朱優「紺碧。それが終わったらこっちを頼む。これが終わったら次はこれを」
紺碧「わかった」
朱優「…」
紺碧「…」
朱優「…」
紺碧「静か…だな」
朱優「今ここには俺たちしかいないからな」
紺碧「そうだけど。…朱優っていつもこういうのやってて楽しいのか?」
朱優「楽しい、楽しくないというのは問題ではない。やるべきことをやっているだけだ」
紺碧「うーん…まあそうだろうけど…他のやつにも頼んだりしないのか?」
朱優「効率を考えて適任のやつがいれば任せる。だが俺の方が適しているものや誰がやっても変わらないことは俺がやる。人に教えるよりも俺がやった方が早いからな」
紺碧「それだと朱優の自分の時間がない」
朱優「これも好きでやっていることだ。お前が気にする必要は無い」
紺碧「でもやってんのは結局仕事じゃんか…」
朱優「俺のやっているこの数分のことで、お前たちも動きやすくなるなら文句はないだろ」
紺碧「文句は何もないけどさ…朱優ってゲーム好きだろ?」
朱優「ああ」
紺碧「しかもめっちゃ強い」
朱優「それがどうした?」
紺碧「最近やってなくね?」
朱優「多少はやっている」
紺碧「そうなのか?昼間はいつも仕事なり家事なりやってるよな?」
朱優「オンライン対戦は夜から賑わい始めるからな。それまでにやることは済ませている」
紺碧「え…じゃあ…」
朱優「ふん。俺も自分の時間は持っている、ということだ」
紺碧「マジか…仕事も趣味も両立してる…」
朱優「ああ。だからお前の心配には及ばない」
紺碧「…ん?朱優っていつ寝てんの?」
朱優「お前たちが寝ている時間」
紺碧「いやいや、だって俺たちよりも早起きじゃん」
朱優「お前たちよりも多少は寝なくても動ける」
紺碧「多少どころじゃない気がする…」
朱優「それより。進捗は」
紺碧「ああ、今2つ目入ったとこ」
朱優「ならいい」
紺碧「朱優ってさ、何でも屋のことどう思ってんの?」
朱優「どう…とは?」
紺碧「いや…朱優くらいの才能とか能力があればもっといろんなとこ…大きい会社とか普通に入れるだろ?」
朱優「俺の能力をどこで、何のために使うかなんて俺の勝手だろ。それに…」
紺碧「それに?」
朱優「ここは良くも悪くもバカばかりだ」
紺碧「あ、ああ…まぁ…な?ここはいつも何かしら起きてるし。おかげでいつも退屈しないと思うよ」
朱優「ああ。おかげで俺も退屈していない。だが俺からしてみればお前みたいなまともなやつがいるのも助かっている」
紺碧「え…朱優にお礼言われた…?」
朱優「おい、俺をなんだと思っている」
紺碧「なんか…朱優ってツンデレ?」
朱優「お前にだけは言われたくないな」
紺碧「まあ…俺もそうかもだけど」
朱優「なんでツンデレなんだ?」
紺碧「何でって言われても…なんか仲良いやつに素直になるの…恥ずかしいじゃん」
朱優「ふ…」
紺碧「あ、笑った」
朱優「いや…俺もそうなのかもしれないな」
紺碧「かもじゃなくてどっからどう見てもそうだろ。あ、でも花依斗さんには素直だよな」
朱優「花依斗さんには誤解されたくないからな」
紺碧「他のやつはいいんだ…」
朱優「この世の全てを敵に回しても花依斗さんにだけは嫌われたくない」
紺碧「そ、そんなに…?花依斗さんは一度認めた人ならそう簡単に嫌いになったりしないと思うけど…」
朱優「ああ。あんなに優しい人に嫌われたら終わりだろうな」
紺碧「…なんかどんどん話が拗れてる気がする…」