面で、その顔面の魅力を倍増させる眼鏡の破壊力。無惨は少々不貞腐れながらも冷静に分析していた。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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