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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック⑤
    12日目
    風邪引き無惨様を看病する黒死牟

    #むざこく
    unscrupulousCountry
    #むざこく30本ノック
    random30Knocks

    風邪引き無惨様を看病する黒死牟「今日の仕事は各自の判断に任せる。そして切りが良いところで帰れ」
     黒死牟はそう指示を出し、今日明日の予定のキャンセル、延期等の連絡をしている。何としてでも早急に切り上げて無惨の部屋に行きたいのだ。
    「一体、どうしたんすか?」
     普段とは違う慌ただしさに驚く獪岳に零余子がこっそり耳打ちする。
    「無惨様が体調不良でダウンしたらしいよ」
    「え? 無惨様でも体調崩すことなんかあるんすか?」
     化け物みたいなバイタリティと思っていたので素直に口にしてしまうと、ハンズフリーのイヤホンマイクで会話中の黒死牟にぎろりと睨まれた。
    「というわけで余計にピリピリしてるから、おとなしくしといた方がいいよ」
     それを早く言ってくれよ……と思いながら、獪岳はさっと学校に戻った。
    「私は一足先に出るから戸締りをきちんとするように」
    「行ってらっしゃい」
     皆に見送られ黒死牟は事務所を飛び出した。そして近所のスーパーで林檎やスポーツドリンク、ゼリーなどを買い、大急ぎで無惨の部屋へと向かう。
     合鍵で入り寝室に行くと、無惨は布団を被って寝ていた。
    「無惨様、お加減はいかがですか?」
    「何しに来た……」
    「看病です。それより何か食べましたか?」
     ぐったりとして起き上がる気力もない無惨を見て大きな溜息を吐く。この家にはアルコール以外のすぐに飲める水分はウォーターサーバーの水と炭酸水くらいしかない。ベッドサイドにミネラルウォーターのペットボトルが置いてあるだけで、他には何も口にしていないようだ。
    「取り敢えず熱を測りましょう。必要なら医療機関の受診を……」
    「今すぐ帰れ」
     布団を被ったまま出てこない無惨に体温計を渡して、黒死牟は買ってきた食材を冷蔵庫に冷やしに行く。そして買ったばかりの林檎を冷水で洗い、すりおろした。それから冷蔵庫の中にピルケースをしまっているので総合感冒薬を取り出す。
     お盆の上に薬とすりおろした林檎、スポーツドリンクを置いて寝室に向かった。
    「何度ですか?」
     そう言うと体温計を渡される。熱は38度後半。なかなかの高熱である。
    「薬を飲んで熱が下がらなかったら病院に行きましょう」
    「お前は帰れ……うつる」
    「そんなこと気にしなくて大丈夫ですから、まず林檎を食べてください」
     普段の無惨なら仕事はどうした、今日のスケジュールはどうなった等、しつこく尋ねてくるはずだが熱で頭が朦朧としている上に、話す気力も体力もないようだ。これはよっぽどだな……と思いながら黒死牟はベッドに腰掛け、布団を少しめくると、目を潤ませ、頬を赤く染めた無惨の顔が現れる。
    「お前まで倒れると事務所が回らない」
    「そんなこと心配しなくて良いですから、ほら食べてください」
     スプーンの先に少しすくって無惨の口許に運ぶ。熱のせいで味はよく解っていないようだが、ほんのりとした甘みと滑らかな食感、そして火照った体にちょうど良い冷たさが心地良かったのだろう。少しずつだが林檎半分くらいの量を食べたので黒死牟も安心した。
    「ここに薬を置いておきますから飲んでてくださいね」
     食べ終わった食器を片付け、洗面器に氷を入れて、ハンドタオルを浸した。その洗面器を寝室に運び、硬く絞って無惨の顔に当てた。
    「大袈裟だ」
    「お疲れが出たんですよ。何も言わず、ゆっくり休んでください」
     汗が滲んだ額にタオルを当て、タオルがぬるくなると洗面器につけて再び顔を冷やした。
    「うつるなよ」
    「そんな心配いりませんから、安心して寝てください」
     体調が悪いから休むと連絡が入った時、頑なに「来るな」と言っていたが、自分にうつすことを心配していたのかと思うと、思わず抱き締めたくなった。事務所の為という理由が一番大きいかもしれないが、自分が風邪をひいて無惨が看病に来ると言っても同じ反応をするだろうと思うと、この人の恋人で良かったと心底思うのだ。
     もう一度タオルを洗面器に浸し、硬く絞ってから無惨の目の上に置くと小さな寝息が聞こえ始めた。
     布団を肩まで掛け、こっそりと布団の中に手を入れて無惨の手を握った。すると意識があるのかないのか解らないが無惨が手を握り返してきたのだ。
    「おやすみなさい、無惨様」
     黒死牟は小さく囁き、無惨の寝顔をずっと見つめていた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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