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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこくアドベントカレンダー
    21日目
    サングラスを取ったら

    #むざこくアドカレ
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    #むざこく
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    サングラスを取ったら「お疲れ様でーす……」
     気だるげに事務所のドアを開けると、室内には誰もいなかった。年度末で忙しい時期だと皆がバタバタしており、獪岳は期末考査が終わり、明日から休みに入る為、久し振りに事務所に顔を出したのだ。
     いつもなら誰かしらがいて、お菓子を食べるか、ジュースでも飲んで帰れば? と声をかけてくれるが、静かな室内は何と無く寂しくて寒くて、獪岳はそのまま帰ろうとしたが、来客用のソファから静かな寝息が聞こえた。
     ゆっくりと足音を立てずに近付くと、あの黒死牟がソファで横になって眠っている。
     普段なら獪岳が入ってきた時点で気付く筈だが、全く気付かず熟睡しているようだ。忙しい時期は2徹、3徹当たり前で、自宅に帰る時間すらなく風呂だけ入りに行くと言っていたので、仮眠のつもりが寝入ってしまったのだろう。
     室内はエアコンで温度管理がされているが、日が暮れて気温が下がってきている。ジャケットを脱ぎ、ワイシャツ姿で眠っているので、少し寒そうだなと感じた。ブランケットなど羽織るものがないか探そうと思ったが、獪岳はそれよりも、サングラスをしたまま眠っていることに気付いた。
     最初は「サングラスをしたままだと眠りにくそうだ」という親切心だった。だが、急激に「サングラスの下の素顔はどんな感じだろうか」という好奇心が上回ったのだ。気配に気付かないくらい熟睡している、今の状況なら獪岳がサングラスを取っても気付かないのでは? と思ってしまう。
     無惨の命令なので人前で絶対にサングラスを外すことはないと言う。どれだけ目上の人間が集まり、息もできないような堅苦しい正式な場面でも決して外すことはない。サングラスをしたままなど失礼だろうと咎められそうになったとしても、無惨がたった一言「うちの秘書は照れ屋なので」と美しい笑顔で言えば、その迫力に気圧され誰もが黙ってしまうほど、黒死牟の素顔を誰にも見せまいと威圧してくるのだ。
     そんな無惨もこの場にはおらず、黒死牟は熟睡している。素顔を見るチャンスは今しかない! そう思ってサングラスに手を伸ばした瞬間、ぱっと腕を掴まれた。
     事務所内に姿がなかった筈の無惨が獪岳の手を掴んだのだ。思わず悲鳴をあげそうになったが、無惨は獪岳の唇に人差し指を押し当て、優しく微笑んだ。
     全く気配がしなかった。足音も、人がいる気配すらなかったのだ。どこから現れたのだろうかと心臓が激しく脈打ち、額に汗が滲んでくる。真正面にある無惨の顔は先程と少しも変わらない笑顔の状態だ。まるで、その表情を無理矢理固定しているようで、その美しい仮面の下にある表情を想像すると恐ろしすぎて、足ががくがくと震えてくる。
     自分は絶対にしてはいけないことをしてしまった。言うなれば、禁じられていた楽園の林檎を食べて追放されたアダムとイブは、今のような心境だったのかもしれないと思った。
     ただ、未遂である。実際に黒死牟のサングラスは外していない。禁断の果実に手を出してはいないので許される。そう思い、静かに黒死牟から離れると、無惨の手から解放された。殺されるかと思ったが、意外に穏やかな反応だったので、単なるいたずらと解釈されたと思い、獪岳は頭を下げ足音を立てずにドアへ向かう。再び無惨を見て礼をすると、無惨は笑顔で手を振ってくれたので、何事もなかったかのように事務所を後にした。
    「若いとは実に命知らずで恐ろしいものよ」
     無惨は大きな溜息を吐き、眠っている黒死牟のサングラスを外した。仮眠中もサングラスを外すなと命じているが、あんな子供の気配にも気付かないほど寝入ってしまうとは情けないと今すぐ髪を掴んで叩き起こしてやろうかと思ったが、起きている時からは想像できないほど幼い表情で眠る黒死牟を見ていると眠りの邪魔をするのが忍びない気持ちになってくる。だが、その気持ちも3秒と続かない。無惨は静かに事務所の鍵を締め、灯りを落とす。これでもう、誰も入ってこないだろう。
    「お前の素顔も、この寝顔も私だけのものだ」
     黒死牟の唇にそっとくちづけると、ゆっくりと黒死牟は目を開いた。
    「お目覚めか、お姫様」
    「……え? 私……眠って……」
     飛び起きようとするが無惨に組み敷かれ、暗い事務所内は黒死牟の甘い喘ぎ声が一晩中響いていた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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