陽「うーん…」
梓白「やぁ陽様?そんな難しい顔してどうしたの?」
成星「あんたがそんな顔してるの珍しいな」
陽「…紫音くんから依頼をもらったんだけど…ちょっと…僕には難しそうだなあ…って」
花依斗「ふん、あいつに押し付けられたか」
梓白「見せて見せて」
成星「…王子になる…?」
陽「うーん、そうなんだよね…なんかそういうコンセプトのカフェ?らしくて。そこに助っ人として入るんだって」
梓白「ふーん。王子様なんて君にぴったりじゃない?」
成星「何が難しいんだ?」
陽「僕こういうのあまり得意じゃないんだけど…」
梓白花依斗成星「え...?」
陽「何みんなのその反応」
花依斗成星「何言ってんだこいつと思った」
梓白「へー、苦手ね、意外」
陽「何をもって意外と…」
梓白「いつもの君で全然大丈夫だと思うけど」
成星「むしろここまで適任なやついなんじゃないか?」
陽「ふふ、君こそどう?」
梓白「俺が王子?冗談きついんだけど」
成星「あんたが拒むとは意外だな」
梓白「君こそどうかな、顔がいい成星くん?」
成星「もっと顔がいいやつなら隣りにいるぞ」
花依斗「断る」
陽「ふふ、即答されちゃったね」
梓白「花依斗は王子というより王様な感じがするけどね」
花依斗「お前がやるなら俺もやってやってもいいぞ夕凪?」
梓白「なあに花依斗くん?そんなに俺の王子が見たいの?君にだけ特別に見せてあげようか?お手本として」
花依斗「ふん。お前に俺の手本が務まるとでも?」
梓白「君よりは品があると思うよ俺の方が」
花依斗「美しいこの俺に品がないと?」
梓白「君たちって黙っていれば文句なしの美しさだよね、黙っていれば」
成星「君“たち”…?」
陽「君のことだよ、成星くん?」
花依斗「お前はそのだらしない胸元をどうにかしろ」
梓白「だらしなくありませーん。俺はスタイルがいいからこういうのが似合うの」
成星「俺も見たい」
陽「僕も見たい」
梓白「胸元?好きなだけ見なよ」
成星「それは見ようとしなくても見える。あんたの王子が見たい」
陽「その衣装梓白だから似合うよね」
成星「あんたも胸元の開け具合はさほど変わらんけどな」
陽「え…?僕こんなに開けてないと思うけど…?」
梓白「やだ〜無意識なんて陽様えっち♡」
花依斗「お前が言うな」
梓白「うん?もしかして君は俺のことえっちだと思ってるの?俺のことそんな目で見てるんだ〜?」
花依斗「あ?ぶっ飛ばされてぇのか」
成星「外野がうるさい」
陽「うーん…ねぇ、僕ってどうして王子だと思われちゃうのかな?」
梓白「見た目」
花依斗「性格」
成星「話し方」
陽「う…誰も否定してくれなかった…」
梓白「王子だって言われること、そんなにお悩みなの?」
陽「僕、本当は王子って呼ばれるような人じゃないってわかってるでしょう?」
梓白「うーん…それはどっちとも言えない」
陽「えー…君までそんなこと…」
梓白「だって君、普通に話してたら普通に王子だもの」
成星「第一印象は確実に王子だと思われるもんな」
陽「花依斗くんも僕のこと王子だと思った?」
花依斗「…姫花から王子みたいなやつがいるとは聞いていたがすぐにお前のことだとわかった」
陽「そんな…」
成星「悩んでいたところであんたは王子っぽいのは変わらない」
梓白「全てを正直にぶちまける成星がそう言ってるからそうなんだろうね」
陽「あ、諦めないで…みんなで僕が王子だと思われなくなる方法探そう?」
花依斗「…戦闘のお前は王子ではない」
陽「そりゃ戦闘だからね?」
梓白「ふふ…ねぇ、じゃあ戦闘中の陽様のこと、君はどう見えてるの?」
花依斗「殺し屋」
梓白「ふふふ…」
陽「なっ…!?」
成星「何をそんなに驚いているんだ?」
陽「え!?あ、いやいや…王子って呼ばれているのに戦闘だとそんな風に見えるんだなーって我ながらびっくりしてただけだよ」
成星「確かにあんた、戦闘中は人が変わったように静かになるよな」
陽「しゅ、集中しているからだよ…?」
花依斗「戦闘中のお前は静かに、ただ確実に殺気を放っている。…そういえば戦い方もアサシンっぽいとか泉が言っていたな。あいつはバカだが戦闘のこととなると間違いはないだろう」
陽「京くんこんなところでも言っていたのか…!」
梓白「ふふ。ねぇ、陽様?王子になるか、殺し屋になるかだったらどっちがいいの?」
陽「うーん…さすがにみんなと話すときに殺気は出せないな…」
花依斗「ふん、ならそのまま王子でいるといい」
成星「無理に変える必要はない。王子のあんたも、殺し屋のあんたもあんたであることに変わりない」
梓白「そうそう。戦闘のときだけ思い切り暴れればいいじゃない」
陽「…ちょっと殺し屋の僕っていうのは物騒だからやめない?」
梓白「はい、じゃ、陽様は変わらず王子様ってことで。例の依頼の日は俺、誰か違う人と組もっかな〜。さて、どのバディに入ろうかな」
花依斗「ふん、俺たちのところに入れてやらんでもない」
成星「ああ、3人で行くのもいいかもしれないな」
梓白「あら、ほんと?じゃ、他に手が足りないバディがいなかったら君たちのお世話になろうかな」
陽「あ、これよく見たら4人来てほしいだって。ふふ…ここにちょうどいるね?」
梓白「あれ〜?やっぱその日俺って確か別の人と組んで依頼があった気がするなぁ?」
陽「ないよ。僕たち、他の人と組む依頼の情報も共有しているから君の依頼の予定は僕も知ってるよ」
梓白「…チッ便利さが仇となった」
成星「あんたたちそんなことしていたのか?」
梓白「まあね。 その方がメンバー組み替えとかなったときに動きやすいから」
成星「他のメンバーのこともよく考えているんだな」
梓白「そんな大それたものじゃないよ。めんどくさくなるのが嫌なだけ」
花依斗「神崎はどうした」
陽「雪音くんは別の依頼あるって言ってたし…紫音くんに頼むとしたら花依斗くんがお願いしてきてくれる?こんなに綺麗な花依斗くんが他の人に出番を譲っちゃうのか〜…」
花依斗「チッ…おい、お前も行くぞ」
成星「なんで俺まで」
花依斗「当然だ。バディだからな」
成星「バディ解散」
花依斗「貴様にその権限があるとでも?」
成星「この暴君」
花依斗「躾のなっていないお前の手網を握れるのは俺だけだ」
成星「躾がなっていないのはどっちだ。この猛獣が」
花依斗「あ?小型犬みてぇなやつが何吠えてやがる」
成星「な…っ!小型犬だと…!?」
梓白「こらそこ、何ケンカしてんの」
花依斗成星「こいつが自分のこと棚に上げて言ってくる」
陽「ふふ、こういうところでも…いや、こういうところこそ息ぴったりなんだね」
梓白「はぁ…誰かいないかな〜俺の代わりに行ってくれる人」
成星「あんたこそなんでそこまで拒むんだ?」
梓白「だから俺そういうキャラじゃないでしょ」
花依斗「お前は詐欺師の方が合ってそうだな」
梓白「うん。そっちの方が上手くできそう」
花依斗「そこは一応否定しろよ」
陽「ふふ、じゃあみんな来てくれるってことでいいよね?」
花依斗成星「俺は行かな…」
梓白「君たち、悪いことは言わない。この笑顔の陽様には逆らわない方がいい。…消されるよ?」
陽「ふふ、じゃあ…みんなよろしくね?」
花依斗成星「こわ…」